経済

鍋シーズン 商材仕入れ活発 ネギ増量も堅調維持
鍋商材の仕入れが活発になってきた。10月中旬のネギの日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は1キロ366円と、平年(過去5年平均)の17%高。遅れていた東北産がピークを迎え増量してきたが、下旬も平年以上の堅調相場を見込む。ハクサイは同19%安の1キロ60円。産地が切り替わっても安定した入荷が続くが、荷動きは良く下げ止まりを見込む。
ネギは、気温が下がり需要が高まる一方、入荷は伸び悩んでいた。中旬の7卸出荷量は1155トンと同7%減。卸売会社は「東北の主産地が、雨天が続いてニンニクの植え付けや米の収穫作業がずれ込み、出荷が遅れていた」と話す。
下旬に入り、出荷ペースは上がってきた。主産地を抱えるJA全農あおもりの出荷量は、日量8000~1万ケース(1ケース5キロ)で推移。「ようやく平年並みに乗ってきた。下旬をピークに、11月上旬までまとまった出荷が続く」と話す。
ハクサイは、10月中旬の7卸入荷量は7684トンと同7%増。「主産地の長野産は潤沢な入荷が続き、後続の茨城産も急ピッチで増量してきた」(卸売会社)。
JA全農いばらきによると、22日の出荷量は1万2000ケース(1ケース15キロなど)程度。「出始めは夏の高温時に定植した作型で遅れたが、先週は前年比で20%多く、今週はもう一段増量した。11月の最盛期に向け、順調に伸びてくる」と見通す。
スーパー各社は、鍋商材として両品目をちらしに載せ、販促を強める。ハクサイは4分の1カット98円(税別)が多く、半分カットの割合も増加。長野産が減るものの茨城産が順調で、今後も安定入荷が続く。ネギは増量に伴い、下旬はやや下げる見通し。ただ、「小売りの強い引き合いが相場を下支えする」(卸売会社)ため、ともに小幅な値動きにとどまりそうだ。
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2020年10月23日

[米需要の危機](上) コロナ 外食直撃 需要“蒸発” 想定の倍
東京・神田、上野に、すし店6店舗を展開する「神田江戸ッ子寿司(ずし)」は、本格的な江戸前ずしを手頃な価格で提供する人気店として知られる。しかし新型コロナウイルス禍により、以前は昼時に満席だった店内には、空席が目立つ。
感染対策で、客席を間引いたことだけが理由ではない。オフィス街の客が減り、会食用の出前も大幅に減った。すし人気を支えていた訪日外国人客もゼロで、今も全体の客足は8割ほどにしか戻っていない。2店舗は休業中だ。
「すしの命はシャリ。おなかいっぱい食べてもらおうと無料で大きくしている」と中店の松原智司店長。だが、客数・出前の減少に伴う米の使用量減少は避けられなかった。4~9月の全店舗の米飯仕入れ量は19トンと前年同期の半分以下だ。9月単月でも4割減と低迷している。松原さんは「冬にまた感染が拡大しないか気掛かりだ」と、集客対策を模索している。
内食堅調でも
米の需要減少は、コロナ禍で加速している。農水省によると、2020年6月までの1年間の需要量は前年同期比22万トン減った。人口減などでこれまで想定されていた毎年の減少量10万トンの2倍超で、この先も歯止めがかかる兆しは見えない。
内食需要こそ堅調だが、飲食店やコンビニ向けなど業務用の落ち込みが大きい。家庭用と業務用を合わせた主要卸の販売量は4月以降前年割れが続き、大手米卸は「麺類などに需要を奪われ、家庭用が全体を補い切れていない」と分析する。
米の需給は緩和局面に突入した。20年産は主産地の豊作基調や、作付けが適正量を超えたこともあるが、追い打ちとなったのは想定外の規模での需要減少だ。そのため、来年6月末の民間在庫量は221万~227万トンとなり、米価低迷が問題となった14年産の水準にまで膨らむ見通し。
6年ぶり下落
過剰感を反映するように、20年産米の価格は下がった。産地と卸との相対取引価格は6年ぶりに下落し、9月の相対取引価格の全銘柄平均価格は1万5143円と、前年同月から676円安い。
業務用米への仕向けが多い関東産は、1000円以上、下げる銘柄が目立つ。業務用米の生産も多い茨城県内のJA担当者は「14年産当時のように再生産が難しい水準にまで価格の下落が進まないか心配だ」と明かす。
