〈協同労働=ワーカーズコレクティブ〉は日本で40年近い歴史がある
2020年11月30日
〈協同労働=ワーカーズコレクティブ〉は日本で40年近い歴史がある。雇われて働くのではない。仕事を仲間と共に起こし、助け合いながら働く▼仕事の一つに清掃がある。新型コロナウイルス第1波の今春、病院清掃を請け負う千葉県内のワーカーズは重大な岐路に立たされた。続けるか、やめるか。仲間と話し合った末に継続を選ぶ。今やめたら、せっかくつかんだ病院の仕事を失ってしまうという不安、こんな時こそやり続けるべきだという使命感、でも続けるのは怖い…。いろいろな声が出た▼メンバーの中には高齢の人もいれば、引きこもりをしていた若者もいる。普段は無口で頼りない感じの青年が率先して出社し、ドアノブの消毒作業を年配者の分まで行った。そんな彼らが励まされた国家リーダーの言葉がある。日本ではない。感染した英国・ジョンソン首相である▼退院の際のビデオメッセージで、世話になった人に感謝の意を表した。医師や看護師、理学療法士、放射線技師と共に、清掃員や調理員の活動も挙げた。「彼らは出勤し続け、わが身を危険にさらしている。その勇敢さ、責任感、愛があるからこそ、私たちの国民保健サービスは負けなかった」▼労働者協同組合法案の成立が近づく。協同労働の新たな門出である。
おすすめ記事
米国新大統領就任 国際協調への転換急げ
民主主義の土台が揺れる米国で、民主党のバイデン氏が第46代大統領に就任した。トランプ前大統領が残した分断と対立は内外に混乱をもたらした。新大統領は国民の団結と民主主義の信頼回復に全力を挙げ、外交・通商政策で協調路線にかじを切る意向だ。手腕に期待する。
米国は民主主義の危機に直面している。トランプ支持派が連邦議会議事堂に突入し死者も出た。国内の対立は根深い。就任演説でバイデン氏は「全ての国民を団結させることに全霊をささげる」と結束を呼び掛けた。その上で、新型コロナウイルスとそれに伴う経済問題、気候変動、人種格差などの重要課題に取り組む考えを示した。
国民の融和は政策推進の基盤であり、米国の安定は国際社会にとって重要である。「最初の100日」で前政権の政策を転換しながらトランプ支持派の反発を抑えられるかが、その後の政権運営を左右する。
新型コロナ対策に、景気対策も加味し総額1兆9000億ドル(約200兆円)を投入する。途上国を含めた世界的な封じ込めが制圧には必要であり、世界保健機関(WHO)を中心に国際協調が不可欠だ。先頭に立ってもらいたい。地球温暖化対策も急務だ。国際的枠組み「パリ協定」への復帰手続きに入ったが、世界第2の二酸化炭素(CO2)排出国として率先して削減に取り組むべきだ。地球を救うのに残された時間は少ない。
バイデン氏は、前政権の米国第一主義から国際協調路線に切り替える考えを強調した。オバマ元大統領は「核兵器なき世界」を掲げたが、副大統領として支えたバイデン氏には、実現へ指導力を発揮してほしい。
新政権は、中国には厳しい姿勢で臨むとみられる。新型コロナ対策など地球規模の課題では協調し、覇権主義や香港での民主派弾圧などでは同盟国・友好国と連携し、国際秩序に沿うよう粘り強い対応が必要だ。
日本の農業に重要なのは、新政権の通商政策である。日米貿易協定の追加交渉や環太平洋連携協定(TPP)への復帰といった選択肢が考えられるが、不透明だ。与党民主党の支持基盤であるカリフォルニア州は米の産地。米を含め、農畜産物の市場開放圧力への警戒が必要だ。
貿易紛争は世界貿易機関(WTO)での解決が国際ルールである。機能不全に陥っているWTOの再構築が必要だ。まず空席になっている事務局長の選任を急ぎ、米国が妨げてきた紛争処理機能の正常化も必要だ。また自由化一辺倒の貿易ルールを、国連の持続可能な開発目標(SDGs)など時代の要請を踏まえた内容に改善すべきだ。
