介護事業所 経営悪化5割に 通所系で顕著 厚労省調査
2020年10月31日
厚生労働省は30日、新型コロナウイルス禍による介護事業所の経営への影響に関する調査を公表した。緊急事態宣言発令中の5月時点と、感染拡大前の収支状況を聞いたところ、約5割が「悪くなった」と回答。特にデイサービスなどで影響が大きかった。マスクや消毒液などの感染症対策経費の増加や利用控えが要因とみられる。
2021年度介護報酬改定に向けた各種調査結果で公表した。10月14~21日に調査し、3万9199事業所から回答を得た。
5月時点の収支は、感染拡大前と比べ「悪くなった」が47・5%で最も多かった。特に、通所リハビリテーションが80・9%、デイサービスが72・6%に上り、悪化が目立った。10月時点の収支が、感染拡大前と比べ「悪くなった」という回答は32・7%で、5月より改善した。
調査では感染拡大前と比較した各経費の増減を確認した。マスクや消毒液などの衛生用品の5月時点の経費は、感染拡大前と比べ「増加している」が79・2%、10月時点は74・5%だった。厚労省は収支悪化の要因として「事業所の感染症対策や利用者の利用控えがあった」とみている。
20年度介護事業経営実態調査も公表した。23の介護保険サービスの平均で見ると、19年度決算の利益率を示す収支差率は前年度比0・7ポイント減の2・4%と悪化。17のサービスで収支差率が低下しており、人手不足による人件費上昇が経営に影響を与えたとみられる。
緊急宣言の5月時点と感染拡大前を比較
2021年度介護報酬改定に向けた各種調査結果で公表した。10月14~21日に調査し、3万9199事業所から回答を得た。
5月時点の収支は、感染拡大前と比べ「悪くなった」が47・5%で最も多かった。特に、通所リハビリテーションが80・9%、デイサービスが72・6%に上り、悪化が目立った。10月時点の収支が、感染拡大前と比べ「悪くなった」という回答は32・7%で、5月より改善した。
調査では感染拡大前と比較した各経費の増減を確認した。マスクや消毒液などの衛生用品の5月時点の経費は、感染拡大前と比べ「増加している」が79・2%、10月時点は74・5%だった。厚労省は収支悪化の要因として「事業所の感染症対策や利用者の利用控えがあった」とみている。
20年度介護事業経営実態調査も公表した。23の介護保険サービスの平均で見ると、19年度決算の利益率を示す収支差率は前年度比0・7ポイント減の2・4%と悪化。17のサービスで収支差率が低下しており、人手不足による人件費上昇が経営に影響を与えたとみられる。
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米生産の目安削減 合意形成 国は後押しを
道府県の農業再生協議会などが定める2021年産主食用米の「生産の目安」がほぼ出そろった。需給均衡水準を上回り、大幅な価格下落が懸念される。目安の削減や、目安よりも生産を減らす「深掘り」が全体的に必要だ。県行政を中心とした関係者の合意形成と、国の強い後押しが不可欠である。
農水省は、需給均衡には21年産で6・7万ヘクタール(生産量36万トン)の作付け転換が必要だと指摘する。だが日本農業新聞の調べでは、41道府県の目安の合計で削減は約17万トンにとどまる。
20年産の需給は過剰作付けと、新型コロナウイルス感染拡大の影響を含めた大幅な消費減で緩和。相対取引価格は下がり、60キロ平均で前年より600円超低い水準で推移する。このままでは、2年で同4000円台半ばの下落となった13、14年産の二の舞いになると危惧される。
そこでJAグループは、20万トンを翌秋以降に販売する長期計画的販売を実施。最大規模の作付け転換などを支援するため政府・与党は、20年度第3次補正予算案と21年度予算案の合計で3400億円の財源を確保した。JAグループは、主食用と非主食用の手取り格差が縮小・解消されると評価する。また品代と助成金から経営費を除いた10アール所得に着目し、主食用と非主食用を組み合わせて所得を確保することを改めて提唱する。
作付け転換をやり切るには支援策の最大限の活用と併せ、県によっては目安の削減や深掘りがまず必要だ。行政やJAグループ、稲作経営者、農業法人、集荷業者や各団体などによる合意形成が鍵を握る。県行政の指導力の発揮が求められる。
野上浩太郎農相も昨年12月の記者会見で目安について「農家の所得向上の観点から、見直しが必要かどうかも含めて関係者で十分な検討を行ってほしい」と述べ、再考を促した。目安や作付け意向の調査、需給動向の分析、営農計画書のとりまとめなどあらゆる機会を捉え、目安の削減を含め作付け転換を強く働き掛けてもらいたい。
