「平和を」「如己(にょこ)愛人」

 「平和を」「如己(にょこ)愛人」。NHKの朝ドラ「エール」で、こう書かれた半紙が、長崎市にある永田武の自宅の壁に貼られていた▼「長崎の鐘」の曲作りのきっかけを得ようと、主人公の古山裕一が訪ねた。永田のモデルは永井隆。歌詞の基になった同名の原爆体験記の著者である。先の言葉を半紙にしたため人々に贈った▼放射線医師だった永井は2重に被爆し、1951年に43歳で亡くなった。45年6月、慢性白血病で余命3年と宣告された。エックス線を過度に浴び続けたことが主因とされる。そして8月9日、原爆の放射線に射貫かれた▼「エール」には、血がにじむ包帯を頭に巻いて治療に当たる場面があった。著書『長崎の鐘』によると、被爆時にガラスでこめかみの動脈が切れた。傷口から手を離すと「水鉄砲で赤インクをとばすように」血が噴く状態だったが、「あと三時間は私の身体ももてるだろうと計算しながら」処置を続けた。熱い心と冷徹な頭脳の持ち主である。「如己愛人」は「己の如(ごと)く人を愛せよ」という意味である。平和の礎を隣人愛に求めたのだろう▼私たちは今、新型コロナの第3波の渦中にいる。人にうつさないためにも感染防止を徹底する。隣人愛である。「エール」は最終週を迎えた。どんな応援歌を贈ってくれるだろう。

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