福沢諭吉といえば『学問のすすめ』

 福沢諭吉といえば『学問のすすめ』。意外と知られていないのが彼の説いた「新聞広告のすすめ」▼福沢は、欧米の思想や経済の仕組みをいち早くわが国に紹介した。新聞広告もその一つで、優れた効能を世に知らしめた最初の知識人であろう。福沢は、明治15年に「時事新報」を創刊。翌年、社説「商人に告ぐるの文」を発表した。「商売の秘訣(ひけつ)は広告にあり」が西洋の常識で、莫大(ばくだい)な広告費を投じている。比して日本の何と遅れていることかと嘆いた▼福沢翁の筆は熱を帯びる。なにより新聞広告は費用対効果に優れている。宮中から下町まで行き渡る新聞ならではの強みだと。「広告は意図を伝えるのが目的で、御高説は必要ない」「商才があるなら通年で広告を出すだろう」と指南。同業者がちらしに頼っている今こそ大きな利益を得るチャンス、とあおるのであった▼きょうは新聞広告の日。その座をテレビに、インターネットに奪われて来たが、翁の説いた役割はいささかも古びない。新聞の活字でしか伝わらない思いもある。最近目を引いた公共広告。〈おむすびころりん1億個。〉のコピーで食品ロスの問題を投げ掛けた▼名コラムニスト山本夏彦さんは言ったものだ。「私は記事より広告を信じる」。どちらも信じるに足る両輪でありたい。
 

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