消費拡大対策も強化しなければならない。JAグループは国の事業を活用し、コンビニをはじめ事業者と連携した商品開発と販売促進、パックご飯の製造強化、学校給食への提供拡大などを行う。組合員・役職員が1日3食ご飯を食べる運動も展開。系統外への消費拡大策も検討・実施する。消費拡大が官民挙げた取り組みとなるよう同省にもけん引してほしい。
新型コロナの影響による需要の減少を、同省は約9万トンと推計。緊急事態宣言の再発令でさらに減る恐れがある。消費拡大に努めてもコロナ禍による減少分を補いきれなかった場合を想定し、対応を検討すべきだ。
生産・消費両面での取り組みにはスピード感が重要だ。20年産の価格は低下し始めている。需給均衡が見通せる状況を官民一体で早期につくり、市場に示すことが大切である。
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2021年01月11日

11県合同トマト販促 首都圏100店舗で 鍋料理や機能性宣伝
冬春トマトの主産11県のJAグループが、首都圏のスーパーで合同販促を展開している。11県合同での冬季の店頭販促は初めて。17社と協力し、先週の3連休と今週末に、100を超える店舗で実施する。鍋など体が温まる料理やトマトの機能性を伝えるポスター掲示や推奨販売を通じ、厳寒期の販売を盛り上げる。
参加するのは、茨城、栃木、群馬、千葉、静岡、愛知、岐阜、福岡、佐賀、熊本、宮崎11県のJA全農県本部や経済連。……
2021年01月15日
農業分野の技能実習生 1~3月2000人予定 人手不足を懸念 入国停止で農相
野上浩太郎農相は15日の閣議後記者会見で、1~3月に来日を予定していた農業分野の外国人技能実習生らが約2000人に上ると明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、技能実習生を含む外国人の新規入国は停止中で、生産現場の人手不足が問題となる可能性がある。野上農相は影響を注視しつつ、代替人材の確保を後押しする考えを示した。
昨年12月末時点で今年1~3月に来日予定だった技能実習生らの数を、都道府県やJAなどに聞き取ってまとめた。……
2021年01月16日

国産で輸出加工品を 中国向けに高級ジュース 全農
JA全農はホクレン、サントリーと共同で、輸出向けの高級商品「北海道産プレミアムりんごジュース」を開発し、中国で販売に乗り出した。富裕層がターゲットで、2月に始まる春節での需要を狙う。日本からの農産物加工品は輸入原料が多く、全農は国産を原料にした加工品輸出のモデルとして、新たな需要を開拓したい考えだ。
12月に発売した。原料は北海道産のリンゴで、700ミリリットル瓶2本入りの贈答向けの商品とした。JA全農インターナショナルが開発・輸出し、サントリーの中国法人、三得利が販売する。
新型コロナウイルス禍を踏まえ、eコマース(EC=電子商取引)で販売する。サントリー中国法人のECサイトで、春節向けの贈答品としてPRする。中国で知名度のある、卓球日本代表の石川佳純選手(全農所属)もPRサイトに起用している。また、インターネット交流サイト(SNS)でのPRも予定している。
販売は、価格設定や需要について調べるテスト販売の位置付け。全農は輸出拡大に向けた政府の関係閣僚会議などで、輸出加工品の原料として国産の利用を広げる必要を訴えている。今回の取り組みで、そうしたモデルを率先して探っていく。
全農は「全農グループの素材を生かし、サントリーと共同で新たな輸出の需要を作り出したい」(輸出対策部)と話す。
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2021年01月11日

[あんぐる] 今年の顔です 嶺岡牧の白牛(千葉県南房総市)
今年は丑(うし)年。千葉県南房総市は、日本酪農発祥の地として知られる。同地にある県の酪農の歴史を伝える施設「酪農のさと」では、国内で初めて乳製品の加工を目的に飼育されたと伝わるゼブー種の牛「白牛(はくぎゅう)」がのんびりと過ごしている。
白牛は、白い毛と長く垂れた耳の愛らしい見た目。暑さに強く、あごの下の胸垂のたるみや、背中のこぶといった特徴がある。海外では乳肉兼用の牛で、ホルスタインのような大きな乳房はない。