大幅下落を食い止めるため、JAグループは20年産のうち20万トンを長期計画販売とし、過剰感の払拭(ふっしょく)を目指す。しかしその米は来秋以降に主食用米市場に戻るため、大手米卸は「抜本的な対策とはみていない」と冷静で、「21年産の生産を適正量まで減らせるかだ」と強調する。
◇
米需給が緩和し、価格下落を食い止められるか、正念場を迎えた。コロナ禍での需要減、作付けの過剰傾向──。生産・消費の現場で何が起きているのかを探った。
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2020年10月21日

新米販売本番 需給緩和影響じわり 定番銘柄=前年並み 関東産=小幅下げ
2020年産の新米の販売が本格化してきた。日本農業新聞が今月中旬に首都圏の主なスーパーの販売価格を調べたところ、定番銘柄の新潟「コシヒカリ」、秋田「あきたこまち」は前年並みの水準でスタート。一方、関東産などは小幅に下げており、需給緩和の影響が出ているとみられる。新型コロナウイルスの影響で需要の動向は不透明で、価格引き下げの動きが広がる可能性もある。
首都圏に展開する主要なスーパー13社の東京都内と一部埼玉、千葉県内の店舗で今月10~12日、主な銘柄の価格を店頭とちらしで調べた。前年の価格は、全国1000店舗以上のスーパーを対象にした農水省公表の昨年10月の小売価格と比較した。
20年産の定番2銘柄の平均価格(5キロ、税込み)は、新潟「コシヒカリ」が2230円、秋田「あきたこまち」が1960円。いずれも、前年と同水準だった。一方、千葉「コシヒカリ」の平均は1760円で、前年より200円ほど安い。関東産の銘柄は、茨城「あきたこまち」の平均が1740円(前年データ公表なし)など、1500~1800円台で販売される商品が目立つ。
コロナ禍による業務用の需要急減で、米の需給は緩和。農水省が16日に示した21年6月末の民間在庫量は221万~227万トンの見込みで、適正水準の180万トンを大きく上回る。この状況を見据え、20年産の新米が出回る9月の相対取引価格は6年ぶりに前年同月より下がった。全銘柄平均価格は1万5143円で、676円(4%)安い。
中でも関東産は他地域産より下げ幅が大きく、多くが1000円以上下げた。これを受け、店頭価格も下がっているとみられる。関東ではJA以外の集荷業者も多く価格競争が激しいことや、19年産を含めて在庫を抱え切れず、価格を下げて売り急ぐ動きも一部に出ていることが影響しているもようだ。
一方、前年並みの価格でスタートした新潟・秋田産については、首都圏の卸は「相対価格の5キロ当たりの下げ幅は50円ほど。小幅に安くなっても現状では店頭価格に反映させないスーパーもある」と指摘する。
ただ家庭用米は、コロナ禍で内食需要が高まっているものの、需要が失われた業務用が振り向けられ、余剰感が出ている。今後は「全体の需要量は決まっている。現状では価格が前年並みでも、売れ残れば価格競争になる可能性がある」(同)。
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2020年10月19日

伸びる木材自給率 供給安定で9年連続
日本の木材自給率が9年連続で上昇している。林野庁が発表した2019年の木材自給率は、前年比1・2ポイント増の37・8%。9年間で11・5ポイント上昇し、19年度のカロリーベースの食料自給率とほぼ並んだ。食料自給率が横ばいを続ける中、まだ低いとはいえ、なぜ木材自給率は上がるのか。同庁は、国産材が戦後に造林した人工林から安定供給可能となったことや、輸入材より価格変動が小さく、扱いやすいことなどが背景にあるとみる。
木材自給率は、木材の総需要量に占める国内生産量の割合を示す。10年は26・3%だった。1960年には89・2%だったが、木材輸入自由化の影響などで下落を続け、2002年には18・8%に。だが、その後は長期的に上昇傾向にある。一方、10年度に39%だったカロリーベースの食料自給率は、19年度に38%。かつては上回っていた木材自給率に並ばれた。
