畜酪対策 来週ヤマ場 酪農家族経営 離農止まらず 生産基盤強化こそ 北海道
2020年12月04日

牛に餌を与える高橋喜一さん(北海道清水町で)
2021年度の畜産・酪農対策を巡る政府・与党の協議が来週、ヤマ場を迎える。全国の生乳生産の過半を占める北海道では規模拡大が進む一方で、家族経営の酪農家の離農が止まらない。酪農家戸数は過去5年で1割以上も減少。現場からは加工原料乳生産者補給金と集送乳調整金を合わせた単価水準の維持や、基盤強化策の充実を求める声が上がっている。(望月悠希)
酪農地帯、北海道清水町。妻や両親と乳牛165頭を飼育する3代目の酪農家、高橋喜一さん(40)は今年、牛舎を新築した。……
資材費高騰
酪農地帯、北海道清水町。妻や両親と乳牛165頭を飼育する3代目の酪農家、高橋喜一さん(40)は今年、牛舎を新築した。……
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広島県基幹種雄牛 「花勝百合」を選抜 能力と希少血統 両立 BMS 県歴代トップ
広島県は黒毛和種種雄牛「花勝百合」を県基幹種雄牛に選抜した。同牛は、現場後代検定で枝肉成績の脂肪交雑基準(BMS)ナンバーが8・8と、県基幹種雄牛で歴代1位を記録。枝肉重量も県内トップ級でBMS、産肉能力を兼ね備えた牛として、県は活躍を期待。高い能力と、和牛のルーツといわれる広島血統の濃い牛としてアピールする。(鈴木薫子)
「花勝百合」は、2015年11月17日生まれ。……
2021年01月22日

地場産使い乾燥野菜 食品卸や医薬向け拡大 愛知の農業法人
愛知県豊橋市の農業法人、ドリームフィールドは国産無添加の乾燥野菜の製造、販売に力を入れている。自社生産や地元農家の野菜を使い、産地と工場の近さを生かした高品質な商品を販売する。2019年から本格的に販売を始め、20年度は前年度比1・5倍の約1500万円を見込んでいる。今後も需要に合った製造で販路拡大に取り組む。
同社が主に販売する乾燥野菜はキャベツやハクサイ、ネギ、シイタケ、大葉など8種類。全国の食品卸や医薬品メーカーなどと取引する。
野菜はまず下処理室で検品、異物除去、洗浄を実施。その後、加工室でスライサーを使いカットする。消毒と洗浄し、野菜の特性に合わせた加工を行い乾燥機に入れ、食材によって温度調節して1・5日ほど乾燥する。その後、販売先の需要に応じて、粉砕機で2ミリ、7ミリ、粉末状に加工する。
乾燥ネギなど4品目を取引する食品メーカーのダイホク(札幌市)の大場啓二代表取締役は「野菜自体の鮮度が高く、乾燥した商品の品質も良い」と評価する。
ドリームフィールドは11年に設立し、栽培した野菜は市場や加工向けに出荷する。ただ、台風被害など天候リスクに対応するため、安定した販売方法を模索する中で、乾燥野菜に着目。取引先は全国で30社ほどに広がった。
同社の鈴木亮壱専務は「国産乾燥野菜への需要は広がっている。産地で新鮮な状態で加工できる強みを生かした品質の高い商品や、取引先の要望に応じた加工で今後も取引先を増やしていきたい」と話している。
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2021年01月21日

[震災10年 復興の先へ] 「酪農復興」誓い前へ 800頭規模に成長 福島の牧場「フェリスラテ」
東京電力福島第1原子力発電所事故で多大な被害を受けた福島県の酪農。復興を胸に誓い、被災者5人で立ち上げた福島市の復興牧場「フェリスラテ」は、飼養頭数800頭と東北トップクラスの規模に成長し、繁殖から子牛の育成、搾乳までの一貫生産体制を整えた。被災地の酪農をけん引し、完全復興に向けて歩みを進めている。(高内杏奈)
一貫生産体制整える