江戸時代の1728年に、将軍の徳川吉宗がインド産の白牛3頭を輸入。軍馬を育成していた同地の「嶺岡牧」で飼い、とれた乳を砂糖と煮詰め薬用の乳製品「白牛酪」を作ったことが記されている文献が残る。その後、白牛は70頭まで増加し、乳製品が献上品から庶民への販売品になった記録もある。しかし、明治期に発生した牛疫で同地から白牛は姿を消した。
施設には乳牛や地域の酪農の歴史を学べる資料館がある
嶺岡牧はその後も、牛の改良や繁殖を研究する場として牛が飼われ続け、現在の酪農の基盤をつくった。県は同地を「日本酪農発祥地」として1963年に史跡に指定。現在も「酪農のさと」の隣に、約30ヘクタールの放牧地と県の嶺岡乳牛研究所があり、乳牛受精卵の供給や放牧技術の研究を進めている。
「酪農のさと」では、95年のオープン以降、同地のシンボルである白牛を国内で唯一、継続的に飼育。現在は、雌3頭が飼われ、そのうち2歳の2頭は、2019年にオーストラリアから導入した“新人”だ。3頭とも性格は穏やかで、日中は屋外で日なたぼっこをしたり、干し草を食べたりして、過ごしている。
同施設の押本敏治所長は「今は冬毛でグレーになっているのが見どころ。インドでは神の使いといわれ、縁起が良い牛です」と話す。(染谷臨太郎)
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2021年01月11日
新型コロナの新着記事
[新型コロナ] 緊急事態追加発令 7府県、栃木・福岡も 政府決定
政府は13日、新型コロナウイルス感染症対策本部を首相官邸で開き、コロナ特別措置法に基づく緊急事態宣言の対象に栃木、岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の7府県を追加することを決めた。発令済みの首都圏4都県と合わせ11都府県に拡大。発令地域の人口は7000万人超で、飲食店への営業時間短縮要請による農産物の需要減少などの影響が広がる可能性がある。
全国拡大には慎重
首都圏4都県以外の都市部でも感染拡大が止まらないことを踏まえた。……
2021年01月14日
[新型コロナ] 営業短縮飲食店の取引先 最大40万円支援
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の再発令を受け、梶山弘志経済産業相は12日の閣議後記者会見で、営業時間の短縮要請に応じた飲食店の取引先に給付金を支給すると発表した。時短の影響などで1月か2月の売上高が前年同月比で半分以下に減った場合に、中堅・中小企業は40万円、個人は20万円を上限に支払う。JAや卸売業者などを通じて間接的に取引する農家も対象に想定する。……
2021年01月13日

緊急事態宣言 ガイドライン順守を コロナ感染防止で農水省
農水省は緊急事態宣言の再発令を受け、農家に新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた業種別ガイドラインの順守を呼び掛ける。ガイドラインは大日本農会のホームページに掲載。日々の検温や屋内作業時のマスク着用、距離の確保などの対策をまとめている。感染者が出ても業務を継続できるよう、地域であらかじめ作業の代替要員リストを作ることも求める。
ガイドラインは①感染予防対策②感染者が出た場合の対応③業務の継続──などが柱。予防対策では、従業員を含めて日々の検温を実施・記録し、発熱があれば自宅待機を求める。4日以上症状が続く場合は保健所に連絡する。
ハウスや事務所など、屋内で作業する場合はマスクを着用し、人と人の間隔は2メートルを目安に空ける。機械換気か、室温が下がらない範囲で窓を開け、常時換気をすることもポイントだ。畑など屋外でも複数で作業する場合は、マスク着用や距離の確保を求める。
作業開始の前後や作業場への入退場時には手洗いや手指の消毒を求めている。人が頻繁に触れるドアノブやスイッチ、手すりなどはふき取り清掃をする。多くの従業員が使う休憩スペースや、更衣室は感染リスクが比較的高いことから、一度の入室人数を減らすと共に、対面での会話や食事をしないなどの対応を求める。
感染者が出た場合は、保健所に報告し、指導を受けるよう要請。保健所が濃厚接触者と判断した農業関係者には、14日間の自宅待機を求める。保健所の指示に従い、施設などの消毒も行う。
感染者が出ても業務を継続できるよう、あらかじめ地域の関係者で連携することも求める。JAの生産部会、農業法人などのグループ単位での実施を想定。①連絡窓口の設置②農作業代替要員のリスト作成③代行する作業の明確化④代替要員が確保できない場合の最低限の維持管理──などの準備を求める。
