規制改革具体化へ 現場の意向反映が前提

 政府は規制改革実施計画案をまとめた。未検査米の産地表示などの条件付き容認や農業法人の資金調達を円滑化する方策の検討などを盛り込んだ。具体化に際し、現場の実態と意向を十分踏まえるよう求める。農業・農村の振興につながらず混乱を招くようなら断念すべきだ。

 計画案は規制改革推進会議の答申に従った。閣議で来週決定し、規制・制度の見直しなどを期限を定めて検討、実施する。

 米検査では「農産物検査に基づく検査以外の選択肢も可能にする」とした。条件を設けた上で、未検査米に①品種や産年、産地の表示②収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)などの補助金交付──を認める。別の検査や取引の記録の保存などで表示を担保し、補助金交付でも別の手法で数量を確認するとしている。

 不正な表示や補助金受給を防げなければ、米や農業者への消費者、納税者の信頼が崩れる恐れがある。消費者の意見も聞いて、品質が証明された米の流通を担保できる制度にすべきだ。

 同会議は答申で「生産者の責任で品質を保証」との考えを示した。農産物検査は全国一律の規格や検査方法に基づき、第三者が客観的に証明している。また、江藤拓農相は、未検査米の補助対象化に当たり「客観的評価がなければ国の税金を投入することには問題がある」と指摘。「量と品質の担保」を条件に挙げる。厳格な運用ができる制度設計が求められる。

 農業法人の資金調達の円滑化方策も検討する。農地所有適格法人(農業生産法人)について農業関係者以外の議決権の拡大が、同会議の念頭にある。一般企業の農地所有につなる懸念があり、慎重さが求められる。拙速な判断は許されない。

 農協改革では、自己改革の中での准組合員の意思反映方策を検討する。各JAは既に、准組合員を地域農業と農村を支える重要な存在と位置付け、事業利用だけではなく、活動への参画も促し、工夫をしながら意志反映にも努めている。現場の取り組みとJAの意向を踏まえる必要がある。

 准組合員の事業利用規制の在り方について改正農協法は、利用実態などを2021年3月まで調査し検討すると規定している。意志反映方策と並行しての論議となる可能性がある。「組合員の判断に基づく」とした与党の公約を違えてはならない。両者とも、自己改革のさらなる後押しを基本とすべきだ。

 同会議は答申で、JAの信用事業の持続性の確保を理由に「代理店化が必要」との考えを改めて示した。政府は「選択肢」と位置付け、ほぼ全てのJAが総合事業を選択。それを前提に経営基盤強化に取り組んでいる。代理店化を迫るようなことがあってはならない。

 農協改革の検討に当たって政府は、協同組合としてJAは自主・自立の組織であることを改めて認識すべきだ。

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