福島駅から車で約20分。市街地から西に進み、桃やブドウの果樹園を抜けると、3・6ヘクタールの広大な敷地に白く輝く牛舎がそびえ立つ。牛舎はフリーバーンで、牛は自由に歩き回り、ゆったりとわらをはむ。パーラーは一度に40頭搾乳でき、1日の出荷乳量は15トン。飼料作りは国内最大級のミキサーを使う。
「嘆き悲しむだけじゃ変わらない。酪農に関わり続けるため必死に築いた」と話すのは田中一正代表。牛舎の設計から携わった。
2014年に設立したフェリスラテは、福島県酪農業協同組合が事業主体。田中代表ら被災した酪農家に呼び掛け、5人が役員として運営。19年には分場をして、震災後は酪農が途絶えていた飯舘村で乳牛の育成を始めた。もと牛の育成に限定した牛舎で200頭を飼う。県内で繁殖から育成、搾乳までの生産システムを整えた。「道のりは長かった。福島の酪農を再建したい、その思いだけでやってきた」(田中代表)。
原点の地でもう一度
事故当時、県酪農協の組合員のうち3割が浜通り地区におり、その大部分が避難指示区域になった。区域外への流出・餓死・事故死した牛は約2500頭に上り、同県酪農の基盤が大打撃を受ける事態になった。
飯舘村にいた田中代表も、当時飼っていた乳牛50頭の半数を殺処分せざるを得なかった。「何が何だか分からない状況。牛をと畜場に運ぶ家畜車が自分の所に来た時は、悲しみと牛に対しての申し訳なさでいっぱいだった」と振り返る。
関東の大規模牧場で経験を積んだ田中代表は01年、同村長泥地区を経営の場に決めた。“俺の牛舎だ”と胸を張って見上げた時の牛舎の香り、優しい風、期待感を今でも覚えている。ただ牛が好きだった。
そんな思い入れのある村から避難を強いられ、知り合いを頼りに隣県の牧場で働いた。「やっぱり出発点の福島で、もう一度酪農をしたい」。県酪農協から打診があったのはそんな時だった。
フェリスラテの従業員約30人のうち、7人はまだ20代だ。田中代表はマニュアル化や月1回の勉強会を通して次世代育成に取り組む。
搾乳担当の丸森成美さん(23)はテレビ番組でフェリスラテを知り、短大卒業後に就職した。「若手の意見を尊重してくれる。福島の復興に向け、もっと戦力になりたい」と笑顔を見せる。
長泥地区は今も避難指示が解除されていない。田中代表が考える完全復興は、出発点だった長泥地区でもう一度酪農ができるようになることだ。「ハード面の復興は進んだが、『時間が進んでいない場所』がある現実を無視できない」と強調する。
今後は和牛肥育を拡大する予定だ。完全復興のその時まで、フェリスラテの挑戦は止まらない。
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2021年01月23日

高齢農家の梨運搬を支援 農業用にロボ改良へ 山口東京理科大や県など
東京貿易マシナリーと山口県農林総合技術センター、山陽小野田市立山口東京理科大学は、運搬支援ロボットによる梨栽培の効率化と軽労化に向けた共同研究契約を締結した。収穫した果実や肥料、剪定(せんてい)枝などをロボットに載せて運び、作業者の負担を軽減する。スマート農業の導入で、高齢化が進む地域の安定経営を目指す。……
2021年01月20日

鳥インフル 飼養管理不備1割 改善へ指導継続 農水省
農水省が全国の養鶏場などを対象に行った飼養衛生管理基準の自主点検で、報告があった約1万4000件の農場などのうち、1割ほどに不備があることが19日、分かった。都道府県ごとの結果は22日に公表する予定。同省は高病原性鳥インフルエンザが過去最大に広がる中、全農場で管理基準が順守されるよう、指導を続ける。
19日に開かれた鳥インフルエンザ関係閣僚会議で報告された。飼養衛生管理基準のうち、今シーズンの発生農場で不十分なケースが多かった7項目について、前回点検で約1割ほどの農場に不備があったため追加調査をした。
今回は1月18日までの約1カ月間で聞き取り、報告数は前回報告数の2倍近くとなる1万3543。小規模農場にも働き掛けた上、愛玩動物として鳥を飼う個人や、動物園、研究施設などにも報告を求めた。
