われらコラム書きを殺すにゃ刃物はいらぬ、図書館閉めればそれでいい

 われらコラム書きを殺すにゃ刃物はいらぬ、図書館閉めればそれでいい▼ことほどさように自粛期間中の図書館閉鎖はこたえた。アフリカの言い伝えを思い出す。1人の老人の死は、一つの図書館が消えるのに等しいと。共に知恵と知識の宝庫。図書館が戻ってきて改めて思ったのは、町のみんなの生活の一部だということ。短い夏休みの子どもたちの手助けに、趣味と実益を楽しむ大人たちの居場所として▼米映画「パブリック 図書館の奇跡」は、文字通り「公共の場」としての意義を描く。大寒波で行き場を無くしたホームレスが、図書館員の助けを得て館内に立てこもる物語だ。格差と貧困、人種問題を背景に、市民の権利と公共の在り方を問い掛ける。「図書館は民主主義の最後のとりでだ」という作中の言葉が、コロナ禍の今に響く▼わが国に図書館法ができて今年で70年。図書館の普及を通じ文化貢献に務めた社会運動家の中井正一が、法案成立時の興奮を書き残している。「村々の少年少女の上によい本を雨のように降らしてやらなければならない」。小さな文化の火よ無限に燃え広がれと願った▼緊急事態宣言下、さまざまな「公共」が制限されたが、図書館は一隅を照らし続ける、猛暑の中、今日も老若男女の上に本の雨が降り注ぐ。
 

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