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2021年01月09日

[新型コロナ] 緊急事態再宣言 1都3県、来月7日まで 飲食店午後8時まで一斉休校は要請せず
政府は7日、新型コロナウイルス感染症対策本部を首相官邸で開き、東京都と埼玉、千葉、神奈川の3県を対象に、コロナ特別措置法に基づく緊急事態宣言の再発令を決めた。期間は8日から2月7日までで、感染リスクが高いとされる飲食店などへの営業時間の短縮要請が柱。小中高校の一斉休校は求めないが、外食やイベント需要の減少などで農産物の価格に影響が出る可能性がある。
宣言発令は昨年4月以来2回目。首都圏の感染拡大が止まらず、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)していることを踏まえた。菅義偉首相は対策本部後の記者会見で「何としても感染拡大を食い止め、減少傾向に転じさせるため、緊急事態宣言を決断した」と述べた。
コロナ対策の新たな基本的対処方針では、飲食店に対し、営業時間を午後8時までに短縮し、酒類の提供は午前11時から午後7時までとするよう要請。応じない場合は店名を公表する一方、応じた場合の協力金の上限は、現行の1日当たり4万円から6万円に引き上げる。宅配や持ち帰りは対象外とした。
大規模イベントの開催は「収容人数の50%」を上限に「最大5000人」とする。午後8時以降の不要不急の外出自粛も求める。出勤者数の7割削減を目指し、テレワークなどの推進を事業者らに働き掛ける。
宣言解除は、感染状況が4段階中2番目に深刻な「ステージ3」相当に下がったかなどを踏まえ「総合的に判断」するとした。西村康稔経済再生担当相は同日の衆院議院運営委員会で、東京に関しては、新規感染者数が1日当たり500人を下回ることなどが目安との認識を示した。
政府は対策本部に先立ち、専門家による基本的対処方針等諮問委員会を開き、西村氏が宣言の内容などを説明し、了承された。その後、西村氏は衆参両院の議院運営委員会で発令方針を事前報告した。
政府は昨年4月7日、東京など7都府県を対象に緊急事態宣言を発令し、16日には全国に拡大した。5月25日に全面解除したが、農畜産物では、飲食店やイベントの需要の激減で、牛肉や果実、花などの価格が下落した。
政府は、コロナ対策を強化するため、特措法の改正案を18日召集の通常国会に提出する方針だ。
業務需要減加速の恐れ
緊急事態宣言が再発令されることを受け、流通業界や産地では農畜産物取引への影響が懸念されている。飲食店向けや高級商材はさらに苦戦する様相。一方、家庭消費へのシフトが進んでおり、対象地域が限られることから、前回宣言時ほどの打撃にはならないとの声もある。品目、売り先で影響の大きさが異なる展開になりそうだ。
米は、春先のようなスーパーでの買いだめは現状、起きていない。しかし、飲食店の営業縮小で業務用販売は厳しさが増す見通しで、JA関係者は「今も前年水準に戻り切れていない。在宅勤務が増え、米を多く使う飲食店の昼食需要までなくなる」と警戒する。
青果物は、飲食店の時短営業で仕入れに影響が出てきた。
東京都の仲卸業者は「7日から注文のキャンセルが出た。多くの店が休んだ前回の宣言時ほどでなくても、1件当たりの注文量はがくっと減る」と懸念する。果実は、大手百貨店が営業縮小する方針で、メロンなど高級商材を中心に販売が厳しくなるとの見方で出ている。
鶏卵は加工・業務需要が全体の5割を占めるため、飲食店の時短営業の拡大による販売環境の悪化が予想される。
切り花は、葬儀や婚礼の縮小、飲食店の休業や成人式などイベントの中止で業務需要が冷え込むため、「相場は弱もちあいの展開が避けられない」(花き卸)見通し。長引けばバレンタインデーの商戦に影響するとの懸念もある。
一方、牛乳・乳製品は家庭用牛乳類の販売好調が続く。緊急事態宣言再発令で業務需要はさらに減少する恐れがある。だだ、「前回のような全国一斉休校がなければ加工処理量の大幅な増加はない」(業界関係者)との観測も広がる。
食肉は各畜種ともに内食需要の好調が継続しそうだ。豚肉、鶏肉は前回の緊急事態宣言以降、価格が前年を上回って推移しており「国産は在庫も少なく、引き続きスーパー向け中心に引き合いが強まりそう」(市場関係者)。
和牛は外食から内食へのシフトが進んでおり、「外食向けの上位等級は鈍化するものの、3、4等級は前回のような大きな落ち込みはない」(都内の食肉卸)との見通しだ。
