クラフトコーラ「新たな特産」に テンサイ、ショウガ、かんきつ… 地域おこし協力隊、移住者ら奮闘

十勝夕暮れコーラをPRする真浦さん(左)ら(北海道帯広市で)

 地元産のスパイスやショウガ、かんきつなどを基に作る「クラフトビール」ならぬ「クラフトコーラ」作りが全国に広がっている。各地の農作物を活用し、酒が飲めない人もターゲットに、新たな特産品として注目を集めている。地域おこし協力隊が地元初の新商品として開発するなど、移住者や若者の感性を生かした「町おこしのツール」として期待される。(関山大樹)
 

身近な品目活用


[北海道]

 クラフトコーラは砂糖、かんきつ類、スパイスなどを煮立てて作るシロップを、炭酸水などで割って飲料にしたもの。インターネット上では家庭で簡単に作れるレシピも紹介されている。2019年に東京都内に初の専門店ができて以降、知名度が上昇中だ。

 北海道十勝地方では、酪農家や元地域おこし協力隊員、デザイナーら有志5人が協力して、2年前に「十勝夕暮れコーラ」を企画した。帯広市の中田食品がホクレンから仕入れたてんさい糖をベースに、3種類のスパイスと国産レモンを加えて作る。

 メンバーの一人で帯広市のデザイナー、真浦綾子さん(45)は「十勝でも盛んに栽培されるテンサイからできるてんさい糖のおいしさを、もっと知ってほしかった」と振り返る。地元スーパーや道の駅で販売する他、メンバーが移動販売車などで道内各地で売っている。

 口コミで評判が広がり、今では1個1リットル分のシロップを月平均300個を製造。真浦さんは「まずは地元の十勝で広がってほしい」と、新たな食文化となることを期待する。
 

食文化取り入れ


[島根]

 島根県雲南市でスパイスを栽培・加工・販売する「出雲SPICE LAB.」代表の山田健太郎さん(30)は、18年に東京都から移住して地域おこし協力隊として活動する。

 特産品開発を模索する中、クラフトコーラ人気に着目。20年に同社を立ち上げ、輸入品を含め10種類以上のスパイスに出雲市特産の「出西ショウガ」の古根や、国産かんきつを配合したクラフトコーラを作った。地域の声を受けて、苦味を抑えた「こどもコーラ」など、4種類を販売している。

 6月にインターネットや県内、東京で販売を始め、現在は1700本が完売。追加製造中だ。山田さんは自身も10アールほどでトウガラシやウコンなどを栽培。「耕作放棄地の解消に微力ながら貢献し、今後は地元産のスパイスやかんきつでコーラを作って農家を応援したい」と意気込む。

[高知]

 高知県いの町でも、元地域おこし協力隊員の小野義矩さん(36)が、クラフトコーラを作った。名前は「sawachina」。ハレの席などで大皿に持ち寄った料理を盛り合わせる高知の郷土料理「皿鉢(さわち)」をイメージ。県の食材を横断的に使い、新たな特産品としてPRする。

 県内の生産者が作る「仁淀川山椒(さんしょう)」、白玉糖(黒砂糖)、天日塩、ヤブニッケイ、有機ショウガをベースに、季節ごとに3種類のかんきつを加える。5月の第1弾にはユズ、ブンタン、レモンを配合。10月上旬からの第2弾にはグリーンレモン、アオユズ、「四万十ブシュカン」を使う。

 小野さんは「第1弾は2カ月足らずで1100本が完売した。県のゆずサイダーやご当地乳酸菌飲料リープルと混ぜると、かんきつの風味が際立つ」と話す。シロップを作る際に出る残さは、もう一度コーラを作れるほど風味が残っており、今後県内の企業と協力し、残さを活用したクラフトビールを作る他、畑の防虫剤としても試す予定だ。
 

各地で広がり


 クラフトコーラ作りは、東京都の「ともコーラ」、有機ハーブを活用した千葉県銚子市の「銚子灯台コーラ」、岩手県一関市の「こはるコーラ」、奈良県曽爾村の「大和コーラ」(仮称)、鹿児島県の「屋久島クラフトコーラ」など、各地に広がる。

 国内クラフトコーラの先駆け、「伊良(いよし)コーラ」(東京都新宿区)代表の小林隆英さん(30)は、地域おこしのツールとして期待する。「今後もコーラ文化を消費者に伝えながら、飲んだ人を笑顔にしていきたい」と話す。

おすすめ記事

経済の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは