規制会議議論始まる 准組利用「組合員の判断」 農水省が方向性表明
2021年03月06日
政府の規制改革推進会議農林水産ワーキンググループ(WG)は5日、改正農協法施行5年後の見直しに向けた議論を始めた。農水省やJA全中などから意見を聴取。同省は今後の検討の方向性として、JA准組合員の事業利用については「組合員の判断に基づく」との考えを示した。WG側は、農家所得増大に向けたJAの自己改革の成果を詳細に示すよう求め、数値目標による進捗(しんちょく)管理の必要性も指摘した。
会合は非公開。同省は各分野の改革の実施状況を総括し、方向性を示した。……
WG 所得増「数値目標を」
会合は非公開。同省は各分野の改革の実施状況を総括し、方向性を示した。……
次ページに農水省が示した農協改革の検討方向の表があります
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100歳プロジェクト 支え合う地域づくりを
JA全中は、健康寿命100歳プロジェクトの一層の推進に向けて報告書をまとめた。健康を軸に、組合員・地域住民・JAのつながりを深める。誰もが住み慣れた場所で、できるだけ長く、生き生きと暮らせる地域づくりに生かしたい。JAの組織基盤強化にも結び付けよう。
プロジェクトは、2020年度で開始から10年。健康寿命を伸ばすため「健診・介護」「運動」「食事」を3本柱に、JA介護予防運動やウオーキング、乳和食などさまざまなメニューを提供してきた。今回、内容を改善し、地域活性化に貢献する具体策を検討、報告書をまとめた。
健康の概念を身体中心から精神的なものにまで広げ、3本柱を「からだ」「こころ」「つながり」に再編。体と心の健康と、社会とつながる活動に取り組む。対象も高齢者というイメージが先行していたため、改めて「全世代」を提示した。プロジェクトによって、世代を超えた組合員・住民の仲間意識を醸成する。JAとの接点も増やし、信頼感を高めることで、アクティブメンバーシップを拡大、組織基盤の強化にもつなげる。
10年間を振り返ると、①取り組みにJA間、県間の格差がある②活動が助けあい組織や女性組織、担当部署にとどまっている③行政との連携が不足している――といった課題も見えてきた。健康を軸に地域づくりを進めるには、事業や部署の枠を超え、JAが一丸となる必要がある。
報告書では、農を軸とした健康に結び付く取り組み(アグリ・サイズ)を新たなメニューとして開発、農作業の準備運動、整理運動やフレイル(虚弱)対策となる料理レシピ紹介などを提案する。いずれも共済連や厚生連などの事業連との連携が期待できる。
団塊ジュニア世代が65歳以上となり、高齢化が加速する「2040年問題」も見据える。国の推計では、40年時点で65歳の人のうち、男性は4割が90歳まで、女性は2割が100歳まで生きるとされ、“人生100年時代”が視野に入る。一方で、少子化などで現役世代は急減する。
プロジェクトが掲げる「つながり」が、同問題への対策の鍵の一つだ。JAが起点となり、健康を軸に、組合員・住民同士のつながりをつくる。例えば体の健康には健診や運動を、心の健康には社会参加など生きがいを得られる活動をJAが働き掛け、それぞれの取り組みの場所や場面でつながりを生み出す。それを網の目のように張り巡らせ、老若男女問わず支え合う地域づくりにつなげる。
組合員・住民の健康を守り、誰もが安心して長く暮らせる地域づくりはJAの役割である。行政などと連携し、推進しよう。
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2021年04月10日

巧みに牛をさばく「技」絶やさず継承 マイスター制度設立 兵庫県食肉卸事業協同組合
和牛の流通を陰で支える「食肉処理技術」の継承に、兵庫県の業界団体が乗りだした。県食肉卸事業協同組合は、枝肉を各部位に切り分けるこの技術で特に優れた“職人”を認定する「兵庫県牛肉マイスター」制度を設立。高齢化などで人材不足が全国的な課題となる中“職人技”を次代につなぐ中核的人材を育てる。組合によると、食肉処理技術者の認定制度を都道府県単位で設けるのは全国で初めて。(北坂公紀)
中核人材の確保・育成へ
牛肉は、大きく分けて3段階で切り分けられる。まず、卸売市場で枝肉に加工。その後、食肉卸などに販売され、食肉処理技術者がヒレやモモなどの各部位に切り分ける。最終的には薄切り肉やブロック肉に加工され、スーパーや飲食店で提供される。
