バターを塗って食べるパンが珍しく、脱脂粉乳も言われるほどまずくはなかった

 バターを塗って食べるパンが珍しく、脱脂粉乳も言われるほどまずくはなかった▼小学校で初めて食べた給食の記憶である。確か、酢豚も付いていた。それ以上に脳裏にあるのは、その日から昼食時に教室からいなくなる子どもや、教科書で隠して弁当を食べる児童がいなくなったこと。昼食は家庭の台所事情を映す“鏡”だった▼給食は農村の食生活改善の契機にもなったが、「ヤヌスの顔」のように別の面もあった。米国の余剰農産物のはけ口だったり、効率優先だったり。今も残さず食べさせる完食指導が会食恐怖症の原因になることがあると、日本会食恐怖症克服支援協会代表理事山口健太さんから教わった。その子に合った安心できる食べ方を採り入れる時代ということだろう▼食べられるのに捨ててしまう「食品ロス」が社会問題になるご時世に、欠食児童はなくならない。貧困や家庭内暴力でまともな食事を出せない家庭がある。ボランティアのこども食堂は増えてきたが「学校給食が唯一の良質な食事である家庭は少なくない」。藤原辰史さんの『給食の歴史』(岩波新書)で認識を新たにした▼きょうから全国学校給食週間。ちょうど半年後に迫った東京五輪を心待ちにしながら、食材ごとにどのような国旗が立つか。給食の今を考えたい。

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