三方良し 収穫籠ひも「布肩引き」国産化 和歌山

布肩引きを使いミカンを収穫する農家(おかい商店提供)

布肩引きを作る障害者就労支援事業所の利用者(和歌山市で)

果樹農家…使いやすく丈夫 商店…評判上々販拡へ 福祉…障害者の仕事に


 和歌山県紀の川市の資材卸、おかい商店は、ミカンなどの収穫籠に付ける肩ひも「布肩引き」を商品化し、農家から好評だ。県内の障害者就労支援事業所と連携し、全て手作業で製造する。外国製や農家の自作にはない品質の良さを実現し、障害者の仕事の創出にもつなげている。(藤田一樹)

 

手作りで品質向上


 布肩引きには布製の肩当てが付き、肩に食い込みにくく荷重による農家の負担を減らせる。国内製造はほとんどなく、同社も外国製を販売していた。だが、縫い目がほどけるなど品質に課題があり、農家からクレームもあったという。

 そこで2016年から自社での開発を始め、17年9月から販売をスタート。製造では障害者就労支援事業所と連携することにした。製造を委託すれば手作業で品質が良い商品が作れ、障害者の仕事の創出にもなると考えたためだ。製造した布肩引きは同社が全量買い取る方式を取る。

 県内の事業所に協力を呼び掛け、現在は和歌山市や岩出市など11事業所が製造を受け持つ。障害者らには独自に開発した製造の補助器具を使ってもらい、幅6センチ、長さ60センチの規格に仕上げやすくしている。

 和歌山市にある就労支援事業所のピーチは、今年から製造を受託。利用者の女性は「最初は難しかったが、一度覚えると簡単。きれいに仕上がるとうれしい」と笑みを見せる。事業所を運営するプラムの矢野好生代表も「利用者が予想以上に作業をこなしてくれる」と喜んでいる。

 19年8月には商品名を「収穫かごひも 肩楽!手編みDX」にした。県内の紀の里、紀北かわかみ、ながみねの3JAなどを通して販売する他、農業資材を扱う商社を通して福島県や長野県などでも販売する。メーカー希望小売価格は700円(税別)。

 ミカンや柿などを栽培し、同社の布肩引きを使う紀の川市の林順二さん(72)は「以前は中国製を使っていたが、切れやすい上、よく繊維がほつれて首がちくちくした」という。「今使っている布肩引きは繊維がほつれることもなく頑丈」と、良さを実感する。

 8月から10月までの販売本数は約1000本。年間で約3000本の販売が目標だ。おかい商店の岡井良樹社長は「県内に委託先を広げ、布肩引きといえば和歌山県だと思ってもらえるような商品にしていきたい」と話した。
 

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