米国に対して日本政府には、地球規模の課題解決に向けて連携したり、けん引したりして国際社会で存在感を発揮するよう求める。一方、農畜産物の一層の市場開放など無理筋な要求は決然と拒否すべきだ。それが対等な同盟関係といえよう。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月22日

配合飼料高騰 長期化に農家恐々 負担増へ先手置き換え急ぐ 食べ残し削減徹底
トウモロコシや大豆など穀類相場の高騰で、国内で配合飼料の供給価格が上昇しているため、畜産現場に長期的な影響が及ぶ可能性が出てきた。JA全農によると、1~3月期の配合飼料供給価格は昨年10~12月期に比べ、全国全畜種総平均で1トン当たり3900円値上げされている。産地は、年内は高値が続く可能性があるとして、代替飼料の活用など新たな対策を模索し始めた。(関山大樹、中川達己)
北海道中標津町のTMR(完全混合飼料)センター「とうほろDairyCenter」は、配合飼料に大豆やトウモロコシなどを混ぜた混合飼料を作り、地域の酪農家の乳牛約1250頭に供給している。だが、飼料や原料を貯蔵する12個のタンクのうち現在、大豆だけが空の状態だ。
今冬、大豆を取引するメーカーに1トン当たり5000円の値上げを打診された。従来通りに飼料生産をした場合、年間400万円の負担増になる。代替策として、飼料の主要なタンパク源を加熱大豆から、タンパク含有率のやや低い「コーングルテンフィード」に置き換えた。
センターは大豆の他、トウモロコシ、しょうゆかす、配合飼料なども使う。代表の竹村聡さん(57)は「このままだと値上がりでさらに経費が増えるため、タンパク源を替えて早めに対策を打った」と説明する。
芽室町で肉用牛約4000頭を飼養する大野ファームは月700トンほど配合飼料を購入しており、飼料高騰前に比べ、毎月210万円経費がかさんでいる。代表の大野泰裕さん(56)は「配合飼料はすぐ置き換えられるものではないが、長期的に影響が続いた場合を考え、国産で置き換えられるものがあれば少しずつ替えていく」と見据える。
九州でも畜産農家が対応に苦慮する。飼養頭数50~100頭規模の養豚農家が多い宮崎県のJA都城では「豚の餌の食べこぼしを減らすなど、餌を無駄にしないこれまでの対策を継続し、徹底するよう呼び掛ける」(養豚課)としている。
穀類の国際価格の基準となるシカゴ先物相場では20日(米国現地時間)、トウモロコシが1ブッシェル5・22ドル。大豆も1ブッシェル13・70ドル。昨年1月の同相場はトウモロコシが同3ドル台、大豆は同8ドル後半~9ドル台で推移しており、今年は高値が続く。
相場高騰は昨年8月以降、南米や米国など主産地での高温乾燥や暴風雨による生育不良が原因。中国で飼料用の需要が増え、旺盛な輸入が続くことも影響した。
米国農務省が1月12日に発表した需給予測では、今年8月末の大豆の期末在庫は全需要量の3・1%と極めて低い水準に落ち込む見込み。穀類の需給逼迫(ひっぱく)が続けば、国内の配合飼料供給価格が高止まる可能性がある。
一方、1~3月期の配合飼料安定基金の補填(ほてん)額の決定は4月中旬を予定。発動されれば、5月末に支出される。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月22日
マッカーサーは敗戦国の日本人を12歳の少年に例えた
マッカーサーは敗戦国の日本人を12歳の少年に例えた。そして生まれたばかりだから新しい考え方に順応性がある、と議会で証言した。民主主義はその最たるものだろう▼デモクラシーの総本山・米国の満身創痍(そうい)を改めて知らしめた大統領就任式だった。大観衆の祝福に代わって武装州兵による最高レベルの厳戒態勢。死者40万人を超すウイルスとの闘い。何より平和的な政権移譲の象徴となるべき前大統領は不在。トランプ劇場の幕引きに後味の悪さが残った▼超大国を覆う分断の病は激戦の大統領選が原因ではない。選挙は現実の写し絵にすぎない。トランプ氏を熱烈に支持する白人労働者層と、バイデン氏と指名選挙を争ったサンダース氏に結集した若者たちには共通項がある。