[新型コロナ] 「食料安保に関心」6割 “国産派”も増 コロナで高まる 全中調査
2021年03月02日
新型コロナウイルス禍を経て、国民の約6割が食料安全保障に関心を持っていることがJA全中の調査で分かった。うち約7割は国産食品を積極的に買っていた。以前からそうした考えを持っていた人に加え、コロナ禍を機に考えが変わった人も一定数いて、国民の食料への意識が高まっていることが鮮明になった。
全中は食や農業、JAに関する世論を知るため2011年から毎年調査をしている。対象は全国の20~60代の男女2500人。20年11月の最新調査では、初めてコロナ禍について聞いた。
「以前に比べ、国内で食料を生産する大切さ(食料安全保障)に対する関心が高まったか」という問いでは、18・4%が「以前は関心を持っていなかったが、コロナ禍で関心を持つようになった」と答えた。「コロナ禍で、さらに関心が高まった」(19・6%)、「コロナ禍以前から引き続き関心は高い」(22・7%)と合わせ60・7%が食料安全保障に関心を持っていた。
食料安全保障に関心を持つ人の割合は、女性で特に高かった。年代別に見ると、以前から関心が高い人の割合は男女とも高い年代ほど上昇する傾向にあった。新たに関心を持ったり、高めたりした人の割合は年代に比例しなかった。
食料安全保障に関心を持つ人に対し「国産の食品を多く(外国産から切り替えて)買うようになったか」を聞いたところ、72・6%が国産食品を積極的に購入していた。
内訳は「コロナ禍以前から積極的に買っている」が37・5%で最多。「コロナ禍以前から買っているが、さらに買おうと思った」(22・1%)、「コロナ禍で関心を持ち積極的に買うようになった」(12・9%)と続いた。
全中は、食料安全保障への関心が高い割合で行動に結び付いていると指摘。「引き続き『国消国産』の重要性を発信し、食料安全保障の確立につながれば」(広報部)とする。
全中は食や農業、JAに関する世論を知るため2011年から毎年調査をしている。対象は全国の20~60代の男女2500人。20年11月の最新調査では、初めてコロナ禍について聞いた。
「以前に比べ、国内で食料を生産する大切さ(食料安全保障)に対する関心が高まったか」という問いでは、18・4%が「以前は関心を持っていなかったが、コロナ禍で関心を持つようになった」と答えた。「コロナ禍で、さらに関心が高まった」(19・6%)、「コロナ禍以前から引き続き関心は高い」(22・7%)と合わせ60・7%が食料安全保障に関心を持っていた。
食料安全保障に関心を持つ人の割合は、女性で特に高かった。年代別に見ると、以前から関心が高い人の割合は男女とも高い年代ほど上昇する傾向にあった。新たに関心を持ったり、高めたりした人の割合は年代に比例しなかった。
食料安全保障に関心を持つ人に対し「国産の食品を多く(外国産から切り替えて)買うようになったか」を聞いたところ、72・6%が国産食品を積極的に購入していた。
内訳は「コロナ禍以前から積極的に買っている」が37・5%で最多。「コロナ禍以前から買っているが、さらに買おうと思った」(22・1%)、「コロナ禍で関心を持ち積極的に買うようになった」(12・9%)と続いた。
全中は、食料安全保障への関心が高い割合で行動に結び付いていると指摘。「引き続き『国消国産』の重要性を発信し、食料安全保障の確立につながれば」(広報部)とする。
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栗山千明さん(女優) レンコン映画に悪戦苦闘
私が生まれ育った茨城県は、レンコンの生産日本一なんです。
でもそのことを知ったのは、大人になってから。私の住んでいたところに農地はなく、ちょっと遠出してレンコン畑があると、親から「落ちたらダメだよ」と言われたことを覚えています。
今回、加賀レンコンを題材にした映画『種まく旅人~華蓮のかがやき~』に出演させていただきました。レンコン農家の生き方を描く作品で、畑に入っての撮影シーンもありました。
覚悟はしていたんです。埋まってしまう、思うように動けない。事前に知っていましたので、これは大変だぞと思いながら入ったんですが、やっぱり。
このせりふを言う時にはこの動きを……と思って体を動かすんですが、いざやってもできないもどかしさが。
農家の苦労実感
畑の真ん中で、撮影のセッティングを待つこともありました。普通なら一回上がって待つのでしょうけど、端まで行くのが大変なんです。ですからスタッフの方に「私はここにいます」と言って残るんですが、どんどん足が埋まっていって動けなくなってしまうんです。それを防ぐため、たまにもじもじ動いてみたり。農家の方のご苦労に頭が下がりました。
私は初めて畑に入るという設定の役でしたから、慣れていなくても成立します。私のあたふたしている様子が、ナチュラルに映っていると思います。
金沢での撮影というと、夜はおいしい魚を食べたんだろうと思われるでしょうが、残念なことに違うんです。夜のシーンの撮影がたくさんありましたし、宿泊しているところから繁華街が遠い上、朝早くから撮影が始まりましたので、食べに行けませんでした。前に舞台で金沢に行った時は、いろいろ食べられたんですが。
地元野菜を堪能
その代わり今回は、地元の方々がレンコンをはじめ野菜を使った料理を振る舞ってくださいました。面白い上においしかったのは、レンコンをすりおろしてお好み焼きに入れたもの。他にも、言われないとレンコンだと分からない料理がいくつも出てきました。
子ども時代は、レンコンはきんぴらとか煮物とかでしか食べたことがなかったんです。おいしい食べ方がいろいろあるんだと、初めて知りました。
『種まく旅人』はシリーズ化され、今回が4作目。私が出演するのは2作目ですけど、おかげで食に対する探究心が強まりました。
もともと日本食派なんです。ご飯が大好き。おそば、うどんも好き。茨城生まれですから、納豆は常に冷蔵庫に入っています。あと、生ものが好きなんですよね。魚、貝、鶏のささ身。野菜もそのまま生で食べるのが好きです。セロリとかは、マヨネーズも何も付けずにバリバリと食べます。
生でいただくのが好きだから、料理が上達しないという欠点があるんですが。
仕事で海外に行くことはあっても、海外旅行には興味を持てません。観光は楽しめても、長くいられないんです。「あー和食を食べたい」という気持ちになるから。日本に帰ってきたら、真っ先に刺し身を食べたくなります。
以前、舞台の仕事で金沢に行った時は、おいしい刺し身に感動しました。今回は加賀野菜の素晴らしさを知ることができました。次に金沢に行くことがあったら。ゆっくりと魚と野菜をいただきたいと思っています。(聞き手=菊地武顕)
くりやま・ちあき 1984年茨城県生まれ。モデルを経て、99年に映画『死国』で女優デビュー。『バトル・ロワイヤル』(2000年)での演技がクエンティン・タランティーノ監督を魅了し、同監督の『キル・ビルVol.1』(03年)に出演した。『種まく旅人~華蓮のかがやき~』は3月26日石川県先行上映、4月2日公開。
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2021年03月06日

10年の教訓 被災の痛み自分事に ノンフィクション作家 島村菜津
東日本大震災と福島第1原子力発電所事故から10年が過ぎた。昨年の秋、久しぶりに三陸海岸を訪れた。途中、海岸線沿いの物々しい防潮堤工事を目の当たりにし、復興などまだまだ遠いことを実感した。
浜支えるワカメ
案内してくれたのは、「浜とまちをつなぐ十三浜わかめクラブ」(2020年発足)の代表、小山厚子さんだ。震災直後、宮城県十三浜の物資支援に始まり、13年からは新物ワカメや昆布を直接購入し、浜の暮らしを支えてきた。雑誌「婦人之友」の読者から成る「友の会」約180団体が賛同。小山さんによれば、「友の会」の女性たちの家計簿には公共費の欄があり、いざというときに出せるよう普段からストックしている。だから10年たって他の多くの支援が途絶える中でも自分たちは続けられるという。
いざというときの社会活動のために日々、ためておく。それが体にも心にも効くワカメに化ける。こんな良い話はない。