今回の点検では、「衛生管理区域専用の衣服、靴の設置と使用」「家禽(かきん)舎ごとの専用の靴の設置と使用」がともに順守率89%で低かった。一方、「野生動物の侵入防止ネットなどの設置、点検、修繕」など同95%で高かった。
前回点検から順守率が下がった項目は「ネズミ、害虫の駆除」で、前回点検より3ポイント減の93%だった。
同省によると、前回の点検で不備があった農場の多くは改善しているという。今回不備があった農場についても防鳥ネットや消毒機器の整備などへの支援の活用を促し、順守率100%を目指す。同省動物衛生課は「全ての項目を順守する必要がある。引き続き、指導や助言などを続けていく」と強調した。
野上浩太郎農相も19日の閣議後会見で、「今シーズンは発生数、殺処分数とも過去最大となっている状況。関係府省と連携し緊張感を持って対応していきたい」と述べた。
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2021年01月20日
農政の新着記事
輸出で地方空港を活用 米から野菜へ転換支援 首相
菅義偉首相は22日の参院本会議の代表質問で、農林水産物・食品の輸出拡大のため「輸出対応型の集荷施設を整備するとともに、地方空港の活用を進める」と述べた。公明党の山口那津男代表への答弁。米政策を巡っては余剰米の買い上げを否定し、需給均衡に向けて「野菜などの高収益作物への転換を支援していく」と述べた。共産党の小池晃書記局長への答弁。
輸出拡大に関して、首相は「(輸出向け)産地の育成と合わせ、集積拠点や効率的な輸送ルートといった物流基盤の強化が重要だ」とも述べた。……
2021年01月23日
緊急事態で農産物価格低下 「生産者を下支え」 農相
野上浩太郎農相は22日の閣議後記者会見で、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の再発令の影響で、花きなど一部の農産物の価格が低下しているとの認識を示した。「生産者の下支えを図りたい」と述べ、2020年度第3次補正予算の事業で販売促進を支援する考えを示した。
野上農相は、緊急事態宣言による外出の自粛や飲食店の営業時間の短縮で、ホテルや贈答向けのメロン、外食向けの大葉・ワサビといったつま物の需要が減少し、「価格が下がり始めている」と述べた。……
2021年01月23日

配合飼料高騰 長期化に農家恐々 負担増へ先手置き換え急ぐ 食べ残し削減徹底
トウモロコシや大豆など穀類相場の高騰で、国内で配合飼料の供給価格が上昇しているため、畜産現場に長期的な影響が及ぶ可能性が出てきた。JA全農によると、1~3月期の配合飼料供給価格は昨年10~12月期に比べ、全国全畜種総平均で1トン当たり3900円値上げされている。産地は、年内は高値が続く可能性があるとして、代替飼料の活用など新たな対策を模索し始めた。(関山大樹、中川達己)
北海道中標津町のTMR(完全混合飼料)センター「とうほろDairyCenter」は、配合飼料に大豆やトウモロコシなどを混ぜた混合飼料を作り、地域の酪農家の乳牛約1250頭に供給している。だが、飼料や原料を貯蔵する12個のタンクのうち現在、大豆だけが空の状態だ。
今冬、大豆を取引するメーカーに1トン当たり5000円の値上げを打診された。従来通りに飼料生産をした場合、年間400万円の負担増になる。代替策として、飼料の主要なタンパク源を加熱大豆から、タンパク含有率のやや低い「コーングルテンフィード」に置き換えた。
センターは大豆の他、トウモロコシ、しょうゆかす、配合飼料なども使う。代表の竹村聡さん(57)は「このままだと値上がりでさらに経費が増えるため、タンパク源を替えて早めに対策を打った」と説明する。
芽室町で肉用牛約4000頭を飼養する大野ファームは月700トンほど配合飼料を購入しており、飼料高騰前に比べ、毎月210万円経費がかさんでいる。代表の大野泰裕さん(56)は「配合飼料はすぐ置き換えられるものではないが、長期的に影響が続いた場合を考え、国産で置き換えられるものがあれば少しずつ替えていく」と見据える。
