直売所の来店者増 知恵と工夫で定着図れ

 新型コロナウイルスが流行する中で、地域の食料供給源として直売所の役割が再認識されている。コロナ禍の前から、大型商業施設などとの競争が激化。収束後も地域の住民に利用し続けてもらえるよう、知恵と工夫で定着を図ろう。

 新型コロナの流行に伴う家庭消費の伸びが、直売所にも及んだ。JAグループ愛知が県内4JAの21店舗を調べたところ、3~8月の総来店客数は179万人で、前年同期比3・1%増加。総売り上げは30・2億円で同10・6%増えた。他県でも同じ傾向だ。

 緊急事態宣言で外出の自粛が広がる中、少し離れた大型商業施設まで出掛けていた人が、近くの直売所に買い物先を切り替え、「巣ごもり消費」用に買い込んだことが背景にある。

 だが、東海地方のあるJA直売所の店長は、来店客と売り上げが大きく伸びたのは「近隣の利用者が戻ってきたからで、一時的な現象」と分析する。新型コロナの流行前には「直売所を設置すれば売れる」段階は既に過ぎ、競合していたことを忘れてはならない。

 岐阜県が2019年に県内190カ所の直売所に行ったアンケート(回収率91%)で、18年度の販売額合計は前年度比1%未満の微増にとどまった。また大規模直売所と中小の格差が拡大。全体の19%に当たる販売額1億円以上の直売所が、販売額全体の82%を占めた。

 日本は新型コロナ第3波の渦中にあり、感染防止対策の徹底が必要だ。併せて、収束後に再び大規模商業施設などとの競争が激しくなるのに備え、魅力ある直売所を作りリピーターを増やす取り組みが欠かせない。

 同県では、JAバンクが主体となり直売所応援定期貯金を販売。契約者は、県内JAの直売所を巡るスタンプラリーに参加でき、3回利用してスタンプを集めると抽選で商品券が当たる。こうやって、直売所の利用促進と、県産農畜産物の消費拡大に取り組んでいる。

 また愛知県のJA愛知東は、管内の商工会組織と連携しグルメラリーに参加。JAの直売所3店舗を含む飲食店や土産物店を対象に、一定数回ると先着順で県内JAで使える商品券を贈る。直売所では、地元食材を使った料理を食べたり、加工品を購入したりしてもらっている。

 静岡県のJA大井川は地元企業などと連携し、体験型フードパーク「KADODE OOIGAWA」を島田市に先月開業した。県内最大規模の直売所に加え、特産の茶をテーマにさまざまな体験ができるコーナーなどを設置。買い物や食事以外にも地域農業の魅力を発信する。

 直売所の原点は、地元の農産物の魅力を高め、地域住民を中心に提供することであろう。それを基盤に、JAの総合事業の活用や地域の組織との連携などを含め、直売所の重要性を再認識した客がコロナ後も定着する方策に知恵を絞りたい。
 

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