十三浜は、宮城県北上町に点在する13の集落だ。その一つ大室の漁師・佐藤徳義さんは津波で船も家も流された。2~4月に刈り取ったワカメは、すぐ浜で湯通しして、一度、冷やして濃い塩水に漬け込む。葉と硬い中芯を分ける芯抜きも根気と経験が要る。丁寧なものづくりだ。
「塩蔵ワカメの自給率は25%ほど。それをしっかり伝えてほしい」と徳義さんはいう。外食産業や加工業者の多くが安い輸入品を選ぶため、漁師たちは買いたたかれ、苦戦しているのだ。
再建した住宅で1人暮らしをする元漁師の佐藤清吾さんは、震災直後、宮城県漁協十三浜支所の運営委員長としてワカメ養殖による復興の指揮を執った人だ。「北上山系から真水が注ぎ、沖で親潮と黒潮が交わる。このリアスの浜で育つワカメは肉厚で格別においしい。出荷まで3年のホヤやホタテと違い、ワカメは短期で収益になる。迷いはありませんでした」
変わらない行政
漁師を励まし、復興に尽力した清吾さんは、本家に避難した妻と孫、兄たちを津波で失った。その清吾さんが、かつて万里の長城とまでいわれ、1200億円を投じた岩手県の田老地区の防潮堤が跡形もなく破壊されたのだという。もう一度、同じ過ちを繰り返す行政への憤りを静かに語る。
一方で、この20年で漁師は25万人から18万人、農家も260万人から168万人に減少した。
震災から10年、農山漁村に日々の食卓やエネルギーを託している大都市の私たちは、果たしてその声に本気で耳を傾けたのだろうか。災害はどこにでも起こる。彼らの痛みを自分事として受け止めることができたのだろうか。
しまむら・なつ 1963年福岡県生まれ。東京芸術大学卒。ノンフィクション作家、イタリアのスローフード運動を日本に紹介した先駆者。「スローフードな人生」「スローな未来へ」など著書多数。
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2021年04月05日
その昔、カジノの本場、米国ラスベガスでスロットマシンに興じた
その昔、カジノの本場、米国ラスベガスでスロットマシンに興じた。ビギナーズラックは、訪れなかった▼当時、お世話になっていた日系2世のおばさんは、そのスロットマシンで遊ぶ休暇を楽しみに毎日農園で働いていた。ラッキー7を求め、全米、いや世界から観光客が押し寄せ、歓喜と落胆が不夜城の街を支配した。おけらになろうが、大金持ちになろうが運次第▼人間界はそれで済むが、ウイルス界となるとそうもいかない。ウイルスが生き延びるため変異を繰り返すことは、新型コロナで学習したばかり。ウイルスもまたスロットマシンのように、レバーを引くたびに遺伝子の配列が変わる。多くは「小当たり」「中当たり」だが、問題はいつ人類を危機に陥れる「大当たり」が出ても不思議でないこと▼そう警告したのは、8年前に刊行された『人類が絶滅する6のシナリオ』(フレッド・グテル著)。同書は、「スーパーウイルス」を筆頭に「気候変動」や「食料危機」などを挙げ、「滅亡の淵」に立つ人類に最悪の事態に備えよと呼び掛けた▼変異を繰り返す新型コロナウイルスが「大当たり」を引き当てる前に、人類の英知は働くのだろうか。運を天に任せるギャンブラーの気分である。
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2021年04月08日

農家から店舗へ イチゴ積み公道走る ロボ2台リレー自動配送 任せて 茨城県で初実験
新型コロナウイルス下、高齢化が進む農村部での新たな物流技術の開発へ──。農家から集荷した農産物をロボットが公道を走行して店舗まで自動で配送する実証実験が、茨城県筑西市の道の駅「グランテラス筑西」で始まった。自動運転技術と配送ルートを最適化する技術を組み合わせた2台が、公道を利用して作業を行うのは国内初という。担い手不足対策や高齢化などで運転免許を返納しても農産物を出荷でき、コロナ禍での接触感染防止にも期待がかかる。実験は13日まで。(木村泰之)
労力減、感染予防も
