売れないなら自分で… コロナ禍で加工に活路 「花ある暮らし」を提案 山口県下関市のバラ農家

「AZEHANA」店内のドライフラワーを観賞し、商品を選ぶ来店客(山口県下関市で)

 下関市豊北町でバラを生産する司ガーデンが、花きの廃棄ゼロを目指して直売所「AZEHANA(畦花=あぜはな)」をオープンした。新型コロナウイルス禍の影響を強く受ける花き業界だが、同社は生花を長持ちする加工品に変えることで商品のロスをなくし、収益につなげていこうと、新たな事業に挑戦する。社長の中司武敏さん(52)は「花を実際に手に取って、喜びを感じてほしい」と願う。

 全国的なコロナ禍の影響で、県内でも結婚式の中止が相次いだ。年間40万本を出荷する同社も、4月の売り上げは前年比7、8割減少した。ホテルに卸していたバラ風呂用の花も、宿泊業の苦境で需要が戻らない状態が続いている。「育てたバラを廃棄するのが一番悲しい」と感じていた中司さんは、商品を自ら売り切ろうと、奮起して直売所を始めることにした。

 以前取り組んでいたドライフラワーを商品の主力にすることに決め、8月に開店にこぎ着けた。店を構えたのは、県有数の観光名所・角島大橋が近く、養鶏も営む人気の洋菓子店「3つのたまご」に隣接する場所。午前は卵を買いに来る住民、午後は観光客が多く立ち寄るという。

 コンセプトは「故郷の心のオアシス」。扉をくぐると天井と壁を彩るドライフラワーやボタニカルキャンドルが来店客を迎え、生花や野菜も並ぶ。来店客は「おしゃれでプレゼントにぴったり」「花のロスゼロに向けて頑張ってほしい」とエールを送る。

 コロナ禍は、花き業界に大きな打撃を与えたが、「花のある暮らし」として家庭内の需要も注目される。中司さんは「この店を、生産者の思いと花の魅力を発信する場所にしていきたい」と意気込む。

 同店は土・日曜日の午前8時から午後5時だけの営業。9月下旬からはハロウィーンカボチャで店頭を飾る他、カボチャの直売やランタン作り体験も計画している。
 

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