同庁は、需要量が多い建築用を中心に、輸入材から国産材への切り替えが進んだことが木材自給率を上げた一因と分析する。近年、国内の人工林の多くが利用期を迎えたことで安定供給が可能となり、需要に応えられるようになったという。
為替などの影響で価格変動が大きい輸入材が高騰した際に、価格が比較的安定している国産材の利用が増えた可能性もあるとみる。輸出税の引き上げや森林資源の枯渇といった主要な輸出国の事情で、長期的に輸入量が減少傾向にあることも国産材の利用増加につながっているという。
ただ、新型コロナウイルスの影響で、主要な需要先となる20年の住宅着工数は前年同月比で1割程度減少。同庁は「今後の木材需要にも確実に影響は出てくる」(企画課)と想定しており、自給率の下落につながる可能性もある。
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2020年10月19日

ブドウ きらびやか 旬の輝き
岡山県倉敷市で、県特産のブドウを宝石に見立て、箱いっぱいに詰め込んだギフト商品「葡萄(ぶどう)の宝石箱」が人気を集めている。
果実や酒などのギフト商品を販売する同市の「RQM」が手掛ける。縦横15センチの正方形の厚紙でできた箱に、県産のブドウを約750グラムぎっしりと詰め込んだ。
「シャインマスカット」や「ピオーネ」「オリエンタルスター」など約30品種の中から、その時期の旬のものが4~7品種入っている。緑、紫、赤と複数の色のブドウを組み合わせ、宝石箱をイメージして仕上げた。日持ちするよう軸を残し、1粒ずつはさみで切ってある。
出産祝いの贈り物などとして人気で、例年1000箱以上を売り上げる。同社の福井陽介社長は「一箱でさまざまな品種の食べ比べが楽しめる。大切な人への贈り物にいかが」と薦める。インターネット通販で購入できる。
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2020年10月18日

肉代替食品 新メニュー続々 多様性で消費刺激
大手飲食チェーンやコンビニで、大豆由来の肉代替食品を使った新メニューを投入する動きが相次いでいる。各社は、ハンバーガーやパスタ、サラダなど多彩なメニューで消費を刺激。原料はほとんどが輸入大豆由来だが、健康志向や食への関心が高い客層の購買が目立ち、国産大豆にも商機がありそうだ。
大手カフェチェーンのドトールコーヒーは、大豆が主原料のハンバーグを挟んだ「全粒粉サンド大豆ミート~和風トマトのソース」(360円)を9月に発売した。「健康志向に対応した新しいカテゴリーの商品」(同社)と位置付け、幅広い客層にアピールする。期間限定だが想定以上の売れ行きで「今後も大豆ミートを使った商品を検討していく」という。
ナチュナルローソンの「彩り野菜の大豆ミートパスタ」(ローソン提供)
多彩なメニュー展開で差別化を図るのは、大手コンビニのローソンだ。食への関心が高い客層がターゲットのナチュラルローソンでは、「大豆ミート」を使ったパスタやサラダなど6品を9月に新発売。同店では2017年から大豆ミートを使った商品を販売し、18、19年は購入者の7割以上が女性だったという。
原料や製法を工夫し、より肉に近い食感やうま味を再現する素材も出てきた。フレッシュネスバーガーで10月から全国販売が始まった「ザ・グッドバーガー」(480円)は発芽大豆使用のパテを採用。開発したDAIZ(熊本市)によると「オレイン酸リッチ大豆」を使うことで、大豆特有の臭みや異風味を抑えたことが特徴という。
同社は「環境に配慮した食材としても関心が高まっている。肉の代用品ではなく、新たなカテゴリーとして共存していきたい」と展望する。
民間調査会社の矢野経済研究所の予測によると、20年の肉代替食品の世界市場規模は2573億円。今後さらに拡大が見込まれ、国内でも各社が商品開発を急いでいる。
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2020年10月18日

9月外食売上高 回復続くも勢い弱く 回転ずしはコロナ対策奏功
9月の外食売上高(既存店)は、ファストフードと回転ずしの一部を除き、前年同月割れが続いた。新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う8月の営業自粛は解除されたが、客足は大きく戻らなかった。居酒屋業態の回復は特に弱く、ワタミが焼き肉店への業態変更を打ち出すなど、コロナ禍の外食業界は厳しい状況が続きそうだ。