組合によると、県内の食肉処理技術者の数は長らく減少傾向にあり、高齢化も進んでいる。中尾徳弘理事長は「食肉処理技術の継承が危ぶまれた。いくら農家が高品質な牛を育てても、牛肉が食卓に並ばなくなる恐れがあった」と振り返る。
そこで組合は2018年度、県内の食肉処理技術者を対象に同制度を創設した。マイスターを若手の指導に当たる中核的人材に位置付け、業界の技術の底上げにつなげたい考えだ。
認定を受けるには、技術と知識が必要となる。食肉産業に携わる人材を育成する全国食肉学校の実技・筆記試験や県が実施する「神戸ビーフ」「但馬牛」に関する筆記試験に合格する必要がある。
この他、指導方法を学ぶため、同学校の講師を招いた3日間の講習を受ける必要がある。実技指導を交えて枝肉のさばき方をどう教えると分かりやすいのかを学ぶ。
20年度までの3年間で計9人が認定された。今年3月に認定された食肉卸・エスフーズ(西宮市)の高島和也さん(34)は「どう教えたらうまく伝わるのかを学べた。後輩の指導に生かしたい」と意欲的だ。
組合は、マイスターが持つ技術の継承に向けた取り組みも進める。マイスターを講師に招いたセミナーを定期的に開き、県内の食肉処理技術者が“職人技”を学べる機会を設けている。
中尾理事長は「食肉処理技術者は和牛流通を支える“縁の下の力持ち”だ。これからも技術を継承していきたい」と語る。
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2021年04月07日

本田武史さん(プロフィギュアスケーター、スポーツコメンテーター) 海外生活支えた現地の日本料理
小さい頃は、福島県郡山市で農業をやっていた祖父母の家の近くに住んでいたので、よく米作りの手伝いをしました。種まき、田植え、稲刈り……。その頃はまだ機械化が進んでいなくて、機械でできないところを人の手で一本一本補っていました。
田んぼの他に畑もあって、米と野菜は自給自足だったと思います。田んぼもかなり広くて、米蔵があり、精米機もありました。
もち米も作っていて、お正月になると毎年、杵(きね)と臼を使って餅つきをしていました。餅は焼いて砂糖しょう油で食べたり、あんこやきな粉で食べていました。
中学になるとスケートのため、母と2人で仙台に引っ越しました。母はパートで仕事をしていたので忙しかったし、僕は朝早くから夜遅くまで練習があったので、ゆっくりと2人で食事をする時間がありませんでした。
練習中、整氷のために15分ほど休み時間があります。その時に母の作ってくれたおにぎりを素早く食べました。
好き嫌いがなかったので、食べたい物をたくさん食べていました。練習量が多いので、減量に苦しんだことはありません。体脂肪が1桁しかなかったため、下手に体重を落とすと体調を崩すんです。しっかり食べないと、体がもたなかったです。
海外に住んでいた時は、やはり日本食が恋しくなりました。
最初に行ったのは、米国のコネチカット州。日本人がほとんどいない田舎町で、ホームステイをしました。ホームステイ先での料理は肉が中心。もちろんご飯ではなくパンです。
町に1軒だけ日本食レストランがあって、そこですしやそば、うどんを食べました。
その店のオーナーは日本人で、以前はマサチューセッツ州で働いていて、僕が試合に出るためそちらに行った時に会ったことがあったそうです。
そんな縁もあり、すごくよくしてくれました。力になるようにとメニューをいろいろ考えてくれ、時々弁当も作ってくれました。大会前にはカツ丼を作ってもらったこともあります。日本人の客がいないので、日本人に食べてもらうのがうれしかったのかもしれません。
長野オリンピックの後、カナダのトロント郊外に移りました。
トロントは大都市で、日本食レストランがいくつかありました。日本の食材などを扱う店もあったんです。そこで炊飯器を買いました。僕の住んでいたのは車で1時間くらいの小さな町でしたが、週末の練習が休みの時にはトロントでまとめ買いをしました。
売っている米はタイ米でしたが、たまに日本の米も入ってきました。タイ米は細長くパサパサしていますが、水の量を多くして炊いたり、チャーハンやお茶漬けにするなど工夫をすれば、全然大丈夫。
