日本の再建は生命共済から

 「日本の再建は生命共済から 農村復興は農協互助組織による長期資金の獲得に始まる」。賀川豊彦の揮毫(きごう)が戦後、よちよち歩きの農協共済の発展に大きな威力を発揮した▼本紙連載中の「協同の系譜 賀川豊彦」(筆者・和田武広氏)にある。ものの価値を知るには〈源流〉に学ぶにしくはない。協同組合は「与えられたもの」ではないことが彼の生涯からよく分かる。「およそ運動と名のつくものの大部分は、賀川豊彦に源を発している」。大宅壮一にそう言わしめた賀川のスタートは、神戸・スラム街での救援活動だった▼ここから労働争議、農民組合、生協、医療、関東大震災のボランティアと運動円を広げていく。ベストセラー作家でもあった。印税収入を惜しみなく運動に投じた。1922年のアインシュタイン来日は『死線を越えて』が大ヒットした改造社の招きで実現した▼協同組合(産業組合)は昭和初期、既得権益を持つ商工業者と大衝突した。「産業組合への関与・保護は過当だ。税制の特権を廃止すべきだ」。その理屈は近年も聞いた記憶がある。〈反産〉の脈流は今日もなお続いている▼賀川が暮らした東京・松沢村の家は資料館となり、新宿からほど近くにある。JA関係者の訪問が少ないという。寂しい限りではないか。

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