実験では、原動機付き自転車の扱いでナンバープレートを付けた公道走行用と、道の駅の敷地内を走るロボットを組み合わせて、農園前から店舗まで届ける。初日、道の駅近くの90アールでイチゴを栽培する石川正吾さん(46)が、公道走行用ロボットにイチゴ約2キロを積み入れた。ロボットは農園前から道の駅へ出発し、無人で走行した。道の駅に着くと、関係者の手で構内用ロボットに積みかえた。安全を確認する随行者と店舗までの合計約200メートルを時速3キロで走った。
石川さんは「直売所には1日7、8キロのイチゴを出荷する。忙しくなると人手もままならない。コロナ禍で人との接触を避けたい農家が、道の駅まで出向かなくても出荷できるようになる」と新たな相棒を歓迎した。
13日までに石川さんの他、片道1キロ圏内の農家から小玉スイカやミニトマトなどを集荷したり、道の駅の商品を近隣の民家に届けたりする。
このロボットは、電動車椅子を改造したものだ。ベンチャー企業のティアフォーなどが開発した。三次元地図を記憶させてセンサーで感知した周りの状況を、人工知能が選んだ最適なルートで重さ10キロまでの荷物を運ぶ。人が遠隔監視をするが、障害物があれば自動で止まる。
実験の事務局を務める東京海上日動営業企画部の松下雄担当課長は「1台で作業を完結できることが目標だ。農家からJAの集荷場など基地までの1、2キロを自動配送ロボットが出荷を担い、免許がなくても農業を続けてもらえる社会にしたい」と力を込めた。
須藤茂市長も「自動配送ロボットは、高齢化など農業を取り巻く課題の解決だけでなく、コロナ禍で求められる非接触物流システムの可能性も検証できる」と期待した。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=yswKRrjaVxs
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2021年04月06日

地域と移住者を橋渡し 各地で協力隊“卒業生”の組織設立
元・地域おこし協力隊員の組織化の動きが、各地で広がっている。地方への移住希望者と受け入れ側とのミスマッチ予防に活躍する。元隊員は、隊員の募集要項の見直しを助言し初の採用に貢献、また経験を生かして移住希望者の不安に寄り添うなどの活動を展開。政府が2024年度までに隊員数を8000人にする目標を掲げる中、“先輩移住者”として隊員の受け入れや定着を後押ししている。(丸草慶人)
「隊員」初採用導く 募集要項の見直しも
総務省によると元隊員らの組織数は、15年度の1団体から、20年度末までに19団体に増えている。隊員数が増える中、身近な相談窓口として同省は19年度、組織化を後押しする事業をスタート。都道府県単位の組織を設ける場合、150万円を上限に助成する。20年度までに10団体を採択。21年度も事業は継続する。
「自治体は隊員にあれもこれも多くを求めがち。隊員はスーパーマンではない」。佐賀県地域おこし協力隊ネットワーク代表の門脇恵さん(35)はこう指摘する。佐賀県で19年11月、元隊員らが同ネットワークを設立した。20年度、4市町の募集要項や活動内容の見直しを手伝った。
門脇さんの助言で神埼市は、活動項目を7から1に絞り込んだ。「イベントの開催と誘致」に限定し、仕事内容をイメージしやすくした。このことで、隊員の募集開始から4年目で初の採用につなげることができた。同市初の隊員となった福岡県出身の吉富友梨奈さん(31)は「移住希望者にとって、活動内容の分かりやすさは重要。サポートが充実していて安心できた」と話す。
悩みに共感心ケア 相談窓口を担当
元隊員は、移住希望者の不安にしっかり寄り添えることも強みだ。19年度の移住者が1909人と過去最高を記録した愛媛県。移住相談窓口を「えひめ暮らしネットワーク」が担う。
ここでは8人の元隊員が松山市の事務所に常駐。移住希望者が現地を視察する場合、ネットワークの元隊員が現地隊員の同行を手配している。
元隊員の組織化によって、隊員や自治体の情報が集まりやすくなった。このことを生かし移住希望者に適した地域や活動内容を助言し、ミスマッチの防止を目指す。不定期で訪れる移住相談にも臨機に対応でき、着実な移住につなげている。代表の板垣義男さん(46)は「希望者の悩みに共感して、視察先のありのままを答えることができる」と胸を張る。