超格差社会の中で取り残された人たち、希望を失った人たちだ。一方でコロナ禍でも株は活況を呈し、富める者はさらに潤った。政治ゲームの動力源は紛れもなく彼らの失意の現実にある▼「あなたがあなたの国のために何ができるのかを問うてほしい」。ケネディ大統領の就任式から60年。バイデン氏は「今日は米国の日。再生と決意の日」と結束を繰り返した。新しい幕は上がった▼かつての少年も今や老年の域に。順応力は落ちたが老練にこの国と付き合いたい。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月22日
種豚改良に育種価活用 繁殖能力向上へランキング公表 国純会、今春めど
種豚場など国内の豚の育種・改良関係者らでつくる国産純粋種豚改良協議会(国純会)は「種豚の遺伝能力ランキング」を今春にも公表する。生存産子数など繁殖に関する能力の順位で、ランドレース、大ヨークシャー、デュロックが対象。雄は上位10頭、雌は上位50頭の順位の他、将来は産肉能力に関する育種価を示し、国産種豚の改良を促す。
国内の養豚場では、オランダやデンマークから輸入した多産系の種豚が急速に普及。……
2021年01月18日

雪害復旧へ援農隊 イチゴハウスの撤去支援 JA鳥取いなば
昨年12月中旬からの大雪で管内のハウスや農業施設が被災したJA鳥取いなばは19日、鳥取農業改良普及所と協力して倒壊したパイプハウスの撤去など早期復旧に向けた援農隊の派遣を始めた。この日は、JAと普及所の職員の他、市とボランティアの農家など約30人が参加し、鳥取市青谷町でイチゴを栽培する井上智朗さん(38)のパイプハウス2棟の撤去を支援した。……
2021年01月20日
四季の新着記事
コロナ禍で撮影が延びた「麒麟がくる」は2月に渋沢栄一にバトンタッチする
コロナ禍で撮影が延びた「麒麟がくる」は2月に渋沢栄一にバトンタッチする。日本の資本主義の父、3年後に1万円札の顔になる人である▼渋沢と近藤勇、土方歳三はともに武蔵国の出だが真逆の生涯を送った。片や新時代を切り開き、片や新時代に抗した。郵便の生みの親・前島密は渋沢同様、農民から幕臣を経て明治新政府に登用された。歴史の転換点にわだかまりなくキャリアアップできたのは、中途採用組の強みというべきか。山あり谷ありでドラマ化の素材に事欠かない▼前島は新聞の育成や早稲田大学の基盤を固めた人でもある。蘭学を志し江戸に出立する時の母親の励ましがすごい。〈精神一到何事か成らざらん。一旦(いったん)方針を定めて前進せんとす。何ぞ其(その)歩を躊躇(ちゅうちょ)せんや〉。12歳の少年に金がなくとも諦めるな自弁せよと背中を押した。孟母(もうぼ)三遷(さんせん)の比ではない▼郵は元々宿場を指す字。公用文書を騎馬で継ぎ立てると〈駅逓〉、徒歩で継ぎ立れば〈郵逓〉で、飛脚便のことを〈郵便〉と江戸時代の漢学者は呼んだ。それを彼が採用した(『前島密』山口修、吉川弘文館)。郵便創業、今年150年。通信の主役は手紙やはがきからメールに代わった。きょう「電子メールの日」▼伝える方法は変わっても、情報の重要性には変わりがない。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月23日
マッカーサーは敗戦国の日本人を12歳の少年に例えた
マッカーサーは敗戦国の日本人を12歳の少年に例えた。そして生まれたばかりだから新しい考え方に順応性がある、と議会で証言した。民主主義はその最たるものだろう▼デモクラシーの総本山・米国の満身創痍(そうい)を改めて知らしめた大統領就任式だった。大観衆の祝福に代わって武装州兵による最高レベルの厳戒態勢。死者40万人を超すウイルスとの闘い。何より平和的な政権移譲の象徴となるべき前大統領は不在。トランプ劇場の幕引きに後味の悪さが残った▼超大国を覆う分断の病は激戦の大統領選が原因ではない。選挙は現実の写し絵にすぎない。