居酒屋チェーン大手のワタミは49・4%減。居酒屋の比率が比較的小さいコロワイドは21・6%減だった。ワタミは居酒屋業界の将来性は厳しいとして、今後2年で傘下の居酒屋120店を焼き肉店に業態転換する。渡辺美樹会長は「焼き肉とすしは市場が成長する」とみる。ファミリーレストランなどを展開するロイヤルホールディングス(HD)、すかいらーくグループは前月より回復したが、小幅にとどまった。牛丼チェーン大手のゼンショーHDと松屋フーズHDはマイナス幅が拡大した。
一方、回転ずしは、くら寿司(ずし)が7・9%増と、調査対象企業で最大の伸び。プラスに転じたのは7カ月ぶり。ファストフード以外の業態のプラスは、コロナ禍で初めて。人気漫画・アニメを使ったキャンペーンに加え、「新型コロナウイルスの感染防止策の徹底」(広報)が客を呼び戻した。レーンを回るすしを保護するカバーを防菌にした他、自動受付機で座席を案内するなど「店員との接触を減らした」(同)。ドライブスルーなども整備し持ち帰りは昨年の2倍に増えた。「新しい日常生活」への徹底した対応が、コロナ禍に苦しむ外食回復の先行事例となりそうだ。
ファストフード全3社は、引き続き前年を上回っているが、前月より伸びが鈍化した。
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2020年10月13日

柿が堅調 15%高 家庭内需要引き続き強く
柿が好値を維持したまま最盛期を迎えた。10月上旬(8日まで)の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は1キロ276円と平年比(過去5年平均)15%高だった。好調な家庭内消費に加えて、スーパーで梨やブドウなどの夏果実が品薄高で展開されたことで秋果実も価格の居所が高めにあり、柿は堅調に推移している。
せり人は「ピークに合わせ入荷量も増え、10月に入り競合果実のミカンが本格化したことで少し価格を下げたが、それでも家庭内消費は引き続き旺盛で、種無し柿の価格も去年より高めに推移している」と話す。スーパーでは「全体量が少なく高値基調が続いた夏果実に引っ張られて秋果実も堅調だ」と言う。
日本園芸農協連によると、渋柿全体の出荷量は「8月の干ばつによる日焼け果や小玉傾向などを受け、今年産は、台風で出荷量を減らした昨年と比べてもやや少なくなる」と見込んでいる。
主産地の和歌山では9月上旬まで夜温が下がらず着色が進まない果肉先行型が見られたが、10月に入り生育が一気に回復し、今年は前年と比べて5~7日早くピークを迎える。JA和歌山県農は「今年は小玉傾向ではあるが正品率が高く、上位等級が平均単価を押し上げている」と分析する。
ピークの早まりを受けて、小売店の青果担当者は「出回りが少なく早く切り上がってしまうと、商品がそろわない心配が出てくる」と明かした。
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2020年10月09日

パプリカソースできました 生産者、道の駅共同で商品開発 高知県南国市
高知県南国市にある道の駅南国「風良里」が、市内産赤パプリカを使ったオリジナル商品「パプリカソース」の販売を始めた。道の駅、生産者、事業者が一緒になって市の新たな魅力づくりに取り組む「なんCOOK(コック)プロジェクト」の一環。「風良里」と駅内直販所「風の市」で販売する他、駅内のレストランでもソースを使った料理が楽しめる。
プロジェクトでは2018年から、市内産パプリカを使った加工品の開発・販売に取り組んできた。今回商品化したソースは「南国びじん」をコンセプトに「女性を体の中から美人にするおいしさを届けよう」と開発を進めた。
化学調味料や砂糖を使わず、サラダやパスタ、肉料理や魚料理とも相性抜群の甘酸っぱいソースに仕上げた。JA高知県が出資する農業生産法人「南国スタイル」の次世代型園芸ハウスで栽培された赤パプリカを使う。
価格は1本(200ミリリットル)580円。12月下旬までは発売記念価格として500円で販売する。JA土長地区「風の市事務局」の楠瀬雅士さん(36)は「パプリカで作った万能ソース。多くの人に使ってほしい」と話す。