持続可能な地域社会総合研究所・藤山浩所長の話
地方回帰を進める上で、地域おこし協力隊は重要な存在だ。地域実態に合った活性化の戦略を練り上げるには、隊員としての経験と知見が頼りになる。元隊員らが組織化することで、ノウハウを共有して学び合える。地域の意見と移住者のやりたいことを調整して導くことができ、受け皿となることにも期待できる。
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2021年04月09日
新型コロナの新着記事
3都府県「まん延防止」 コロナ禍出口どこに
政府は9日、新型コロナウイルス対策として緊急事態宣言に準じた対応が可能となる「まん延防止等重点措置」を東京、京都、沖縄の3都府県に適用することを決めた。対象区域の飲食店は、営業時間の午後8時までの短縮を求められる。影響を受ける外食産業や農家などの関係者からは、コロナの終息に向けた出口が全く見えない状況に「かなり厳しい」「これ以上は限界」といった声が相次いだ。
また時短、限界 消費しぼむ
外食
外食業界団体の日本フードサービス協会は「飲食店は『時短営業対応をいつまで繰り返すのか。いい加減にしてほしい』というのが本音だ」と明かす。……
2021年04月10日
[新型コロナ] 「まん延防止」3府県に適用 生産者、外食、市場の声 回復の兆し暗転
政府は1日、新型コロナウイルス対策として緊急事態宣言に準じた対応が可能となる「まん延防止等重点措置」を大阪、兵庫、宮城の3府県に初適用することを決めた。飲食店に午後8時までの営業時間短縮を要請する。対象地域の外食産業や農家などの関係者からは、感染が急拡大する状況に理解を示しながらも、消費や売り上げの減少に不安を訴える声が相次いだ。
酒の消費減退「心配」 兵庫県
全国一の酒造好適米生産量を誇る兵庫県。酒米生産者らでつくる県酒米振興会の村井喜彦事務局長は「緊急事態宣言時と同じような消費の冷え込みが予想される。感染防止のためには、仕方がないことだが、歓迎会シーズンに残念だ」とこぼす。県内では、 2021年産を減産する動きもあり、一層の酒米需要の減退を警戒する。
外食産業でも影響を心配する声が上がっている。JA全農兵庫の直営レストラン「神戸プレジール本店」(神戸市)では、3月1日の緊急事態宣言解除後、時短営業が午後9時までに緩和されたことで「目に見えて来客数が回復してきたところ」(営農企画部)という。
だが、重点措置では営業時間を午後8時まで短縮するよう求めており、「行政の指導には従う。ただ1時間の差は大きな影響が出る」(同)と懸念する。
牛肉「価格どうなる」 宮城県
宮城県登米市の「仙台牛」の繁殖・肥育農家、千葉啓克さん(31)は「まん延防止措置は仕方ないことだが、飲食店の営業時間が短くなるので、客足が遠のく可能性がある」と声を落とす。
JA全農みやぎによると、「仙台牛」になるA5等級の卸売価格は、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年4月は外食需要の減退により、前年比3割弱下落した。しかし、現在は回復基調にあった。
千葉さんは、まん延防止措置の適用で客足が遠のけば「単価が再び下がってくるのでは」と懸念する。
仙台市中央卸売市場の関係者は「飲食店向けの需要は一層厳しいものになりそうだ」と気をもむ。飲食店での需要が多い、つま物類やタケノコ、メロン「アールス」などが振るわないという。
コロナ禍以降、1年近くにわたり飲食店の低迷が続いていることから「閉店する飲食店も増えていると聞く。今後への影響が心配だ」と話す。
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2021年04月02日
緊急事態宣言解除も… 入国制限は継続 労力支援を延長 農水省
政府は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の解除後も、水際対策として外国人の入国制限を続ける。農業分野の技能実習生らも対象。期間は「当分の間」としており、生産現場の人手不足につながる可能性がある。農水省は対策として、代わりの人材を雇う際の労賃などに助成する「農業労働力確保緊急支援事業」の対象期間を6月末まで延長する。