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2021年01月08日

緊急事態宣言 再発令 感染防止徹底を 農作業 通常通り可 需要喚起の対策用意
東京都と埼玉、千葉、神奈川の3県に緊急事態宣言が再発令された。農家は農作業を通常通りに行えるが、農水省は新型コロナウイルス感染防止のガイドラインの順守を呼び掛ける方針。一方、1都3県の人口は3600万人超で日本の3割を占め、政府は飲食を「急所」と指摘する。外食向けの農産物の需要減も懸念される中、同省は2020年度第3次補正予算などで対策を用意する。
1都3県を含め、農家は前回の発令時と同様、農作業を通常通りに継続できる。農家向けにコロナの感染防止や発生時も事業を継続するための対策をまとめたガイドラインは、大日本農会が定める。 同省は、これに従って3密の回避や手洗い、マスク着用などを徹底してもらいたい考えだ。
コロナ禍で売り上げが落ち込んだ農産物の販売促進のため、同省は3次補正予算で「国産農林水産物等販路多様化緊急対策事業」に250億円を確保。販促キャンペーン時の食材を通常より安く仕入れられるように補助し、インターネット販売の送料も助成する。
同省は、国産農産物の需要を喚起する「#元気いただきますプロジェクト」「花いっぱいプロジェクト」も展開中だ。
一方、同省は飲食店支援策の「GoToイート」事業については一斉停止を求めず、①プレミアム付き食事券の新規販売の一時停止②食事券やオンライン予約で獲得したポイントの利用自粛の呼び掛け──を検討するよう、都道府県に要請している。6日時点で1都3県を含めて25都道府県が応じているが、期間は知事の判断となる。
前回の緊急事態宣言発令時には、外食での需要が多かった牛枝肉の価格が下落した。同省は3次補正予算で財源を確保し、経営体質の強化に取り組む肥育牛農家に出荷1頭当たり2万円の奨励金を交付する事業を21年度も当面継続する。3次補正予算では、在庫が増えている国産バターや脱脂粉乳の需要拡大に向けた緊急対策も講じる。
牛枝肉価格が再び落ち込めば、最短で6月だった肉用牛肥育経営安定交付金制度(牛マルキン)の生産者負担金の納付再開がずれ込む可能性もある。コロナ禍を受けた資金繰り対策で昨年4月から免除しているが、今年1月以降、月平均の枝肉価格が3カ月連続で1キロ当たり2300円以上となった場合、3カ月後から再開するとしている。
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2021年01月08日

[新型コロナ] 技能実習生 再就労 7割食農分野 「コロナ解雇」受け皿に
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で解雇されるなどした外国人技能実習生を対象に一度限りの職種変更を認める「特定活動」の資格へ移行した約7割が、農業や食品製造業を新たな職種に選び、就労先を見つけていたことが分かった。法務省出入国在留管理庁が調べた。実習生の再就労の実態が明らかになるのは初めてで、世界的な社会・経済不安の中でも「食」を巡る産業が雇用の受け皿となっていることを裏付けた。
外国人技能実習機構によると、政府が緊急事態宣言を発令する直前の2020年3月時点で入国していた、もしくは入国予定だった実習生は計36万6167人。……
2020年12月30日

「公園・緑地大切に」 コロナで都民の6割が実感
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、公園や緑地の重要性を感じるようになった人が6割に上ることが、東京都が都政への意見を聞くために行ったアンケートで分かった。家庭菜園や市民農園で野菜を育てることに興味を持つようになった人も2割を超えた。
調査は生物多様性への考えや新型コロナウイルス感染症拡大に伴う都民の意識の変化を知る目的で実施。都政モニター500人を対象に10月6日までの7日間、インターネットで行い、484人から回答を得た。
新型コロナの感染拡大に伴う自然環境に関する意識の変化を尋ねると、「公園や緑地の重要性を感じるようになった」が61%で最も多かった。次いで「人間と自然環境との適切な距離感を考えるようになった」(29%)、「家庭菜園や市民農園で野菜を育てることに興味を持つようになった」(24%)が続いた。