海外生活で気になったのは、野菜ですね。どうしても肉の量が多いので、できるだけ野菜をたくさん取ろうとしました。でも向こうの野菜は大味じゃないですか。いつも蒸して食べていました。その方が体にいいと聞いていましたし、甘味が増すから。
現役を引退してからは、食べ過ぎないように気をつけています。筋肉が落ちやすいし、疲労回復にも時間がかかるので、意識してタンパク質を取っています。それに合わせるようにビタミンも。日本の野菜はおいしいので、生野菜でも温野菜でも食べています。(聞き手=菊地武顕)
ほんだ・たけし 1981年福島県生まれ。7歳からショートトラックスケートを始め、その後フィギュアに転向。史上最年少の14歳で全日本選手権優勝。98年の長野五輪に史上最年少の16歳で出場した。99年、四大陸選手権大会の初代王者に。現在はプロとしてアイスショーに出演する他、後進の指導にも当たっている。
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2021年04月03日

霞が関から新動画 農水省職員・人気ユーチューバー復活
動画投稿サイト・ユーチューブの農水省公式チャンネル「BUZZ MAFF(ばずまふ)」で一番人気のコンビ「タガヤセキュウシュウ」が再始動する。九州農政局の若手2人で結成し、ばずまふ最多の再生回数を誇るが、1人が東京の本省に異動となり、離れ離れに。だが4月から“相方”も東京に異動。8日、活動再開を報告する動画を投稿した。
コンビは九州農政局で同僚だった野田広宣さん(27)と白石優生さん(24)が2020年1月に結成。同年3月、新型コロナウイルス禍で落ち込んだ花きの消費拡大を呼び掛ける動画を投稿すると、時間がたつに連れて2人が花に埋もれていく演出が話題を呼んだ。再生回数は88万回で、ばずまふの400本超の動画の中で最も多い(21年4月現在)。
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2021年04月09日

ダイダイ地域の顔に 「サワー」PR実行委も発足 静岡県熱海市
ダイダイで熱海を元気に――。全国有数のダイダイ産地・静岡県熱海市では生産者と食品卸、飲食店などが一体となって、地域活性化とダイダイのブランド化に注力する。その一環として熱海市の飲食店関連団体は9日、「熱海だいだい実行委員会」を発足した。ダイダイの活用によって地域経済を循環させ、縮小するダイダイの生産基盤維持にもつなげたい考えだ。
委員会は熱海料飲連合会、熱海社交業組合、県飲食業生活衛生同業組合熱海支部の3団体が立ち上げた。……
2021年04月10日
農政の新着記事
法人議決権緩和 規制改革WG内でも異論 優良農地支配を懸念
政府の規制改革推進会議農林水産ワーキンググループ(WG)が関心を示す農地所有適格法人の議決権要件緩和を巡り、同WG委員の農業経営者から否定的な意見が相次いでいたことが議事録から分かった。要件を緩めた場合、農業関係者以外の資金力がある出資者に農地を支配されかねないなどの指摘が出た。身内からも異論が噴出したが、同会議は要件緩和を迫る姿勢を崩していない。
資金調達円滑に→経営権脅かす
こうした指摘が出ていたのは3月5日のWG会合。……
2021年04月11日
改正種苗法施行 海外持ち出し制限 初公表 シャインなど1975品種 農水省
農水省は9日、品種登録した品種(登録品種)の海外流出防止を目的とする改正種苗法の施行に伴い、海外への持ち出しを制限する1975品種を公表した。1日の施行後、公表は初めて。ブドウ「シャインマスカット」や北海道の米「ゆめぴりか」など、いずれも同法施行前に品種登録済み・出願中だった品種で、届け出に基づいて「国内限定」の利用条件を追加した。
野上浩太郎農相は同日の閣議後記者会見で「税関とも情報共有し、わが国の強みである新品種の流出を防ぎ、地域農業の活性化につなげていきたい」と述べた。
1日に施行された改正種苗法は、品種登録の際に、栽培地域を国内や特定の都道府県に限定する利用条件を付けられるようにした。「国内限定」の第1弾の品種は、農研機構や42道府県が開発した米や果実が中心だ。同省によると、国や県など公的機関が開発した登録品種の9割が「国内限定」となった。
米では青森県の「青天の霹靂」や新潟県の「新之助」、果実では石川県のブドウ「ルビーロマン」や福岡県のイチゴ「あまおう」、愛媛県のかんきつ「紅まどんな」などが含まれる。今後、民間の種苗会社の品種も含めて、順次追加する。
