19年度 青果卸の営業赤字51% 利益生む体制急務 本紙調べ

 青果物を取り扱う全国の主要卸売業者の2019年度決算は、営業損失(赤字)を計上した卸が51%と過半を占めたことが、日本農業新聞の調べで分かった。野菜価格が長期低迷し、経営悪化が大都市の大手卸にまで広がった。改正卸売市場法の施行で取引規制が緩和され、今後市場間競争が激化する。産地や実需者に魅力あるサービスを提供し、経営を安定させる事業構築が急務だ。
 

野菜価格低迷 響く


 全国中央市場青果卸売協会加盟の81社と、売上高200億円以上の青果卸を対象に、計86社を調査。事業報告書の開示を依頼し、67社から回答を得た。回答率は78%。

 売上高が前年度を下回る減収は61社(91%)で3年連続で9割を占めた。本業のもうけを示す営業損益では、34社(51%)が赤字を計上し、前年度の35%から急増した。黒字を確保した33社(49%)でも20社は減益だった。

 売上高400億円以上の15社のうち、営業損益で増益を確保できたのは、わずか2社。当期純損益の赤字は6社を数え、三大都市圏などで営業する大手卸の苦戦が目立つ。

 経営悪化の主因は、野菜価格の低迷にある。夏秋、秋冬期ともに豊作傾向で、軒並み供給過剰となった。19年度の主要野菜14品目の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は過半の月で平年(過去5年平均)比1、2割安だった。

 経常損益の赤字は19社(28%)。黒字は48社(72%)だが、減益が28社に上る。農水省が卸売市場法の改正以前、健全性の目安に掲げていた「3期連続の経常赤字」「自己資本比率10%未満」「流動比率100%未満」に該当する社もあり、財務内容の悪化が懸念される。

 一方、大都市以外にある地方卸は営業利益を確保するケースが目立った。増収増益を達成した卸は「産地開発の段階から密に連携し、集荷と販路拡大に努めた」「産地と積極的に交渉し、(買い付けよりも利益率が高い)受託比率を高めた」と振り返る。

 収支改善には集荷力と併せて利益率向上も求められる。関西の卸は「需要が高い果実加工を強化して野菜の減収を補った」と、実需ニーズに応えるサービスの展開で増益を確保したという。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、食の安定供給に対する関心が高まった。今後も卸が安定供給を支え続けるためにも、経営基盤の立て直しが急務となる。
 

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