TPP 再協議動き見えず 加盟国拡大を加速 委員会あす初会合
2019年01月18日
環太平洋連携協定(TPP)参加11カ国は19日、東京都内で閣僚級のTPP委員会を開く。新規加盟国の拡大を目指す意思を共有し、共同声明を発表する方針だ。日本は離脱した米国と2国間の貿易協定交渉を始めるが、米国からの輸入量を織り込んで設定された牛肉セーフガード(SG=緊急輸入制限措置)の発動基準見直しなど、協定に盛り込まれた再協議の動きは見えない。課題を残したまま、協定の拡大に乗り出す。
昨年12月のTPP11発効を受けて開く。協定の運営の最高意思決定機関で、議会承認などの国内手続きを完了し、60日たった「締約国」が正式なメンバー。初会合では7カ国が該当する。メキシコと日本、シンガポール、ニュージーランド(NZ)、カナダ、オーストラリアに加え、1月14日にはベトナムが新たに締約国に加わった。
委員会では新規加盟の手続きなどを正式決定する予定。加盟を希望する国が協定窓口国のNZに通知し、全締約国が合意すれば手続きが始まる。農産物などの関税は、希望国と各締約国の2国間交渉で決める。新規加盟にはタイなどが意欲を示しており、年内の早期に手続きが始まる可能性もある。
11カ国の首席交渉官らは委員会に先立つ18日、会合を開き、委員会での決定事項や共同声明案などを調整する予定。
一方、TPP11に盛り込まれた再協議規定は、依然として課題になっている。11カ国の交渉では、米国のTPP復帰が見込まれない場合、牛肉SGの発動基準やバター・脱脂粉乳の輸入枠などを見直すため、日本が中心となって再協議をする規定を盛り込んだ。
日本と米国が貿易協定交渉の開始で合意したことで、TPP復帰は遠のいた。だが、今回の委員会では日本を含め、再協議規定についての議論を提起する動きはない。
発効後、輸入量は既存加盟国が満たしていく見通し。発効から年月がたつほど、既存加盟国が再協議に応じるか不透明さが増す。半面、米国以外の国からの輸入が必要以上に増え、SGも基準数量が実態と合わず機能しない可能性が高くなるなど、日本にとっての問題点は多い。
昨年12月のTPP11発効を受けて開く。協定の運営の最高意思決定機関で、議会承認などの国内手続きを完了し、60日たった「締約国」が正式なメンバー。初会合では7カ国が該当する。メキシコと日本、シンガポール、ニュージーランド(NZ)、カナダ、オーストラリアに加え、1月14日にはベトナムが新たに締約国に加わった。
委員会では新規加盟の手続きなどを正式決定する予定。加盟を希望する国が協定窓口国のNZに通知し、全締約国が合意すれば手続きが始まる。農産物などの関税は、希望国と各締約国の2国間交渉で決める。新規加盟にはタイなどが意欲を示しており、年内の早期に手続きが始まる可能性もある。
11カ国の首席交渉官らは委員会に先立つ18日、会合を開き、委員会での決定事項や共同声明案などを調整する予定。
一方、TPP11に盛り込まれた再協議規定は、依然として課題になっている。11カ国の交渉では、米国のTPP復帰が見込まれない場合、牛肉SGの発動基準やバター・脱脂粉乳の輸入枠などを見直すため、日本が中心となって再協議をする規定を盛り込んだ。
日本と米国が貿易協定交渉の開始で合意したことで、TPP復帰は遠のいた。だが、今回の委員会では日本を含め、再協議規定についての議論を提起する動きはない。
発効後、輸入量は既存加盟国が満たしていく見通し。発効から年月がたつほど、既存加盟国が再協議に応じるか不透明さが増す。半面、米国以外の国からの輸入が必要以上に増え、SGも基準数量が実態と合わず機能しない可能性が高くなるなど、日本にとっての問題点は多い。
