[未来人材] 26歳。伝統守り理想の茶製造追求 世界で愛される品を 奈良市 井ノ倉賢さん

てん茶工場では「納得するものができ、だんだん理想に近づいている」と手応えを感じている井ノ倉さん(奈良市で)

 奈良市の井ノ倉賢さん(26)は、父が代表を務めるティーファーム井ノ倉に就いて3年目。てん茶製造を任され、今年売り出す予定の抹茶の商品開発を進めている。年1回挑戦する手もみ茶は、思いの詰まった特別な茶として限定販売し、お茶好きの心を打った。「茶の歴史を大事にしながら、時代に合ったもの」「何か面白い」など独自の感性で茶の魅力を発信する。

 山間地の月ヶ瀬で茶を身近に育った井ノ倉さん。大学卒業後は静岡県にある農研機構で茶業研修生として過ごした。研修2年目には製造を専門にする研究者に師事。端末を見ながら水分の下がり方、秒単位で更新される数字とその数字に合った茶の手触りの感覚など、製造の細かなところが見れたのは財産になった。

 主に任されているてん茶工場での製造は、奈良に戻ってから機械メーカーや知人に教わりながら覚えた。「(蒸して乾かす工程の)考え方はすごく簡単だが、その中に色、香りをどう最大限引き出すかが難しい」

 やり直しがきかない製造は緊張感の連続だ。1年目から責任ある仕事を任され「荷が重い」と感じることもある。それでも「今年は納得するものができた。だんだん理想に近づいている」と手応えを感じている。一部を自社の抹茶として売り出す準備を進める。

 年1回挑戦する手もみ茶は、2年続けて全国品評会で入賞。その入賞茶を使い「挑戦兼新商品の開発」で誕生したのが「No.03」「No.2020」だ。3グラム1200円(税別)、化粧箱入り、数量限定。「いいものを少量」といった特別感や、その年の入賞茶に合った名前を付ける面白さを打ち出した。こだわるお茶好きや、説明を聞き興味を持った消費者に受け入れられた。

 商品作りや販売は、大学生の頃から漠然と興味を持っていた。「入賞する限り続けたい」と、現在二番茶の作業に勤しみ、今年の出品結果を待つ。

 同社はもみ茶2ヘクタール、てん茶5ヘクタールを栽培。もみ茶生産と経営を父・光博さん(56)がけん引する。「父が法人化し、確立してきた井ノ倉の茶をさらに発信していきたい。世界で愛されるようなお茶を目指し、その中で自分らしさが出せたらいいな」と将来を語る。
 

農のひととき


 おいしいものを食べることが好き。休みの日には妻とレストランに行ったり、長い休みができれば「魚を食べに伊豆へ」「そばを食べに信州へ」と、食べたいものを決めて旅行先を決めたりもする。

 オンオフをしっかりしたいので、オフの日はなるべくお茶のことを考えない。趣味の音楽を聞いたり、家で時間があればコーヒー豆をひいて飲んだりして英気を養う。
 

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