九州でも畜産農家が対応に苦慮する。飼養頭数50~100頭規模の養豚農家が多い宮崎県のJA都城では「豚の餌の食べこぼしを減らすなど、餌を無駄にしないこれまでの対策を継続し、徹底するよう呼び掛ける」(養豚課)としている。
穀類の国際価格の基準となるシカゴ先物相場では20日(米国現地時間)、トウモロコシが1ブッシェル5・22ドル。大豆も1ブッシェル13・70ドル。昨年1月の同相場はトウモロコシが同3ドル台、大豆は同8ドル後半~9ドル台で推移しており、今年は高値が続く。
相場高騰は昨年8月以降、南米や米国など主産地での高温乾燥や暴風雨による生育不良が原因。中国で飼料用の需要が増え、旺盛な輸入が続くことも影響した。
米国農務省が1月12日に発表した需給予測では、今年8月末の大豆の期末在庫は全需要量の3・1%と極めて低い水準に落ち込む見込み。穀類の需給逼迫(ひっぱく)が続けば、国内の配合飼料供給価格が高止まる可能性がある。
一方、1~3月期の配合飼料安定基金の補填(ほてん)額の決定は4月中旬を予定。発動されれば、5月末に支出される。
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2021年01月22日

千葉 アヒルで鳥インフル 出荷先6道府県 処分完了
農水省と千葉県は21日、同県横芝光町のアヒルふ卵農場で鳥インフルエンザの疑似患畜を確認し、約8000羽を殺処分した。今季37例目となる。アヒルのひなの出荷先である疫学関連農場は北海道、宮城、茨城、埼玉、大阪、奈良の6道府県9農場に及び、同日に各自治体が約6700羽の殺処分を終えた。
発生農場が20日、産卵率の低下を県に通報。農水省によると、産卵率低下は高病原性鳥インフルエンザでも起きる症状で、防疫指針にも記載がある。21日に遺伝子検査で高病原性の疑いがあるH5亜型と判定された。
千葉県は発生農場で防疫措置を実施。同農場から半径3キロ圏内の移動制限区域には5戸が約17万羽を、半径3~10キロ圏内の搬出制限区域には25戸が約126万羽を飼う。
疫学関連農場では、発生農場が7日間以内に供給したひなを疑似患畜とし、同じ鶏舎などで管理するアヒルを殺処分した。疫学関連農場周辺では、移動制限・搬出制限区域を設けていない。
出荷先も殺処分 拡散防止へ厳重警戒
アヒルのひなの出荷先道府県では、ひなを疑似患畜として同日中に殺処分を完了。当該農場の家禽(かきん)の移動を禁止するなど、対応に追われた。
埼玉県は同日、県内2カ所に出荷されていたアヒル2159羽の殺処分を終えた。対象は行田市の879羽、春日部市の1280羽。2月5日まで2農場の全ての家禽の移動を控えるよう求めた他、農場の出入り口を1カ所に制限し、農場外に物品を搬出しないよう要請した。
茨城県も、かすみがうら市の1農場、古河市の2農場で計2884羽の殺処分をした。対象外の約8600羽は移動を禁止し、14日間の健康観察を経て異常がなければ、2月5日にも解除する。
年間700万羽を加工する茨城県の食鳥処理会社の関係者は「ウイルスを持ち込まれては加工処理も止まってしまう。改めて処理道具の熱処理や出入り口、車両の消毒など、予防対策を徹底していくしかない」と話す。
北海道は、赤平市の農場のアヒルのひな637羽を疑似患畜と決定し、21日午前1時44分に殺処分を完了した。同農場では食用アヒル約4000羽を飼養。ひなは19日に到着し、単独の鶏舎で飼っていた。
道は21日、家畜伝染病予防法に基づき同農場に対し、家禽などの移動を禁止し、毎日の死亡羽数を空知家畜保健衛生所に報告するよう命令した。
宮城県は、角田市の養鶏場が15日に導入したアヒル517羽の殺処分と農場の防疫措置を、21日朝までに完了した。養鶏場では約7000羽のアヒルを飼っており、殺処分対象外のアヒルも検査と経過観察を行う。移動制限区域などは設けず、周辺鶏農家へ情報提供をした。