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2020年10月06日

[10月2日 直売所の日] 通販好調 新鮮野菜どこへでも レシピ同封、個別対応で “らしさ”演出
全国どこからでも直売所の新鮮野菜が購入できるネット通販が好調だ。農家が朝出荷した野菜から店長が選りすぐりの10種類前後を詰め合わせて発送する。新型コロナウイルスの影響で需要が高まり、新規参入や定期便を始めるJAもある。
滋賀県JAグリーン近江は、「野菜ソムリエが選ぶ野菜BOX」3240円が人気。販売は4~8月に600ケースを超えた。一時は1日40件の注文が続き、予約だけとした。漬物など加工品も入れ、手書きの保存法や感謝のコメントを添える。「定期便を始める固定客にもつながった」と、野菜ソムリエの姫野昭祐さんは話す。
岩手県のJA江刺は7月から取り組む。江刺ふるさと市場の「店長おまかせ野菜セット」は、10~12種類の野菜と店頭精米した「江刺金札米」(900グラム)などが入って4900円。
「コロナ禍で外出を控える消費者ニーズを見込んで始めた」と佐藤健店長は話す。生産者名が入った袋、農家のお薦めレシピで直売所の雰囲気を出す。JAのネットショップで扱い、週平均10件の注文がある。
直販課を新設しネット対応を強化する岐阜県JAめぐみのは5月に本格参入した。とれったひろば関店に朝出荷された中から8品以上を詰め、2980円で販売する。
直販課の丹羽茂嘉次長は「ネットとはいえ会話に努め、メールで客の要望に応えている」と、直売所らしさを心掛ける。JA全農の通販サイトJAタウンを活用。購入者からは「少量で品数が多くよかった」「地域の紹介冊子もあり興味深く読んだ」と反響は上々だ。
JAでは先発組の熊本県JAたまなは、2011年に参入した。直売所にある野菜の他に、地元の加工食品を隙間に加えたり、野菜の入れ替え希望に応じたりする“御用聞き”スタイルで顧客をつかんできた。「JAの看板を背負っており、信頼できる商品を選ぶのが重要」(同JA)とアドバイスする。
消費動向に詳しいニッセイ基礎研究所の久我尚子主任研究員は「コロナ禍によって生鮮食品のネット販売が増えた」と指摘。子育て世代の6割は共働き。買い物を控え、家にいる時間が多くなり食事を充実したい思いが強まったと分析する。
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2020年10月02日
経済アクセスランキング
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20年産米食味ランキング 特A 3年連続50超 競争激化、有利販売が鍵
日本穀物検定協会(穀検)は4日、2020年産米の食味ランキングを発表した。最高位の「特A」に格付けされた産地銘柄数は53となり、3年連続で50を超えた。北海道「ゆめぴりか」、山形「つや姫」が特Aの連続記録を伸ばした。新型コロナウイルス下で家庭用米の販売競争が激しさを増す中、特A取得を有利販売につなげられるかが焦点だ。
ランキングは今年で50回目。米の良食味競争の激しさに伴い、出品数は増加傾向にある。今回対象となったのは44道府県の154産地銘柄。このうち、特Aは53銘柄で過去最多の18年(55)や19年(54)に次ぐ高水準だった。穀検は「米の主産県は、特Aを取る代表銘柄を持っていないと競争に負けるという思いがある」と指摘する。
コロナ下で、業務用の銘柄も家庭用米市場に流入して競争は激化。特Aで良食味米のお墨付きを得て、販売に弾みをつけたい産地が多かった。
今回初めて特Aを取得したのは、愛知「ミネアサヒ」(三河中山間)、鳥取「コシヒカリ」、初出品の長崎「なつほのか」など6産地銘柄。愛知県産米の特A取得は初めて。初出品の富山「富富富」はAだった。
北海道は3産地銘柄全てで特Aを取得。「ゆめぴりか」が10年連続、「ななつぼし」が11年連続となる。山形「つや姫」は地域区分の変更はあるが、県産としては10年産のデビュー以降、連続で特Aを取得する。新潟・魚沼「コシヒカリ」も特Aを守った。県オリジナル品種としては、青森「青天の霹靂(へきれき)」、岩手「銀河のしずく」、福井「いちほまれ」、山形「雪若丸」が特Aを取得した。