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2021年03月20日

[新型コロナ] 4都県 緊急事態解除 再起へ慎重に始動
新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が、21日で解除される。首都圏では感染者数が下げ止まりし、引き続き飲食店の時間短縮要請は続くが、宣言の影響を受けた農業関係者の中には再起を懸けて、奮起する動きも出ている。(中村元則、小林千哲、丸草慶人)
客足、需要回復を期待 観光農園、花産地
千葉市緑区の観光イチゴ農園「エーアト・ベーレ」代表の田中幸男さん(64)は「これでお客が戻ってくることを期待したい。開園期間の5月まで頑張りたい」と話す。1月初旬から始まった緊急事態宣言の期間中、田中さんの農園は来園客が例年の半分に落ち込んだ。それでもJA千葉みらいの直売所などで販売するなどして、売り上げ減少やイチゴの廃棄を避けるよう努力してきた。
昨年はコロナ禍で来園客が減少する窮状を打破しようと、田中さんら千葉市の観光イチゴ農園11園が連携して団体「千葉市観光いちご園~ハッピーベリーガーデンズ」を発足。市の食のブランド「千」の認定を受けた。開園期間は残り約2カ月。田中さんは「仲間と協力して少しでも売り上げを回復させたい」と強調する。
埼玉県鴻巣市で卒業式や入学式の会場などを飾るサイネリアを生産する大山一郎さん(71)は、宣言の解除を「感染が再び拡大しないかという不安はあるが、商売をしている人は宣言が長く続くと参ってしまう。良いとも悪いともどちらとも言えない」と複雑な心情で受け止める。
サイネリアの需要は、緊急事態宣言下でも想定より落ち込まなかったという。大山さんは「式典での需要は減ったが、巣ごもり需要の増加で家庭向けは増えたのではないか」とみる。ただ「まだみんなウイルスにおびえている。宣言が解除されたからと言って、急に需要が増えることはないのではないか」と考えている。
同県深谷市で、チューリップを生産するJAふかや藤沢支店チューリップ部会部会長の嶋田典昭さん(65)は宣言解除を歓迎する。「これまでの家庭向け需要に加え、入学式などでの式典の需要が増えれば」と期待を寄せる。ただ一方で、感染状況などに関しては「不安な気持ちもある」という。
移住促進に弾み 自治体
“コロナ移住”が注目される中、移住促進に力を注ぐ地方の自治体からは「首都圏からの受け入れに弾みをつけたい」との声が上がる。ニーズはあるものの、これまで感染防止のためオンラインでの対応を強いられてきた。ただ、首都圏からの現地訪問の受け入れには懸念の声もあるため、慎重に対応していく考えだ。
長野県伊那市は2020年度、前年度を上回る9組が移住した。移住の相談やセミナーなどは対面からオンラインに切り替え、切れ目なく誘致を続けた。オンラインセミナーは33回開き、延べ1553人が参加。前年度と比べて回数は2倍、参加人数は5倍に増えた。
セミナーでは、移住希望者と地域の小学校をオンライン中継でつないだ。教諭らが登場し、恵まれた自然環境で子育てができることをPR。同市地域創造課の担当者は「オンラインは距離や時間の制約を受けにくいので、地元の人にも参加してもらいやすい」と利点を感じる。
ただ、土地柄や人間関係など現地を訪れないと分からないこともある。同市は「移住を決めるために欠かせない現地訪問ができるよう、十分な感染対策をしていきたい」と話す。
東京・有楽町で移住者の相談に応じるふるさと回帰支援センターでは、国内で感染が拡大した20年2~12月の移住イベントの開催数が、前年同時期(314回)の3分の1程度に減った。
緊急事態宣言が明けた6月以降は、感染予防のため窓口での相談を予約制に切り替えた。予約は常に埋まっており「本気度の高い相談が多く、移住ニーズが減った印象はない」(同センター事務局)という。
