動物疾病防疫 中国の春節迎え厳戒を

 中国の春節(旧正月)に合わせた連休が24日から始まる。人や物が広範囲に動き、アフリカ豚コレラ(ASF)ウイルスなどが侵入する恐れがある。農場に入る際の洗浄や消毒などを再徹底する必要がある。人の新型肺炎にも警戒を怠れない。

 中国の春節は一年で最も人の移動が激しくなる時期。今年の連休は24~30日の1週間で、前後40日間で延べ30億人が移動すると予想される。昨年1月の中国からの訪日客は75万人。前年よりも20%増えた。今年も日本人気は高く、中国最大手の旅行代理店の海外旅行先ランキングでは、日本が1位だった。日本を希望する人は昨年の春節と比べ51%も増加しているという。

 中部・関東地方へ被害が広がった豚コレラ(CSF)が遠く海を隔てた沖縄県で発生した。関係者からは悲痛な声が上がる。沖縄の農場では、初発の岐阜県での発生から1年半にわたり農水省らが再三注意を促してきていた、食品残さから作るエコフィードの加熱を行っていないことが指摘されたからだ。

 豚コレラやアフリカ豚コレラは、汚染された肉や肉製品を人間が食べても問題ないが、適切に処理せず餌として豚が食べると感染するとされる。エコフィードの加熱基準の厳格化が議論されている最中で、全国的に状況の調査が必要だ。

 今年は東京五輪・パラリンピックイヤーでもある。国境を越えた人や物の出入りが激しくなる。この春節を契機に、家畜疾病防疫に対する危機感を高め、自分の経営の防疫態勢をいま一度精査するべきだ。

 畜舎に小動物が入らないよう、金網やネットを確認するのはもちろん、出入りする業者の車両や長靴、機材なども含めた消毒の状況、飼料の保管、エコフィードの処理状況など、チェックするポイントはいくつもある。JA全農の畜産総合情報ホームページ(HP)「JACCネット」や、豚コレラ情報を紹介する農水省のHPでは、注意点をまとめた動画を見ることができる。知っていることと過信せず、従業員や家族と共に、定期的な確認を求めたい。

 国際的に警戒が必要な家畜疾病は他にもある。清浄化されたが、10年前には宮崎県で口蹄(こうてい)疫が猛威を振るった。高病原性鳥インフルエンザは近年、発生していないが、野鳥のふんからは高病原性へ変異する恐れがあるとされる低病原性のウイルスが今シーズンも見つかっている。

 農水省動物検疫所は今月中旬から、全国の空港や港で、中国からの訪日客や帰省のため出国する人に対し、肉や肉製品を日本に持ち込まないよう呼び掛けるキャンペーンを展開。日本養豚協会も協力する。ただ、水際での検査に、完璧を求めるのは現実的ではない。春節はアジア圏が中心だが、五輪による人の移動は世界規模だ。大切な家畜、畜産業を守るためにも、防疫の基本に立ち返ろう。

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