高温耐性、新興勢が健闘 主力銘柄“苦戦”も
良質米の生産拡大と消費拡大を目的に始まった食味ランキングは、1989年から最高位「特A」を設けている。競争の高まりとともに出品数は年々増加。「特A」獲得を売り場やホームページなどで宣伝するなど販売ツールとしても使われ、ブランド米として販売するための必須条件ともなっている。産地は、「特A」獲得を目指して良食味米生産に取り組む。
今回は、開発されてから時間がたった品種に苦戦が見られた。「あきたこまち」は主産地の秋田で9年ぶりに「特A」を逃した。「ひとめぼれ」は生産量が多い岩手と宮城県で「特A」がゼロ。「ヒノヒカリ」は16産地が出品したが「特A」は2産地にとどまった。こうした産地では、新品種の導入が進んでいる。
存在感を示したのは高温耐性品種だ。「にこまる」は出品した5産地全てで「特A」を獲得。新品種「なつほのか」も長崎で獲得した。「つや姫」は大分では逃したが、他の産地では全て「特A」だった。
産地間や新旧品種の勢力争いは年々活発化している。新型コロナウイルス禍で家庭内消費が高まっているものの、消費者の低価格志向もあり、ブランド米市場の販売環境は厳しい。「特A」を獲得したブランドは、全体の3分の1を占める。関係者は「良食味に加え、さらに価値を訴求できるかが重要」と指摘する。
<ことば> 米の食味ランキング
日本穀物検定協会が1971年産から始め、今回で50回目。食味試験をし、産地銘柄ごとに「特A」「A」「A´」「B」「B´」の5段階で格付けする。複数産地の「コシヒカリ」のブレンド米を基準に、外観、香り、味、粘り、硬さ、総合評価の6項目で評価する。
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2021年03月05日

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結球野菜が大幅安 平年の半値 業務苦戦響く
結球野菜が、平年よりも大幅に安い相場で推移している。ハクサイは豊作で出回りが多く、相場低迷が長期化。2月中旬の卸売価格は平年の半値だ。キャベツやレタスも、2月に入り気温上昇や降雨で増量し、同3、4割安となる。新型コロナウイルスで業務需要が滞る中、産地や小売りは幅広い調理法や旬の味を訴えて消費を促す。
各地区大手7卸のデータを集計した日農平均価格は、ハクサイが1キロ36円と平年(過去5年平均)比50%安。7卸販売量は1月から平年よりも1割多く、2月上旬は7377トンと平年を3割以上も上回り、潤沢な出回りが続く。寒波の影響で年明けの入荷が減り、価格が上昇した他の結球類と違い、昨秋から相場安が続いている。
長引く低迷は、近年の天候不順も影響している。JA全農いばらきは「ここ数年は毎年、台風や豪雨の影響を受けてきた。契約分をしっかり出すためにも、各産地は余裕を持って作付けしていた」と明かす。供給責任を果たすためだが、今季のように作柄が良いと相場低迷になり、苦慮する。
鍋や漬物用など、飲食店や宴会の注文が入らないのも、苦戦が続く理由だ。頼みの小売りも、「春物中心の売り場に切り替わって鍋商材の棚は縮小し、荷動きが鈍い」(卸売会社)という。
首都圏のスーパーは、4分の1カットを75円(税別)と、前年より約20円安く販売。「ギョーザやサラダなど幅広い用途を提案し、消費を促したい」(同)考えだ。
キャベツとレタスも、2月に入って急落。中旬の日農平均価格は、それぞれ1キロ61円、143円と、ともに1月から3割下げ、それぞれ平年比36%安、32%安を付ける。
両品目とも、2月上旬の7卸販売量が同時期では過去5年間で最多となった。「低温と干ばつで遅れていた生育が2月に入り一気に進んできた」(東日本の経済連)ことが要因。3月のピークに向け増量基調が続く。
各産地は、旬を迎える春キャベツの柔らかさや甘味、レタスは免疫力向上などの機能性を訴求し消費拡大を促す。
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2021年02月17日