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トラクターが作業機を装着したまま公道を走れるよう政府が規制緩和を検討している問題で、国土交通省は18日、実施は当初予定していた2018年度内から、2年以上延期になるとの見通しを示した。灯火器が見えにくくなる作業機や、けん引タイプの作業機の対応が定まらないためだ。同省が示した工程では、直接装着する作業機は20年度内、けん引タイプは21年度内に、緩和と対応の中身を固める。
2019年02月19日

やきそば 北海道・JA清里町
北海道のJA清里町が同町産小麦「きたほなみ」100%で作った焼きそば。「バーベキュー味」と「ガーリックバター味」の2種類を用意する。JAのフードアクションチームが、子どもとのキャンプで提供し好評だったことや、祭りなどで多くの人に好まれた味を選んだ。麺は色鮮やかで、もちもち感が特徴だ。
1袋(2人前、300グラム)の価格はいずれも330円。JAはこれまでにも、地場産小麦の消費拡大と地産地消に取り組んでおり、ラーメンやうどんなど6種類の加工品を商品化している。
同町のエーコープきよさと店や北広島市のホクレンくるるの杜(もり)などで販売する。問い合わせはJA企画審査課、(電)0152(25)2211。
2019年02月19日

森朗さん(気象予報士) 1年分の気候で育つ食材 味引き立つ素朴な料理
僕は子どもの頃、「コックさんになりたい」と言っていたそうです。その時の思いがよみがえったのか、数年前に料理に目覚めてしまい、いろいろ作るようになりました。
よく作るのはコロッケとギョーザ。コロッケは、母親が作ってくれた味を思い出しながら。ただしカロリーを控えたいので、油で揚げるのではなく、オーブンを使って作っています。ギョーザは、銀座の中華料理店「天龍」のあんをイメージして。この店のギョーザは、ニンニクもニラも入っていないあっさり味。祖父に連れられて行って以来、50年以上も通って食べ続けている大好物です。
最近では冷蔵庫を開けて残り物が何かを見て、メニューを決めています。
料理をやると、食材にも興味が湧くじゃないですか。そうすると、仕事や旅行で行った先々で見たものへの興味や関心も違ってきますね。
去年の秋、初めて新潟県の十日町に行ったんです。見渡す限りの田んぼに圧倒されました。関東平野と違って山が迫っているんですが、そちらの方にも棚田が見える。さすがは米どころだな、と。
新潟は冬の雪がものすごい。そのため水資源に事欠かないんですね。山に降った豊かな水資源が海まで流れる間に、田んぼにとどめておかれるということなのでしょう。この地域は冬は雪で閉ざされてしまうので、外で仕事ができません。それで織物が盛んになったそうです。
着物ののり付けには、海藻のフノリが使われます。そこでフノリが入ってきました。さらにそれをつなぎに使う、へぎそばというそばも誕生したんです。なんで海から遠いのに海藻を使ったそばがあるのかと疑問に思っていましたが、答えは冬の雪にあったんですね。
世界的にみても、これほど緯度の低い所で豪雪となるのは、この地域だけなんです。シベリアの寒気が流れ込んでくる気候が「コシヒカリ」やへぎそばを作っているわけです。
去年の3月に北海道の網走に行きました。そこで食べたオホーツクの魚介類のおいしさは、言葉で例えようがないですね。ものすごく低い水温で育っているので、脂が乗っていて甘い。カニを食べても甘い、ホタテを食べても甘い。東京で魚介類を食べて「脂が乗ってておいしい」という表現を使っていたんですが、それとは全然違いますね。滑らかな甘味です。
流氷が流れ着く冷たさが、甘味のある海産物を育てるのでしょう。