条件に反して海外に持ち出した場合、個人なら10年以下の懲役や1000万円以下の罰金、法人なら3億円以下の罰金が科される。流通の差し止めや損害賠償といった民事上の措置も請求できる。
同省は、同法施行の経過措置として、施行前に品種登録済み・出願中だった品種も、「国内限定」などの利用条件を追加できるようにしていた。9月30日まで届け出を受け付ける。一方、今後、品種登録する品種は原則として「国内限定」とするよう開発者に促す。
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2021年04月10日
輸出基本方針を改正 マーケットイン型へ転換 政府
政府は9日、農林水産物・食品輸出促進法に基づく基本方針を改正した。昨年11月にまとめた、輸出拡大に向けた実行戦略を反映。相手国の需要に応じたマーケットイン型の輸出への転換を強調した。各国の需要や規制に対応した「輸出産地」の育成や、生産から輸出までの事業者を束ねた「品目団体」の組織化などを盛り込んだ。
輸出産地については、輸出事業計画の認定を通じ、産地ごとの目標や課題、対策を明確化する。……
2021年04月10日

産地交付金の「県枠」拡大 飼料用米支援広がる
農水省は2021年産から、米の転作を支援する「産地交付金」のうち、都道府県段階で助成内容を決める「県枠」の割合を拡大した。これを活用し、県単位で飼料用米など非主食用米への支援を拡充する動きが出ている。米主産県では前年からの作付け拡大や、直播(ちょくは)をはじめ生産性向上を要件にした助成などの検討が進む。
同交付金は転作助成金の「水田活用の直接支払交付金」のうち、県や地域協議会で使途を決めるもの。……
2021年04月09日

霞が関から新動画 農水省職員・人気ユーチューバー復活
動画投稿サイト・ユーチューブの農水省公式チャンネル「BUZZ MAFF(ばずまふ)」で一番人気のコンビ「タガヤセキュウシュウ」が再始動する。九州農政局の若手2人で結成し、ばずまふ最多の再生回数を誇るが、1人が東京の本省に異動となり、離れ離れに。だが4月から“相方”も東京に異動。8日、活動再開を報告する動画を投稿した。
コンビは九州農政局で同僚だった野田広宣さん(27)と白石優生さん(24)が2020年1月に結成。同年3月、新型コロナウイルス禍で落ち込んだ花きの消費拡大を呼び掛ける動画を投稿すると、時間がたつに連れて2人が花に埋もれていく演出が話題を呼んだ。再生回数は88万回で、ばずまふの400本超の動画の中で最も多い(21年4月現在)。
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2021年04月09日
野菜需給調整 補填引き上げ 平均価格の7割 農家負担は軽減
農水省は2021年度、主要野菜の緊急需給調整事業を大幅に見直した。市場価格が大幅に下落した場合、出荷調整に取り組む生産者への補填(ほてん)水準を市場平均価格の7割に引き上げた。国と折半で造成してきた資金の負担割合も2割に軽減。生産者に手厚い内容で活用しやすくし、野菜相場の安定につなげる。
事業はダイコン、ニンジン、キャベツ、レタス、ハクサイ、タマネギの6品目が対象。……
2021年04月08日

米の支出額11%減少 過去20年で最低水準 2月家計調査
米の消費が家庭向けでも苦戦している。総務省の家計調査によると2月の支出額は前年比11%減となり過去20年で最低水準だった。昨年のような買いだめ特需も見られず、従来の消費減に歯止めがかからない。一方、パックご飯など手軽に食べられる商品は好調で、簡便さが米消費挽回の鍵になりそうだ。
簡便「パック飯」好調
2月の1世帯当たり(2人以上世帯=平均2・94人)の米の支出額は1546円で、米の買いだめが発生した前年同月から大きく落ち込んだ。20年産の出回りが本格化した10月以降で見ても、緊急事態宣言後の巣ごもり需要が一時的に高まった1月を除き、前年割れが続く。10~2月までの累計では前年同期6%減となった。
米は外食店などの業務筋に加え、家庭用でも消費減を食い止められていない。東京都内の米穀店は「巣ごもり当初は炊飯の手間をいとわなかった人も、長期化するとより手軽な食品に移り従来の米の消費減傾向に戻った」と分析する。他の首都圏の米穀店も「巣ごもりと言われているが、あまり購入量は増えていない」と指摘する。