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19年産米食味ランキング 「特A」2年連続50超 高温耐性品種が活躍
日本穀物検定協会(穀検)は26日、2019年産米の食味ランキングを発表した。最高位の「特A」に格付けされた産地品種銘柄数は54となり、2年連続で50の大台を超えた。良食味米の販売競争が激しさを増し、初出品の福井「いちほまれ」や、岩手「銀河のしずく」など県独自新品種が特Aを取得。夏場の高温による影響が懸念された中で、「つや姫」や「にこまる」など高温耐性品種の活躍が目立った。
今回、対象となったのは、44道府県の155銘柄で過去10年で最多となった。販売に弾みをつけようと、5段階評価で最高位の特Aを目指す産地が増えている。
特Aの数は、過去最多だった前年の55に次いで多い。特Aを設けた1989年産以降、取得数は増え続けており、14年産では40を超え、18年産から2年連続で50を超えた。穀検は「肥培管理の徹底など、各産地で良食味維持に取り組んでいる」として、特A数は今後も高水準で推移するとみる。
初めて特Aを獲得したのは、青森「まっしぐら」、福井「いちほまれ」、静岡「きぬむすめ」(東部・中部・西部)など7銘柄。このうち、「いちほまれ」は初の本出品で特Aとなった。
県オリジナルの新興銘柄では他に、岩手・県中「銀河のしずく」、山形「雪若丸」(置賜・村山)が特Aとなった。
北海道「ゆめぴりか」「ななつぼし」、青森「青天の霹靂(へきれき)」、山形「つや姫」など初出品以降、連続で特Aを取っている銘柄もある。
品種別の特A数は「コシヒカリ」が16と最も多い。一方で、「つや姫」「にこまる」「おいでまい」「みずかがみ」など高温耐性品種が特Aを取得した。
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2020年02月27日

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ネギ高止まり4割高 干ばつで停滞、細物多く
ネギの相場が高止まりし、平年の4割高を付けている。夏場に長雨による生育不良が発生し、年明けも干ばつで各産地とも生育が停滞。平年よりも1割程度少ない入荷が続く。今後、適度な降雨や気温上昇で入荷は回復に向かうが、細物が多く、上位等級を中心に高値を維持する見通しだ。……
2021年02月24日

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「特A」米 最多55銘柄 魚沼コシ返り咲く 18年産食味ランキング
日本穀物検定協会(穀検)は27日、2018年産米の食味ランキングを発表した。最高評価の「特A」に格付けされた産地品種銘柄数は、前年産より12多い55となり、3年ぶりに過去最高を更新した。新潟・魚沼「コシヒカリ」など17年産で特Aを逃した主産地が返り咲いた他、「雪若丸」「銀河のしずく」などの新ブランド米が台頭した。産地間競争が激化する中、「米の販売戦略として特A取得を重視している産地が多い」(穀検)。
対象となったのは、44道府県の154銘柄。前年産から3銘柄増え、過去10年で最多となった。
初めて特Aを取得したのは9銘柄。18年産で本格デビューした山形県の新品種「雪若丸」は初出品で、村山と最上の2地区で特Aを獲得。岩手県の「銀河のしずく」は、県中地区が前年産のAから格上げされた。
静岡・西部「にこまる」と徳島・北部「あきさかり」は、それぞれの県産米として初の特A取得となった。出品がない東京、大阪、沖縄を除き、特Aを一度でも獲得したことがあるのは2県増え42道府県となった。
比較可能な銘柄のうち、特Aに格上げされた銘柄数は18で、A以下に格下げされた9銘柄を上回る。北海道や新潟といった主産地が相次ぎ不作に見舞われたが、食味評価への影響は限定的だった。穀検は「肥培管理の徹底など、各産地が品質向上への取り組みを強化した結果だ」と話す。
2019年02月28日
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1月農産物輸出40%増 家庭向け好調 過去10年で最高
