コロナ禍 乗り越えよう 脳の健康は食事から 医師・作家 鎌田實

鎌田實氏

 新型コロナウイルスとの闘いが長期戦になる中で、普段の生活の活動量が減少しがちとなっている。私の内科外来でも、足腰が弱くなって立ち上がる時にバランスを崩す人が目立ち始めた。認知機能が低下し始めている人もちらほらいる。
 

フレイルの恐れ


 現在のような自粛生活が続くと、高齢者がフレイル(虚弱)という状態になったり、認知機能が低下したりして、1、2年後には要介護状態につながる恐れがある。そうならないためにも、正しい生活習慣を身に付けよう。

 健康の基本は食事。中でも脳に良いといわれているのは、青い魚だ。ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)は抗酸化力が強く、動脈硬化を防いで血流を改善することも知られている。

 赤い魚も良い。サケやサクラエビ、キンメダイ、タラコなどの赤い色素はアスタキサンチンという物質で、脳に直接届き、脳を活性酸素のダメージから守ってくれるといわれている。

 卵の黄身に含まれるコリンは、脳内に吸収されやすく、神経伝達物質のアセチルコリンの材料になる。アセチルコリンが不足すると記憶力の低下や認知症を起こすことが分かっている。フィンランドの研究では、食事からコリンを多く取っている人は、少ない人に比べて認知症リスクが28%と低く、記憶力と言語能力を測定するテストでも優れているという報告がある。卵はタンパク質も豊富なので、筋肉が痩せるフレイルの予防にもなる。私は毎日2、3個の卵を食べている。

 脳血液関門を通過する脂溶性の抗酸化物質コエンザイムQ10は、緑のホウレンソウやブロッコリー、黄色のカボチャなどに含まれている。ビタミンEはコエンザイムQ10の効果を高めてくれるので、アボカド、ナバナ、ピーナッツなどと一緒に取るようにしたい。
 

「好奇心」も大切


 脳の健康のためには、運動と好奇心も大切だ。スクワットやかかと落とし、ウオーキングを習慣化しよう。農業地帯は密になることが少ないので、感染のリスクは低いとみられている。閉じこもらず、できるだけ外へ出て、軽い運動をするとフレイルや認知機能低下の予防にもなる。

 自粛生活中、身だしなみに構わなくなった人は、無関心、無感動、無気力になっていないか注意しよう。これは「アパシー」といわれる症状で、認知症の前兆だ。

 毎日の生活の中で、脳の健康に良い食事や運動を心掛けることで、コロナを越えていきたいものだ。

 かまた・みのる 1948年東京生まれ。長野県・諏訪中央病院名誉院長。内科医として地域医療に尽力。東北の被災者支援、チェルノブイリやイラク難民キャンプへの医療支援にも取り組む。著書は『がんばらない』『鎌田式「スクワット」と「かかと落とし」』他、多数。
 

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