甘いといえば、ここ何年か続けて訪れている沖縄県の八重山諸島。仕留めたばかりのイノシシをいただくんです。軽くあぶっただけの、タタキみたいな状態で。この肉がまた甘いんですよ。野山を駆け回って、きれいな野草や山菜を食べたイノシシの肉ほどおいしいと聞きました。
自然環境と食材の関係については、学問として勉強はしていました。でもその場所に行き、見て、食べてみないと、実際には分かりません。これまで僕は頭でっかちでしたね。
これからはなるべく地方に出掛け、それぞれの土地のおいしいものを食べたいと思うようになりました。食材の良さを生かした素朴な料理がいいですね。味付けは塩だけとか。それが一番のぜいたくだと思います。
目の前にある食材には、1年分の気候がギュッと詰まっているわけじゃないですか。各地の「気候を食う」みたいな旅行をたくさんしたいですね。(聞き手・写真 菊地武顕)
もり・あきら
1959年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、日鉄建材工業(現日鉄住金建材)入社。趣味のウインドサーフィンから天気に興味を持ち、95年に気象予報士資格を取得。「ひるおび!」(TBS)などテレビ・ラジオに多数出演中。著書に『異常気象はなぜ増えたのか~ゼロからわかる天気のしくみ』(祥伝社)など。
2019年02月17日

100年ぶりに地酒復活 若手が原料米作り協力 栃木県高根沢町
栃木県有数の米どころ、高根沢町で、町内産米を使った日本酒が100年ぶりに復活した。若手農家や隣接する那須烏山市の酒造会社などが協力。「縁も高根沢」と名付け、町内の食と健康をテーマとした複合施設、元気あっぷむらで販売を始めた。
酒造りは、加藤公博町長が発案し、昨年3月に本格始動した。同公社によると、同町では明治時代以降酒蔵がなくなり、日本酒の醸造が途絶えていたという。4Hクラブの若手農家3人が酒造好適米「山田錦」を計80アール作付け。収穫した米約3トンを、昨年11月末から島崎酒造が醸造した。
9日には完成発表会があった。同公社の神長政男代表は「カメムシ発生や台風、大雨など苦労があったが、多くの方の協力で完成した。若手農家の思いが詰まったお酒をぜひ飲んでほしい」と呼び掛けた。4Hクラブの代表・永井秀和さん(37)は「飲みやすく、すっきりとしておいしい」と笑顔を見せた。
2、3月に生酒2000本、4月以降に1回火入れ4000本を販売する予定。1瓶(720ミリリットル)1700円。問い合わせは元気あっぷむら、(電)028(676)1126。
2019年02月15日

豚コレラ 一般車両 消毒始まる 愛知
愛知県は豚コレラウイルスの封じ込めのため、田原市の発生農場から半径10キロの搬出制限区域の外でも、一般車両や畜産関係車両の消毒を始めた。県は「口蹄(こうてい)疫レベルの措置」で拡散を防ごうと必死だ。
田原市に隣接する豊橋市では、15日夜から①畜産関係車両の消毒②国道一帯に消毒液を散布③消石灰、または、消毒マットを敷設──を講じる。豊橋市の3カ所に設置した畜産関係車両の消毒ポイントは、24時間体制で稼働する。
作業員によると、週末のため関係車両の数は少ないものの「通過時には必ず立ち寄ってくれる。意識も高まっている」と話す。消毒後は証明書に、どこで何時に消毒したかを明記する。
幹線道路につながる道路6カ所にも、消石灰や消毒マットを設置し、消毒液の散水車も整備した。一般車両も消毒する。
県は16日、発生農場から半径3キロ未満の移動制限区域にある20農場について、立ち入り検査と血液検査の結果、異常はなかったことを確認した。同区域には発生農場を含めて35農場があり、15農場は関連農場として殺処分が進んでいる。
2019年02月17日
農政の新着記事
ため池 適正管理へ 法案を閣議決定 政府