価格下落も支出減に影響した。業者間で取引する市中価格は2月以降下げ、店頭でも安売りが目立つ。だが消費者の購入数量は増えず、2月は支出額、数量共に過去20年で最低だった。
主食への支出は手軽に食べられる商品に移っている。麺類などの消費は好調。米でも弁当などを含む「主食的調理食品」の2月の支出額は4849円で5%増。パックご飯や冷凍米飯を含む「他の主食的調理食品」は1270円で3%増、10~2月の累計でも前年同期比8%増となる。
大手卸は「パックご飯を常時保存する家庭も増え、精米商品からの置き換えが起きている。高齢世帯の利用も増えている」と話す。
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2021年04月07日
内閣支持率続落40% 農政「評価せず」拡大 本紙モニター調査
日本農業新聞が3月に行った農政モニター調査で、菅義偉内閣の支持率が40%となった。発足直後の昨年9月に比べて18ポイント急落した12月の前回調査から、さらに4ポイント下落。不支持率は59%で、同3ポイント増えた。菅内閣の農業政策を「評価しない」人が同11ポイント増えて56%となり、支持率にも影響したとみられる。
他の報道機関の調査でも、菅内閣の支持率は発足当初の6、7割台から下落し、直近は4割前後で推移するものが多い。……
2021年04月06日
地域運営組織1割増 担い手・資金不足が課題 20年度
総務省は、農山村などを中心に暮らしを守る事業を行う「地域運営組織」の2020年度の数を公表した。19年度から547組織(10%)増え、5783組織(802市区町村)となり、過去最高となった。政府は24年度までに組織数を7000に伸ばす目標を掲げており、数は順調に増えている。一方、担い手・資金不足に悩む組織が多く、今後の支援が課題だ。
同組織は、行政の支援が届きにくい課題を住民らが主体となって解決する。……
2021年04月06日

米産地品種900銘柄迫る 13年連続で増加 多収良食味にシフト
2021年産の水稲うるち玄米の産地品種銘柄数は、前年から24増えて893となった。13年連続で増加し、900に迫る。高価格帯を狙った極良食味米の新規設定は少なく、業務用に向く「にじのきらめき」など良食味と多収性を兼ね備えた品種の設定が目立つ。多様化するニーズに対応し、安定生産を目指す産地の戦略が背景にある。
産地品種銘柄は「産地+品種」で表す銘柄。農産物検査で「〇〇産コシヒカリ」などと証明を受けるには、各産地が申請し、農水省の設定が必要になる。
同省によると21年産は29銘柄が新しく設定され、廃止の5銘柄を引いて24増えた。高価格帯を狙った極良食味品種の新規設定は、限定的だった。近年は宮城「だて正夢」、新潟「新之助」、福井「いちほまれ」など各県オリジナル品種が相次いで設定されてきたが、21年産は秋田「サキホコレ」、京都「北陸246号(京式部)」など一部だった。
一方で、目立つのが良食味の多収性品種の設定だ。業務用ニーズの高い値頃な価格帯で販売でき、生産者の手取りも確保できる。農研機構育成の「にじのきらめき」は茨城、群馬、千葉、新潟、滋賀、佐賀の6県で設定され7県に拡大。申請した茨城県JA北つくばは「コシヒカリよりも多収で収益性が高い。良食味で外食のバイヤーからも期待されている」と話す。高温耐性、イネ縞葉枯(しまはがれ)病抵抗性の特徴を持ち安定生産が見込まれることもあり、21年産の管内面積は300ヘクタール以上に拡大する見通し。
同じく良食味で多収の「つきあかり」は秋田県が加わり14県となった。他にも「ほしじるし」「とよめき」「恋初めし」など農研機構や民間育成の多収性品種が設定された。
安定生産を目的にした品種の多角化も進む。高温耐性品種の「にこまる」は富山、福井で設定され27府県に拡大した。夏場の高温による品質低下が背景にある。「にこまる」を申請した生産者は「面積拡大で、既存の品種だけでは収穫作業が集中し、刈り遅れや品質低下の可能性がある」として、品種導入が作期分散にもつながると指摘する。
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2021年04月04日