トランプ氏を熱烈に支持する白人労働者層と、バイデン氏と指名選挙を争ったサンダース氏に結集した若者たちには共通項がある。超格差社会の中で取り残された人たち、希望を失った人たちだ。一方でコロナ禍でも株は活況を呈し、富める者はさらに潤った。政治ゲームの動力源は紛れもなく彼らの失意の現実にある▼「あなたがあなたの国のために何ができるのかを問うてほしい」。ケネディ大統領の就任式から60年。バイデン氏は「今日は米国の日。再生と決意の日」と結束を繰り返した。新しい幕は上がった▼かつての少年も今や老年の域に。順応力は落ちたが老練にこの国と付き合いたい。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月22日
営業先で食事どころをぶらりと立ち寄り、食べたいと思ったものを気兼ねなく食べる
営業先で食事どころをぶらりと立ち寄り、食べたいと思ったものを気兼ねなく食べる。その至福の表情がいい▼食通に人気の「孤独のグルメ」(テレビ東京)である。輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎を演じる松重豊さんの食べっぷりと、“独り言”が人気に火を付けた。和洋なんでもあるが、入るのは庶民的な店。9年前に始まったグルメドキュメンタリーは、韓国や台湾など海外でも好評を博す▼放送後は、並ばないと入れなくなるので、「じっくり味わうには、放送前がいい」との知人の紹介で、昨年末、大みそかに放送される直前の店に入った。東京・虎ノ門のビル街の一角に、撮影舞台となった西洋料理「平五郎」はあった。ステーキもおいしいが、福島産を使ったというご飯に、舌鼓を打つ。肉と米。相性の良さの再発見である。五郎さんも高菜の油炒めを載せ、「何杯でもいける」▼こんなにおいしい米の消費が減って、生産者は36万トンもの減産に頭を悩ます。理由はいろいろある。とぐのが面倒だとか、おかずがいるだとか、他に食べるものがあるとか。飢餓に苦しむ人々から見ればぜいたくな悩みだろうが、日本の主食の現実である▼食卓の向こうで水田が荒れる。こんな時こそ、みんなでご飯をもう一杯。きっと農村が救われる。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月21日
めっぽう寒い日が続くと思ったら、春の日差しが注ぐ
めっぽう寒い日が続くと思ったら、春の日差しが注ぐ。いつも季節は移ろう▼きょうは大寒(だいかん)。寒さが一番厳しい時季に入った。今冬は、冬型の気圧配置が続き、日本海側は年明けから大雪に見舞われた。故郷からは、「屋根から下ろした後の処分に困っている」との便りが届く。物理学者の中谷宇吉郎は、「雪は天から送られた手紙」としゃれたが、こうも多いとうんざりだろう。雪国に住む人々には、晴天続きの太平洋側がうらめしい時季でもある▼それでも、春への序章は始まっている。「三寒四温」。7日の周期で寒暖を繰り返し、春の気配が漂うようになる。大寒の初候は、「款冬華」。〈ふきのはなさく〉と読む。いてついた地面に、フキのとうが出始める頃を表した。まだしばらく寒さは続くが、地の下では春への支度が着々と進んでいる▼先日、近くの公園を歩いていたら、ロウバイが透き通るような黄色い花をつけていた。かれんである。中国が原産であることから唐梅(からうめ)ともいう。玉梅、スイセン、サザンカと合わせ、雪中四友(せっちゅうしゆう)と呼ばれ、文人画に好んで描かれた。〈素通りのできぬ蝋梅(ろうばい)一樹あり〉青木陽子▼受験シーズンが佳境に入った。コロナに負けず、乗り切ってほしい。みんなに、「サクラサク」の知らせが届きますように。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月20日
江戸時代の俳諧師井原西鶴が残した言葉に、「人間は欲に手足のついたるものぞかし」がある
江戸時代の俳諧師井原西鶴が残した言葉に、「人間は欲に手足のついたるものぞかし」がある▼人間誰にでも欲望があり、その欲望を満たしたい誘惑に駆られる。そんな人間の「さが」を表した。無理難題でも、大金を積まれれば、心を動かさない人はそういない。〈地獄の沙汰も金次第〉という格言まで残っている。きれい事だけの世の中ではなかろうが、閻魔(えんま)様の裁きも金次第では正義が廃る▼民主政治の健全な発達が害されてはならない。そんな目的で、戦後、政治腐敗を懸念したGHQ主導で、政治資金規正法が作られた。そして、不祥事のたびに規制が強化された。まるでいたちごっこだが、またぞろ「政治とカネ」が絡む疑惑である▼安倍前政権下で農相を務めた吉川貴盛氏が、収賄罪で東京地検に在宅起訴された。在任中に、大手鶏卵業者「アキタフーズ」前代表から、現金500万円を受け取ったとされる。前代表は、家畜のストレスを減らす国際基準案が国内業者に不利にならないように働き掛けた、という。大臣室を現ナマの受け渡しに使うとは、言語道断。まさか、農林行政がゆがめられたとは思いたくないが、国会での究明が必要だろう▼新型コロナ禍でも、必死に食料を供給する農業者が見詰める。自民党は、襟を正すしかない。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月19日
〈百日の説法屁(へ)一つ〉
〈百日の説法屁(へ)一つ〉。菅首相が昨年12月14日の夜、8人で会食したとの報に接し頭に浮かんだことわざである▼100日にわたり仏の教えを説いた坊さんがうっかりおならをしたことで、ありがたみが台無しになったという話。長い間の努力もわずかな失敗で無駄になることの例えである▼首相はこの日「GoToトラベル」の全国一斉停止を発表した。遅きに失したとはいえ、コロナ感染防止優先へとかじを切る姿勢を示したように見えた。その直後の会食。政府が「原則4人以下で」と呼び掛けているのを尻目に、である▼今、国会議員の会食が問われている。首相が批判された後も大人数でのそれが相次いで発覚。各党は飲食を伴う会合の自粛などを呼び掛けている。きょう召集の国会に政府は、コロナ特措法などの改正案を提出する。時短営業の要請に応じない事業者などへの罰則を設けるという。〈身をもって範を示す〉。松下幸之助の言葉である。「(そういう)気概のない指導者には、人びとは決して心からは従わない」(『松下幸之助一日一話』)▼感染対策に強制力を持たせる決定を国会が下すのであれば、自らを厳しく律していると分かる形で示すことが肝要である。そうでなければ立法府への国民の信頼が揺らぎ、法案への支持は得られまい。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月18日

日の出パッションフルーツプリン 東京都日の出町
東京都日の出町の温泉施設「生涯青春の湯つるつる温泉」が製造・販売する。町内の野口農園が栽培したパッションフルーツと福嶋牧場の搾りたての牛乳を使った新商品だ。
濃厚な牛乳にジャム状にしたパッションフルーツを練り込んだ。
プリンは柔らかく滑らかな口溶けで、パッションフルーツのソースに入っている果実の種が食感にアクセントを加える。お年寄りから子どもまで楽しめる甘酸っぱくてトロピカルな味わいだ。
同温泉の職員が開発し、週末に売店で販売。「地元の農産物を使った商品開発を展開し、来場客に地場産品をPRしていきたい」と意気込む。
1個200円。問い合わせは「生涯青春の湯つるつる温泉」、(電)042(597)1126。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月18日
焼け焦げたがれき、白い花束、線香のにおい、手を合わせる人
焼け焦げたがれき、白い花束、線香のにおい、手を合わせる人▼1995年1月17日未明に発生した阪神・淡路大震災の記憶である。大火災に襲われた神戸市長田区を取材した。あれから26年。町並みは復興しても災害は続いていることを『希望を握りしめて 阪神淡路大震災から25年を語りあう』で知る。高齢化する復興住宅と孤独死、心身に障害を負った「震災障害者」とその家族の苦しみ…▼編者の牧秀一さんは「よろず相談室」を立ち上げ、被災者を訪問し、生活支援を続けてきた。本書はその活動の記録と被災者の人生の証言集。「ひとときでも話し相手になることは、『置き去りにされていない』と実感できる時間になる。少しでも気持ちが晴れれば、少しずつ前を向けるようになる。そう信じてやってきた」。遠くにいても手紙を書くことがつながり続ける支援になるという▼東日本大震災をはじめその後も震災は相次ぎ、気象災害は頻発。コロナのような疫病は世界同時災害をもたらす。一方でボランティアや寄付、クラウドファンディング、ふるさと納税、応援消費など支援の仕方は多様化し、ネットの普及でつながり方も広がった▼誰もが被災者になり、誰もが支え手になれる時代。大切なのは「お互いさま」の精神と「忘れない」との思いだろう。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月17日
1991年1月17日、米国主導の多国籍軍がイラクを空爆し、湾岸戦争が始まった
1991年1月17日、米国主導の多国籍軍がイラクを空爆し、湾岸戦争が始まった▼イラクによるクウェート侵略が原因。フセイン大統領は、米国は介入しないと判断していたとされる。イラクは敗北し、米国の「テロとの戦い」でフセイン政権は崩壊した。指導者の判断ミスは国を危うくする▼38年1月16日は日本にとってそうした日である。日中戦争の最中、近衛文麿首相は「国民政府を対手(あいて)とせず」と声明。「和平なんてしないというもので(略)泥沼化」(半藤一利著『昭和史1926―1945』)。日本はその後、三国同盟の締結、南部仏印進駐と対米戦争への道を進む。時の首相も近衛で、石油の全面禁輸など米国の報復に驚いたという▼政治学者の猪木正道さんは『日本の運命を変えた七つの決断』で、太平洋戦争の開戦では「東条よりは近衛の責任の方がはるかに重い」と断罪。「与えられた状況のもとにおいては、最も有利な、最も危険のない道を選ぶのが政治家としての使命」と指摘する。日本のコロナ初感染者の発表から1年。爆発的感染拡大に近い地域が増え、入院に優先順位を付けなければならない事態も生じている。政治家の使命に照らし菅首相の責任はいかほどか▼前出の半藤さんが亡くなった。著作から史実の見方を学んだ。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月16日
「全米が泣いた」をうたい文句にした映画「大コメ騒動」が封切られた
「全米が泣いた」をうたい文句にした映画「大コメ騒動」が封切られた▼映画は、大正7(1918)年、富山県で起きた米騒動の史実による。主人公は、米を船に積み込む漁村の「おかか」たち。シベリア出兵を控え、米の価格が高騰する。家族と暮らしを守るため、米問屋に直談判、ついには米の積み出しを阻止しようと体を張って実力行使し、価格引き下げを勝ち取る。「女米一揆」は新聞で取り上げられ、各地の運動に火をつけていく▼働く女性による民主化運動の嚆矢(こうし)だろう。映画でリーダー役のおばばが言い放つ。「理想や主張で腹いっぱいになるんがやったら、誰も苦労せんわ」。資産家や警察の脅しに一歩も引かない。「負けんまい」「やらんまいけ」。命懸けの決起が、社会を動かしていく▼主演の井上真央さんが、公開イベントで語っている。「名の無い人たちの頑張ろうとする力が(社会を)大きく変えていくのだろうなと思う。この時代に勇気を与えられるような作品になっていると思います」。コロナ禍に豪雪被害。井上さんは、大変な時だからこそ、映画や娯楽が「一筋の光」になればと願う▼時は移り、世は空前の米余り。値崩れの危機を前に政府の腰は重い。「令和の米騒動」で、「全米作農家が泣いた」とならぬよう祈る。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月15日