政府は19日、農業用ため池の管理保全法案を閣議決定した。決壊による災害が起きるのを防ぐため、防災上重要なため池の改修などを進めることが柱。管理や防災工事にかかる費用は国や自治体が支援することも盛り込んだ。梅雨や台風への備えが進むよう、今国会での早期成立を目指す。
吉川貴盛農相は、同日の閣議後会見で、法案の狙いとして農業用水の確保と決壊による水害などの防止を挙げ「ため池の管理はこれから最も大切になる」と強調した。
法案では、所有者や管理者が都道府県に届け出することを義務付け、豪雨や耐震対策など適正な管理を求める。不適切だった場合、都道府県が勧告する。
人的被害を含め周辺地域に被害を与える恐れがある農業用ため池を都道府県が「特定農業用ため池」に指定し、着実に防災工事を実施させる。利用はあるが所有者が不明な場合、市町村が管理権を得ることができるようにする。20年度までに指定した全てのため池でハザードマップの作成を掲げる。
国や自治体は、ため池の管理に必要な資金や技術指導を所有者らに支援する。国は都道府県に対し、防災工事にかかる費用の一部を補助する。
農業用ため池を巡っては、2018年7月の西日本豪雨で広島県など6府県で32カ所ため池が決壊した。農水省によると、国が把握するため池9万6000カ所のうち、30%の2万8700カ所は、所有者が不明だ。
2019年02月20日
豚コレラで自民議連会合 ワクチン是か非か 農水省、豚には「慎重」 養豚協会接種要請
豚コレラの感染拡大を防ぐ緊急ワクチン接種の是非が議論を呼んでいる。19日の自民党養豚農業振興議員連盟の会合で、日本養豚協会が早急な接種を要請したが、農水省は慎重姿勢を崩さなかった。接種すれば長年かけて築いてきた清浄国の立場を失い、豚肉の輸出などにも影響しかねないからだ。だが、終息は見えず、農家からは接種を求める声が高まる。政府・自民党は難しい調整を迫られている。
2019年02月20日
農地付き空き家 取得面積に特例 市町村が 「下限」設定へ
政府は、農村移住を促すため、農地付きの空き家について、農地取得の下限面積を引き下げやすくする方針を固めた。農地法は農地の取得を認める下限面積を原則、都府県で50アール、北海道で2ヘクタールと定めている。今回、地域再生法を改正して市町村が下限面積を定められる仕組みを設ける。通常国会に改正案を提出する。
現行制度でも担い手が不足している地域では、農業委員会の判断で下限面積を1アール程度まで引き下げられる特例がある。
農水省によると、この特例で原則より低い下限面積を設定した農業委員会は2018年10月現在で全国で153あるという。ただ、特例を活用するには、農業委員会による公示などの手続きが必要となっている。
改正案では、市町村が「既存住宅活用農村地域等移住促進事業計画」を作成。空き家などの取得や研修など就農への支援に加え、下限面積の例外を記載する。特定区域内で農地を取得する際の「基準面積」を設定。農業委員会が同意すれば、この基準面積を下限として扱えるようにする。
ただし、現行同様、既存の営農に支障が出ないよう、特定区域内に①遊休農地がかなり存在する②担い手への農地集積に支障がない──を同意の要件とする方針だ。
2019年02月19日
トラクター規制緩和 公道走行実施延期へ 対応方針定まらず 国交省
トラクターが作業機を装着したまま公道を走れるよう政府が規制緩和を検討している問題で、国土交通省は18日、実施は当初予定していた2018年度内から、2年以上延期になるとの見通しを示した。灯火器が見えにくくなる作業機や、けん引タイプの作業機の対応が定まらないためだ。同省が示した工程では、直接装着する作業機は20年度内、けん引タイプは21年度内に、緩和と対応の中身を固める。