2021年の農林水産物・食品の輸出は好調な滑り出しとなった。農水省がまとめた1月の輸出額は前年同月より40%増の758億円で、1月としては過去10年で最高だった。新型コロナウイルス下、牛肉やリンゴ、緑茶などの引き合いが家庭向けで強まった。飲食店の規制が続く地域もあり、輸出拡大には家庭用需要の開拓が重要になっている。
前年からの伸びが特に大きいのは、リンゴで185%増の40億円。最大の輸出先の台湾では、春節向けの需要がピークを迎えた。コロナ下で家庭用需要が高まったことや、昨年は春節が早く1月には輸出のピークを過ぎていたことで増加幅が大きくなった。青森県は、「台湾や香港で小売りの伸びが大きい。リンゴは日持ちも良く、巣ごもり需要で選ばれた」(国際経済課)と指摘する。
牛肉、豚肉、鶏卵など畜産物も軒並み、家庭での需要の高まりを受けて好調だった。牛肉は、69%増の23億円。カンボジア、香港、台湾などアジア向けが伸びた。「香港向けは、家庭用に日本産の牛肉需要がある」(日本畜産物輸出促進協議会)という。
緑茶も25%増の14億円と勢いがある。日本茶輸出促進協議会によると、家庭でも手軽に飲める粉末茶が支持されている。担当者は「緑茶のおいしさや効能が認知されて、繰り返し購入する人が増えている」と話す。
その他の青果物も巣ごもり需要で好調だった他、米は31%増の5億円。日本酒も64%増の23億円と大きく伸びた。
政府は30年に農林水産物・食品の輸出額を5兆円にする目標を掲げる。海外のニーズや規制に対応し、輸出向けに生産する輸出産地を選定して、支援している。
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2021年03月03日

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業務用米 再び悪化 1月販売量 前年比3%減
農水省が24日公表した主要卸の1月の米の販売数量は、前年同月から3%減となり、再び前年を下回った。緊急事態宣言の発令で業務用の販売が悪化したことが影響した。昨年12月は、巣ごもり需要の高まりで家庭用米の販売が好調で、全体の販売量は9カ月ぶりに前年を上回っていた。1月も家庭用販売は好調だったものの、業務用の落ち込みを補えなかった。
1月の中食・外食向けの販売数量は13%減となり、前月より5ポイント悪化した。……
2021年02月25日
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イチゴ平年比7%高 業務用低調 楽観できず
桃の節句直前のイチゴ相場が平年(過去5年平均)を上回り推移している。2日の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は平年比7%高の1キロ1333円。入荷量が同3割減と天候不順で大きく落ち込んだため。ただ、新型コロナウイルス下による業務需要の停滞で、上げ幅は小幅にとどまっている。
2月下旬から各産地で出荷量が大幅に減った。……
次ページにイチゴの平均価格と販売量のグラフがあります
2021年03月03日
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全国13生花卸連携 共同仕入れ視野に 協議会始動
大田花きやなにわ花いちばなど、花き卸13社が市場機能の強化を目的に立ち上げた協議会が3日から本格始動した。物流の効率化に加え、市場が地域の花き産業を活性化する役割を担えるよう、花き卸の再編を視野に改革に乗り出す。共同仕入れ体制の確立や地方卸の集荷機能の強化などを図り、産地に信頼される市場の確立を目指す。
名称は「勉強会―共同仕入機構―日本地域文化振興協議会」。……
2021年03月04日
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イチゴの消費喚起 食育団体 産地・飲食店、双方PR
食育活動を推進する青果物健康推進協会は新型コロナウイルス下で販促活動が制限されるイチゴ産地に代わり、人気飲食店とのマッチングを進める。メニュー開発を通じてイチゴの消費を喚起し、厳しい局面に立つ産地と飲食店双方のPRにつなげる。
農水省の「国産農林水産物等販路多様化緊急対策事業」を活用する。……
2021年03月04日