自然環境や生き物のために心掛けていることでは「マイバッグやマイボトルを利用しプラスチックごみを出さない、食品ロスを減らす」が67%で最多だった。「旬の食べ物や地元産農畜水産物などの食べ物を購入」(40%)する人も多かった。
都農業振興課は「新型コロナウイルスの影響で在宅時間が増え、身の回りの家庭菜園などへの関心や、地元産野菜へのニーズが高まっていると感じている」と話す。
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2020年12月13日
6割コロナ患者対応 経営は依然厳しく 厚生連病院
新型コロナウイルスの感染が再び拡大する中、JA厚生連病院が地域医療で奮闘している。JA全厚連によると、1月~9月末までで全国59の厚生連病院が1072人の新型コロナ入院患者を受け入れた。11月からは連日、重症患者数が最多を更新。全厚連は「受け入れ入院患者数は調査時点より確実に増えているとみられ、職員が懸命に対応している」と訴える。
全国には105の厚生連病院があり、受け入れ実績がある病院は56%に上る。また、……
2020年12月04日

コロナ第3波 年末需要に暗雲 営業縮小で家庭向け拡大焦点
新型コロナウイルス感染拡大の「第3波」襲来で、農畜産物の販売動向は不透明感が強まっている。「GoTo」キャンペーン見直しや都市部で飲食店の営業縮小が広がり、業務用の販売は再び鈍化する気配だ。年末の需要期に向けて、堅調な家庭用で全体を補えるかが焦点となる。
米
米は業務需要の低迷が大きな課題だ……
2020年11月27日

コロナ感染急増の北海道 病院、福祉施設に緊張走る 地域のとりで守れ
11月に入り、新型コロナウイルスの感染拡大が急加速する北海道。地域の医療や福祉を守る最前線を担っているのが、医師や介護士らだ。感染者は札幌市だけでなく、道内の農山村地帯に広がりつつある。事態が緊迫する中、地域のとりでとして感染予防策の強化や病床確保など、懸命な対策を続けている。(洲見菜種、望月悠希)
予防対策、態勢整備急ぐ
道内では12日に1日当たりに報告された新規感染者が過去最多の236人を確認するなど、7日連続で150人を超え、感染拡大に歯止めがかからない。
道内で感染拡大が著しい札幌市のJA道厚生連札幌厚生病院共済クリニック。藤永明所長は「従業員はすさまじい緊張感の中で働いている」と話す。飛沫(ひまつ)感染を防ぐため診察室にパーテーションを設けたり、窓口にビニールシートを付けたりする。診察台や検査器具などは1日2回のアルコール消毒を徹底。従業員の会食制限もする。診療控えで3月以降、外来患者は3割ほど減り経営にも影響が出ている。藤永所長は「病院がパニックになり患者の不安をあおるわけにはいかない。冷静沈着に十分に感染対策をして必要な医療を提供したい」と話す。
札幌市の次に人口が多い旭川市。JA道厚生連旭川厚生病院は地域の他の病院と申し合わせ、重症・中症の患者を受け入れることになっている。同病院は「さらに感染者が増加した場合、軽症者を宿泊療養施設に移動させるなどの受け入れ病院の負担減や、個人防護服の不足に備えた支援が必要」とする。
酪農が盛んな釧路地方の弟子屈町。JA道厚生連特別養護老人ホーム摩周は、町内唯一の特別養護老人ホームとして町内や近隣の高齢者福祉を守っている。道内の別の特別養護老人ホームでクラスター(感染者集団)が発生しており「緊張感は高まっている」(菊地崇施設長)という。
同施設は特養で100人、ショートステイは約10人が利用する。菊地施設長は「認知症の利用者が多く面会や外出の制限などの感染対策が理解されないという苦労もある」と明かす。「3密」を避けたレクリエーションなどで対応するが、ストレスを抱える利用者への対応が課題だという。
農業と漁業が盛んな北見市常呂町で96人が入居するJA道厚生連特別養護老人ホームところは2月から、面会方法を変え、窓越しでの会話と無料通話アプリ「LINE(ライン)」を使った対応を取る。11月に入り、同市内の飲食店でクラスターが発生したが、同町とは距離があり、面会は現行対応を当分維持する方針。同施設は「一人でも職員が感染したり、濃厚接触者になったりして出勤停止になると、通常のサービス提供が難しくなる。その場合は人的支援が必要だ」とする。
JA道厚生連は「冷静に地域医療を守る対策を続けるしかない。厚生連だけでなく、地域の医療が一丸で連携したい」としている。
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2020年11月14日