ただ、首都圏の新型コロナ感染者数は下げ止まっている。同センターの嵩和雄副事務局長は「現地での移住者の呼び込みを急に再開する自治体は少ない」とみる。
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2021年03月19日
[新型コロナ] 自粛疲れ じわり会食回帰 居酒屋やファミレス 2月売上高、客足増
酒類提供を伴う居酒屋やファミリーレストランなど大手外食の2月の売上高と客足が戻り始め、緊急事態宣言再発令に伴う消費者の自粛疲れによる会食回帰が進んでいる。政府は18日にも緊急事態宣言の全面解除の方針を示す見込みで、外食業界の経営環境は改善される。ただ、営業時間短縮は当面続き、売上高も前年同月比マイナスに沈んだままで、本格回復まで曲折が予想される。
居酒屋チェーンを傘下に持つ外食やファミレスなど上場30社が公表した2月の月次情報(15日現在)を日本農業新聞が分析したところ、19社で既存店の売上高と客足が前月より上昇した。うるう年だった前年同月より営業日が1日少ないにも関わらず、増加に転じ、緊急事態宣言が再発令された前月の落ち込みが底となったところが多い。
大半は売上高、客足とも前年同月比半減レベルにとどまるものの、国内外でカフェやレストランを展開する「グローバルダイニング」は2月の売上高が前年同月比22・8%増とプラスに転じた。来店客数は2%増だったが、客単価が20・3%増となり、売り上げを押し上げた。
緊急事態宣言継続中の売上高、客足の回復の背景にあるのが自粛疲れだ。「土、日の客足が伸びている。夕方早い時間から来店し、午後7時の酒類提供停止まで会食を楽しんでいる」(大手居酒屋チェーン)。逆に、個食が多い牛丼チェーンは売り上げ、客足が減っているところが多い。
外食業界に詳しい亜細亜大学の横川潤教授(経営学部)は「居酒屋やファミレスへの客の移動が起きているのではないか」と自粛疲れによる会食回帰の可能性を指摘する。
ただ、緊急事態宣言が解除された大阪府や愛知県などは時短が午後9時まで、1時間緩和されただけ。22日から解除見込みの1都3県も同様で、外食の急回復は望めない。2月の売上高、客足がさらに落ち込んだ企業も少なくない。
また、新型コロナウイルス対策の改正特別措置法の「まん延防止等重点措置」は、緊急事態宣言がなくても同様の規制が可能だ。「外食制限は当面変わらず、経営への打撃は続く」(同)との見方も根強い。
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2021年03月18日
情報発信の影響調査 コロナ下 購買行動探る 農水省有識者会合
農水省は17日、食料安全保障に関する施策を外部有識者と検討する「食料安全保障アドバイザリーボード」の第2回会合を開いた。食料の安定供給に関するサプライチェーン上の課題をテーマに設定。同省は、新型コロナウイルス感染拡大の影響などを説明した上で、食料の供給状況に関する情報発信が消費者の購買行動に与えた影響を調査する方針を示した。
会合は非公開。同省によると、コロナ禍で生じた課題について、同省が説明した。……
2021年03月18日

[新型コロナ]ワクチン接種始まる 厚生連病院
新型コロナウイルスワクチンの医療従事者向け優先接種が、JA厚生連病院でも始まった。JA神奈川県厚生連相模原協同病院では8日、医療従事者ら約380人が1回目の接種を受けた。10日までの3日間で975人が接種する予定だ。
問診をしてから、肩上部に筋肉注射した。接種後15分は待機し、体調に異変がないことを確認。スムーズに進めば、1分以内に接種が終わる人もいた。接種した井關治和病院長は「全然痛くない。新型コロナウイルスは国難だ。感染の広がりを抑えるために接種に協力したい」と話した。
2回目は3週間後の29日から接種する予定。同病院では、ワクチンが希望した1400人分に足りず、追加の供給を要望している状況だ。
厚生労働省によると、高齢者への接種は4月12日から一部の市町村で始まる見通し。4月5日の週に住民の接種に向けてワクチン供給を始め、6月末まで高齢者約3600万人の2回接種分を配布する予定だ。
