欧州には「名著を読んだら著者に会うな」ということわざがある

 欧州には「名著を読んだら著者に会うな」ということわざがある。幻滅を感じるのがオチだという忠告である▼空想と現実の乖離(かいり)はよくあることで、源氏物語の英訳で有名なアーサー・ウェーリー氏は、何度か招待されても日本はおろか東洋にも足を踏み入れなかった。「私の愛しているのは本の中の東洋であり、日本である。現実の姿に触れてその幻の美を壊してしまうのはしのびない」と言い切ったという。外山滋比古さんの近著『老いの練習帳』で知った▼漫画『ちびまる子ちゃん』を描いたさくらももこさんが生前、顔が映るテレビ出演を拒み続けたのも、人気キャラクターのイメージを変えたくなかったからかも知れない。「百聞は一見に如(し)かず」というが、想像力を生かして頭の中で描いていた方が夢を持ち続けられる場合もある▼存在を巡って長年論争が続いてきた英ネス湖の怪獣「ネッシー」の存在を裏付ける痕跡は見当たらなかった。ニュージーランドの大学教授らによる湖水のDNA検査で見つかったのは多数のウナギ。巨大ウナギの生息は否定できないというが、首長竜を期待していた人たちには期待外れの結果だろう▼「DNA検査などせず夢のままにしてほしかった」とのぼやきも聞こえそう。真実は得てして冷酷である。

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