奈良県御所市の農場では21日、全205羽の殺処分・防疫措置が完了した。同農場ではアヒル約2000羽を飼養。当該のひなは複数ある鶏舎の1カ所で飼っていたため、残る家禽とは接触がないという。
大阪府も、府内の農場が購入したひな326羽を殺処分し、21日午後0時45分に防疫措置を終えた。府内の農場での疑似患畜確認は今季初めて。府は警戒の強化を呼び掛ける。
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2021年01月22日
生物多様性保全戦略 流通・消費者も一体で 来年度改定へ新項目 農水省
農水省は、生物多様性の保全方針を示す戦略を2021年度中に改定する。5月に中国で開かれる生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で、新たな世界目標が決まることを踏まえる。これまで3回の有識者検討会を開き、ビジョンや目次案などを議論。現行戦略は生産者向けの記述が中心だったが、新戦略は流通、消費まで関係者一体となった取り組みを促す内容となりそうだ。
同戦略は07年に初めて策定し、農薬や肥料の適正使用、農業生産工程管理(GAP)の普及といった施策の展開を盛り込んでいる。今回が2回目の改定で、COP15を受けて決める国家戦略にも反映させる。これまでの議論で、30年に向けた戦略のビジョンは「農山漁村が育む自然の恵みを生かし、環境と経済がともに循環・向上する社会」とする方向となった。
18日の検討会第3回会合では、目次案などを議論。現行の戦略は生産者向けの記述が中心だが、同省は新たに流通業者、消費者向けの項目の新設を提起。環境に配慮した農産物の調達や、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品ロスの削減などを促すとした。
農林水産関連のコンサルティングなどを手掛ける、いきもの株式会社の菊池紳代表取締役は「流通業者が生物多様性に関わるには、それに取り組む生産者から優先して調達するのが一番」と指摘。生産者との連携を記述するよう求めた。立教大学特任教授の河口真理子氏は「生物多様性を守る最前線にいる生産者を応援しないと何も始まらない。リレーをつないでいるのが流通、小売りという位置関係も書いてほしい」と強調した。
次回の会合は3月上旬を予定。戦略本文などを検討する。
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2021年01月22日
米、輸出へ「新JAS」 23年産めざし検討会議 農水省
農水省は20日、農産物検査規格・米穀の取引に関する検討会を開き、農産物検査や米の流通に関する見直し項目について、今後の具体的な検討の進め方を示した。米の輸出拡大や高付加価値販売に向けた新しい日本農林規格(JAS)の制定については、2023年産米からの実現を目指して、検討会議を設ける。……
2021年01月21日
家伝法の課題検証を 鳥インフルで自民、PT設立へ
自民党は20日、鳥インフルエンザ等家畜防疫対策本部(本部長=江藤拓前農相)の会合を開いた。議員からは、県による対応水準のばらつきの是正や、十分な埋却地の確保の徹底に向け、国の対応強化を求める意見が出た。江藤本部長は「法律の問題点はないのか」と述べ、現行の家畜伝染病予防法(家伝法)の課題の検証が必要との認識を表明。プロジェクトチーム(PT)を立ち上げて議論する方針を示した。
高病原性鳥インフルエンザは今シーズン、15県36事例が発生し、過去最多の604万羽が殺処分された。……
2021年01月21日
「半農半X」支援策探る 農水省の農村政策在り方検討会