2019年02月19日
中山間地ルネッサンス バイオマスに優先枠 雇用創出を後押し 19年度農水省
農水省は、予算に優先枠を設けて中山間地を支援する「中山間地農業ルネッサンス事業」の拡充を決めた。2種類ある関連事業の優先枠の予算規模をそれぞれ増額。その上で、バイオマス施設の整備でも、優先枠を新たに設ける。農産物にとどまらない中山間地の資源を幅広く活用し、雇用創出などを後押しするのが狙いだ。2019年度から始める。
2019年02月17日

停電、断水に備え 酪農災害対応で手引 北海道
昨年9月の北海道地震による道内全域の停電で酪農に大きな被害が出たことを踏まえ、道は酪農家やJAの災害対応のマニュアルをまとめた。被災の経験を参考に、自家発電での搾乳に必要な電力を把握する方法や発電機の扱い方、断水時の備えなどを示す。今後、JAを通じ道内の全酪農家に配る。
条件想定、作業手順も
大規模停電では搾乳が滞り乳房炎が発生した他、自家発電装置のない乳業工場は操業を停止。道の推計では、集出荷できなかった生乳は2万3000トンを超える。停電を経験した酪農家の間では自家発電機を整備する動きが広がっている。
マニュアルは、まず搾乳などに必要な電力を把握することが重要だと指摘。使用電力が大きいほど、発電機などへの投資額も増える。経営に合った発電規模を決めてから設備を整えるよう呼び掛ける。
停電時に想定するパターンは①通常通り②生乳を出荷できるよう搾乳と生乳冷却③搾乳だけ──の三つ。動かす機械類の消費電力を合計し、その1・2倍ほどの能力を持つ発電機を備える。バルククーラーなど一部の機械は、起動する時に電力使用が増えることも計算に入れる。
発電機の調達では、「購入」「レンタル」「他の生産者と共同利用」「JAのものを利用」などから最適なものをあらかじめ選定する。
発電機を使い始めるための作業手順も示した。「電源切替開閉器」を通じて配電盤とつなぐ方法などを図で示す。
断水への備えでは、牛の飲み水や機械の洗浄に必要な水の量の計算法を示した。過去には、設備が不十分で、給水車が来ても貯水できない例が多発したと指摘。ポリタンクなどに加え、ビニールシートとコンテナなどで簡易貯水槽ができることも紹介する。
道は、個々の酪農家だけでなく、地域全体の停電対策の検討にも活用されることを期待。「JAなどが地域の酪農家に災害対策を働き掛けるきっかけにしてほしい」(畜産振興課)とする。3月中に、道のホームページに掲載する予定だ。
2019年02月16日

豚コレラ 愛知 処分2・2万頭 渥美半島入り口一般車両も消毒へ
愛知県は、田原市の養豚団地の一部農場で豚コレラの感染が見つかったことを受け、未感染の農場を含め、団地内と関連農場合わせて計16農場の豚1万4600頭の殺処分に踏み切った。ウイルスを封じ込め外部に拡大するのを防ぐ。今回を含めた県内の殺処分頭数は約2万2000頭に上る。田原市のある渥美半島は、養豚場が集中しているため、原則24時間体制で一般道の消毒などに乗り出す。
防疫措置の対象農場は団地内の14農場と、団地内の生産者が管理する周辺2農場の計16農場。8戸が経営しており、事務所や堆肥場、死体を保管する冷蔵庫や車両を共同利用している。県は13、14と連日、団地内の2戸3農場で疑似患畜を確認していた。
3農場以外の検査結果は陰性だったが同じ作業形態、動線があるため、県は今後新たな発生が確認される可能性を懸念。団地全体を一つの農場とみなした上で、団地内の農家が管理する周辺の2農場を含め、一括して防疫対象とした。
団地内での殺処分は13日から始まっているが、防疫措置が完了するには今後、1週間から10日かかる見込みだ。