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2021年03月09日
[新型コロナ] 「食料安保に関心」6割 “国産派”も増 コロナで高まる 全中調査
新型コロナウイルス禍を経て、国民の約6割が食料安全保障に関心を持っていることがJA全中の調査で分かった。うち約7割は国産食品を積極的に買っていた。以前からそうした考えを持っていた人に加え、コロナ禍を機に考えが変わった人も一定数いて、国民の食料への意識が高まっていることが鮮明になった。
全中は食や農業、JAに関する世論を知るため2011年から毎年調査をしている。対象は全国の20~60代の男女2500人。20年11月の最新調査では、初めてコロナ禍について聞いた。
「以前に比べ、国内で食料を生産する大切さ(食料安全保障)に対する関心が高まったか」という問いでは、18・4%が「以前は関心を持っていなかったが、コロナ禍で関心を持つようになった」と答えた。「コロナ禍で、さらに関心が高まった」(19・6%)、「コロナ禍以前から引き続き関心は高い」(22・7%)と合わせ60・7%が食料安全保障に関心を持っていた。
食料安全保障に関心を持つ人の割合は、女性で特に高かった。年代別に見ると、以前から関心が高い人の割合は男女とも高い年代ほど上昇する傾向にあった。新たに関心を持ったり、高めたりした人の割合は年代に比例しなかった。
食料安全保障に関心を持つ人に対し「国産の食品を多く(外国産から切り替えて)買うようになったか」を聞いたところ、72・6%が国産食品を積極的に購入していた。
内訳は「コロナ禍以前から積極的に買っている」が37・5%で最多。「コロナ禍以前から買っているが、さらに買おうと思った」(22・1%)、「コロナ禍で関心を持ち積極的に買うようになった」(12・9%)と続いた。
全中は、食料安全保障への関心が高い割合で行動に結び付いていると指摘。「引き続き『国消国産』の重要性を発信し、食料安全保障の確立につながれば」(広報部)とする。
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2021年03月02日

コロナ下で地域医療守る北海道厚生連 全国から励まし700件 「皆様の勇気に感謝」「私たちのヒーロー」
各病院で新型コロナウイルスの感染者の治療に当たっているJA北海道厚生連に、感謝の手紙や農作物の寄付など700件を超える支援が全国から届いている。旭川厚生病院では全国最大規模の感染クラスターが発生するなど、感染拡大で先行きが見えず厳しい状況が続いていた。道厚生連の役職員は「“善意の輪”にどれだけ救われたか分からない」と感謝している。(尾原浩子)
職員の心救う
同厚生連は15カ所の病院・クリニックを経営し、特別養護老人ホームやデイサービスなど介護施設も運営。近くに薬局がない組合員や地域住民らのため配置薬業務も行う。地域に密着し農村に軸足を置く同厚生連に対して、全国のJAや組合員、患者、地域住民、関係団体、学校などからの励ましやねぎらいの言葉が書かれた寄せ書きや寄贈・寄付が届いた。
その数は全体で700件以上に上り「この街を支えてくれてありがとう」「みんなが元気になりますように」「感謝の気持ちでいっぱい」「いつも守ってくれてありがとう」といった言葉が多数添えられていた。特に医療従事者に対して「皆さんは私たちのヒーロー」「皆様の勇気に感謝」「いつも応援しています」と感謝の言葉をつづる手紙が多かった。中には手形を桜の木のように仕立てたものもあった。
心温まるメッセージが、時には家にも帰れず、涙を流しながら病院で働く医療従事者の励みになり、勇気につながったという。同厚生連では送られてきた手紙などは大切に保管している。
同厚生連の中瀬省会長は「温かいお言葉でどれほどの職員の心が救われたか分からない。日々励まされ、現在もなお対応に当たることができている」と感謝している。
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