農水省の新しい農村政策の在り方検討会(座長=小田切徳美・明治大学教授)は20日、ウェブ会議形式で会合を開き、「半農半X」など、農業とさまざまな仕事を組み合わせた活動の支援策を検討した。委員からは、農業など地域の産業に精通した税務・会計支援や、希望する仕事の実現に向けた学習や仲間づくりなど、多様な機会を提供する必要性が指摘された。
同検討会では、「田園回帰」の受け皿になる農村の環境整備に向けた施策を検討している。
委員の平井太郎・弘前大学大学院准教授は、「半農半X」を踏まえた事業展開を推進する上で、農業などに詳しい「中小企業診断士や税理士を地域で育てることが重要だ」と指摘。小田切教授も「地方の税務・会計支援は重要な論点」と述べた。
いわて地域づくり支援センターの若菜千穂常務は、「重要なのは、やりたいことが仕事になる、希望が持てる社会づくりだ」と指摘。実現に向けた学びの場や仲間づくりなど、政策による「多様な機会」の創出が必要とした。
同日は、島根県海士町の大江和彦町長が取り組みを報告した。同町では「半官半X」を推進する条例を制定。役場の仕事をしながら、農漁業など地域振興につながる民間の活動に参加できるようにした。
本格的に「半官半X」による地域振興を進めるため、採用試験に「半官半X」枠を新設。職員を配置する新たな部署も立ち上げる予定という。大江町長は「地方、田舎こそ公務員に複業の必要性を感じている」と強調した。
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2021年01月21日

[補正予算 注目の事業] 農地情報精度高く スマート農業で活用へ 農水省
農水省は、衛星画像から作る農地の区画情報「筆ポリゴン」の精度向上に乗り出す。これまでより解像度の高い画像を人工知能(AI)に取り込み、圃場(ほじょう)の大区画化や宅地化などで形状が変化した区画を、より正確に判別できるようにする。得られたデータをスマート農業などに活用する実証試験も行う。
2020年度第3次補正予算に8億4500万円を盛り込んだ。……
2021年01月21日

鳥インフル 飼養管理不備1割 改善へ指導継続 農水省
農水省が全国の養鶏場などを対象に行った飼養衛生管理基準の自主点検で、報告があった約1万4000件の農場などのうち、1割ほどに不備があることが19日、分かった。都道府県ごとの結果は22日に公表する予定。同省は高病原性鳥インフルエンザが過去最大に広がる中、全農場で管理基準が順守されるよう、指導を続ける。
19日に開かれた鳥インフルエンザ関係閣僚会議で報告された。飼養衛生管理基準のうち、今シーズンの発生農場で不十分なケースが多かった7項目について、前回点検で約1割ほどの農場に不備があったため追加調査をした。
今回は1月18日までの約1カ月間で聞き取り、報告数は前回報告数の2倍近くとなる1万3543。小規模農場にも働き掛けた上、愛玩動物として鳥を飼う個人や、動物園、研究施設などにも報告を求めた。
今回の点検では、「衛生管理区域専用の衣服、靴の設置と使用」「家禽(かきん)舎ごとの専用の靴の設置と使用」がともに順守率89%で低かった。一方、「野生動物の侵入防止ネットなどの設置、点検、修繕」など同95%で高かった。
前回点検から順守率が下がった項目は「ネズミ、害虫の駆除」で、前回点検より3ポイント減の93%だった。
同省によると、前回の点検で不備があった農場の多くは改善しているという。今回不備があった農場についても防鳥ネットや消毒機器の整備などへの支援の活用を促し、順守率100%を目指す。同省動物衛生課は「全ての項目を順守する必要がある。引き続き、指導や助言などを続けていく」と強調した。
野上浩太郎農相も19日の閣議後会見で、「今シーズンは発生数、殺処分数とも過去最大となっている状況。関係府省と連携し緊張感を持って対応していきたい」と述べた。
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2021年01月20日