[未来人材] 28歳。自給自足めざし修行 抜群の行動力武器に 濱納亜里沙さん 熊本県芦北町

JAあしきたでタマネギ栽培を学ぶ濱納さん(熊本県芦北町で)

 濱納亜里沙さん(28)は、熊本県のJAあしきたで農家研修を受けている若い女性だ。JA職員に彼女について聞くと、口をそろえて「最近の若者とは一味違う」と答える。幅広い農業の現場で働いてきた経験、耕作放棄地を自力で整えて就農予定地にするような行動力がある。

 研修を受け入れる側は通常、就農について多くの相談を研修生から受ける。最も多いのが農地について。農地の選定から農業委員会での手続きなどさまざまな場面で支援が必要となる。だが濱納さんは、相談をほぼしなかった。自ら耕作放棄地を見つけて、荒れた農地の整備まで1人でこなしたからだ。

 チェーンソーで雑木を伐採し、パワーショベルで段々畑を崩し一枚の畑に整地した。土質改善のために麦をまき、すき込むまでを自分だけでやり切った。これまでJAは数人の研修生を受け入れたが、「ここまで行動力がある人は初めてだ」と驚く。

 濱納さんは公立大学に通っていたが、就職活動をしなかった。「やりたいことがないのに、時期が来たから就活をするというのがどうしてもなじまなかった」と振り返る。卒業後に大学生時代に経験したサトウキビの収穫が楽しかったことを思い出し、インターネットで求人を見て、農業の世界に飛び込んだ。

 農業アルバイトとして長野県でレタス収穫作業に従事。シーズンを終えると四国でリンゴやキウイフルーツの収穫を手伝うなど、働き先や住まいを転々としながら1年経験を積んだ。その後は農業法人に就職し、仕事を覚えた。自慢の行動力はこの“武者修行”で身に付けたものだ。

 農家宅に泊まり込んで仕事をしたときに印象深かったことがある。どの家庭にもあると思っていた電子レンジがなかった。いつも温かい作り立てのご飯をみんなで食べるから、電子レンジの出番はなかった。便利な家電がないことに、むしろ豊かさを感じたという。

 濱納さんは研修で学んだタマネギと、農業法人で作ったソラマメを組み合わせ、周年で作物を栽培する計画だ。「自給自足で豊かに暮らして生きていきたい」と、就農するときを心待ちにしている。(金子祥也)
 

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