有機農業 50年に100万ヘクタール 新戦略中間案 環境負荷軽減へ 農水省

  農水省は5日、環境負荷の軽減と農業生産力向上の両立を目指す中長期的な政策方針「みどりの食料システム戦略」の中間取りまとめ案を公表した。2050年までに①化学農薬の使用量半減②化学肥料の使用量3割減③有機農業を全農地の25%に拡大──といった意欲的な数値目標を提示。技術革新や農家・消費者らの理解などを前提とし、生産体系を大きく転換する方針を打ち出した。

 

 温暖化防止のため50年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする政府の「脱炭素社会」目標、欧米での同様の戦略・目標の策定を踏まえ、同省は昨年10月に検討を開始した。農家やJAグループ、資材メーカーなどと意見交換を重ねた。中間取りまとめは「具体的な数値目標を示し、戦略の方向性を分かりやすくする」(同省)のが狙いだ。

 数値目標のうち、化学農薬については、毒性の高いものから低いものへの転換などを通じ、50年までに使用量を現状から半減。ネオニコチノイド系を含む従来の殺虫剤を使わなくても済むような新しい農薬を40年までに開発する。輸入に頼るカリウムやリン、化石燃料が原料の化学肥料は、使用量を50年までに現状より3割減らす。

 これらを推進し、有機農業の面積は17年の2万3500ヘクタールから、50年に全耕地面積の25%に当たる100万ヘクタールに広げる。目標達成の前提として、消費者の理解を得て有機食品の市場を拡大。光や音を使った防除、病害虫抵抗性品種の開発など、農家が取り組みやすい新技術を40年までに確立する。

 農林水産業での二酸化炭素の排出量は50年までに実質ゼロにする。園芸施設は、バイオマス(生物由来資源)による加温装置など、50年までに化石燃料を使わない施設に移行。トラクターなどの農業機械は、40年までに電動化の技術確立を目指す。同省は施策を、こうした環境負荷を軽減した「持続可能な」生産に取り組む農家に30年までに集中し、誘導する。

 目標達成を目指す農家を支援する必要性や、生産現場の理解に配慮して推進することも明記。同省は今後、技術開発・普及の工程表も盛り込み、5月に戦略をまとめる。政府全体の方針や22年度以降の予算だけでなく、国際的なルールへの反映も目指して、今年9月の国連食料システムサミットなどで打ち出す考えだ。

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