今回を含めた県内の殺処分頭数は、農水省によると、10年の口蹄(こうてい)疫の約23万頭に次ぐ規模。県全体の飼養頭数約33万頭(18年)の7%に当たる。
同省は、今回の養豚団地から半径約10キロ圏内の9カ所で、畜産関連車両の消毒地点を拡大。さらに、搬出制限区域外の一般道で一般車両も消毒する。
一般車両を想定した消毒は昨年9月に豚コレラが発生以来、初の措置となる。国道3本と県道1本の渥美半島の入り口に消毒地点を置く。同地点から半島の先端まで散水車を走らせ、消毒液を散布する。交通量が多い国道23号沿いに、消石灰帯を8カ所設ける。
畜産関係車両には、消毒地点のある道を積極的に通るよう呼び掛ける。警察や自治体、畜産関係団体の協力を得て、原則24時間体制で消毒する。
2019年02月16日
和牛精液流出防止で初検討 新制度構築を
農水省は15日、和牛の精液や受精卵の海外流出防止策などを話し合う検討会の初会合を開いた。家畜の遺伝資源の育成者権を巡り国内外の法制度がない中、国内での管理の徹底や不適切に流通した場合の厳しい取り締まりをどう担保するかが焦点。有識者からは新たな仕組みを提案する声も上がった。現場での管理実態なども聴取し、対応方針を取りまとめる。
2019年02月16日
豚コレラ巡り農相 愛知全県調査も視野 飼養衛生管理徹底へ 衆院予算委
吉川貴盛農相は15日の衆院予算委員会で、豚コレラの拡大防止に向け、感染例が相次ぎ見つかっている愛知県内全198農場を対象に、適正な衛生管理をしているか、調査を検討する考えを示した。拡大防止には、飼養衛生管理基準の順守と早期発見、迅速な殺処分という対応が「今のところはベスト」と強調し、ワクチン接種は慎重に判断するとした。
2019年02月16日

豚コレラ 封じ込めへ 1万2000頭殺処分 連日発生の田原市養豚団地
愛知県は14日、一部農場で豚コレラの発生が確認された田原市の養豚団地で、団地内で飼養する全ての豚を豚コレラの疑似患畜とし、約1万2000頭を殺処分することを決めた。同日午前までに発生が確認された団地内の3農場を除き、他の農場の検査結果は陰性だった。ただ、全農場で施設や機材、車両などを共同利用しており、各農場へのウイルス侵入の可能性を懸念。封じ込めを狙い団地内の全農場を防疫対象とした。
農水省の要請を受けた措置。同県の大村秀章知事は、自衛隊の災害派遣要請を決めた。
田原市の養豚場では13日、同県2例目となる豚コレラの発生が確認されていた。14日午前には、隣接する同市の養豚場で発生が新たに確認。いずれも同じ養豚団地内にある。
国の拡大疫学調査チームによる現地調査によると、発生農場を含む養豚団地の全農場は、事務所や堆肥場、豚の死体を保管する冷蔵庫、車両などを共同利用していることが分かった。
県は13日から、2例目の発生農場から半径3キロ圏内の移動制限区域にある33農場で検査を開始。このうち「発生リスクがより高いと判断した」(県畜産課)同養豚団地を先行検査をしていた。
団地内では3カ所を除いて検査結果は陰性だった。ただ、共同利用している施設や機材を通じて各農場にウイルスが侵入している恐れがあるため、団地内の全農場で防疫措置に踏み切った。
一方、2例目の農場から半径3~10キロ圏内の搬出制限区域には、34農場がある。移動制限、搬出制限両区域での飼養頭数は10万頭に上り、県全体の3割に当たる。
昨年秋に発生した豚コレラは岐阜県に集中していたが、今月6日に愛知県豊田市の養豚場とその系列である田原市の養豚場で発生が確認され、子豚の出荷を通じて長野、岐阜、滋賀、大阪の4府県にも広がった。
農水省は感染経路の究明を急いでいる。豚コレラは豚やイノシシの病気で、人に感染することはなく、感染した豚を食べても健康に影響はない。
2019年02月15日