作詞家の岡本おさみさんは、旅の詩人だった
2020年12月01日
作詞家の岡本おさみさんは、旅の詩人だった。吉田拓郎さんとのコンビで「旅の宿」「襟裳岬」などのヒット曲を手掛けた▼享年73。昨日が忌日でもう5年がたつ。彼が作詞し、拓郎さんが歌った「空に満月、旅心」に、仲間と旅の相談をする場面がある。「旅に出ようと誰か言う 紅葉、それとも雪見酒 桜はどうかと、まとまらず いつかめぐるは酒の旅」。どこに行こうか、何を食べようか。あれこれ思案しながら、旅に思いをはせる時間が楽しい▼コロナ第3波が、そんな浮き立つ旅心を奪っていく。首相肝いりのGoToトラベルやイートに急ブレーキがかかった。遅過ぎるという怒り、やむを得ないの嘆息、観光や飲食業界からの悲鳴。さまざまな声が入り交じる。市民に不要不急の外出自粛を呼び掛けながら、観光客を呼び込むというのは、いかにもちぐはぐだ。罪作りなウイルスである▼名曲「旅の宿」の誕生秘話を以前2人が語っている。ある日、岡本さんから電話がかかってきた。「いい詩があるから書き留めてくれ」。〈浴衣の君はススキのかんざし…〉。最初の歌詞を聞いただけで、「これはすごい」と拓郎さん。思わず体が震えたという▼旅を友とした岡本さんなら、コロナの時代のいま、どんな歌詞を紡いだだろうか。
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人材集まれ地域で独自策 北海道40JAが着手 北農5連協事業
新型コロナウイルス禍で外国人技能実習生が来日できないことによる人手不足に対応し、北海道の約40のJAなどが地域の課題に応じて自ら発案した人材確保策に着手した。JAグループ北海道の連合会でつくる協議会が、今年度から始めた助成事業を活用。新規就農者の育成、雇用環境や労務管理の向上、農福連携や、農業の魅力PRといった幅広い取り組みが広がっている。(望月悠希)
雇用環境の整備や関係人口創出
JA北海道中央会やホクレンなどで組織する「北農5連JA営農サポート協議会」が、新型コロナウイルス感染症に係る農業人材確保特別対策事業として実施。今年度からJAや農協連を対象に、人材確保を目指すメニューにかかる費用の5割以内または3割以内を補助する。
中央会によると昨年、農業分野で技能実習生や特定技能の外国人375人が、コロナ禍で入国ができなかったり、遅れたりして人手不足が深刻化した。
そこで、主に①障害者や移住者ら多彩な新たな人材の活躍②求人サイトなど新たな募集③空き家の利活用などによる宿泊施設の整備など人材の定着化④労務管理向上⑤産地間連携⑥農作業支援──などを支援することにした。
新規就農者の宿泊施設確保や、関係人口創出につながる農作業体験、求人広告や産地間連携など各JAが独自に対策を展開。外国人技能実習生の入国が遅れたことによる掛かり増し経費なども助成した。即効性ある対策から、中長期的な視点での新規就農者育成までJAの自由な発案に対して補助し、助成額は総額8400万円(計画ベース)となった。
JAきたそらちは、道外の移住者や地域の若者らを呼び込むため、法人就農による人材確保に向けて農家の法人化を推進。事業を活用して今年度から毎月1回税理士を招き、無料の相談会を開く。法人化を目指す組合員から「専門家の意見を聞ける」と好評だ。
JA北オホーツクは農業後継者を確保するため、新規就農者の研修を行うJA出資型法人を立ち上げた。事業を新規就農者や従業員の居住施設の建設に活用。JAは「中長期的な視野で新規就農者を受け入れ、地域の後継者対策につなげたい」と話す。
JA今金町は、約40人のパート従業員らが働くジャガイモの共選施設の労働環境を整備。施設ではトイレが和式で、高齢の従業員には足腰の負担も大きかった。事業を活用し、簡易水洗の洋式に整備。今後は人材派遣なども活用し、人手確保に力を入れたい考えだ。
この他のJAでは、入国できなかった外国人技能実習生の入国前講習の費用や、空港での待機に対する宿泊や移動の補助など、実習生受け入れについて支援するケースもあった。
JA北海道中央会の小野寺俊幸会長は「JAによる技能実習生らの代替人材の確保、人材定着に向けたさまざまな環境整備など、国の事業では対応しきれない多様な取り組みを促すことにつながった」と話す。
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2021年01月25日
全国展開前提でない 企業農地取得 特例調査で農相
野上浩太郎農相は19日の閣議後記者会見で、国家戦略特区の兵庫県養父市で認めている企業による農地取得の特例を巡り、2021年度中に全国で実施する特例のニーズや問題点に関する調査は「全国展開を前提にするものではない」との認識を示した。養父市での期限延長については「今後も複数の企業が活用する可能性がある」として、容認する考えを示した。……
2021年01月20日
直売所ライブ配信第2期 オンライン販売前面 JCAが31日から
日本協同組合連携機構(JCA)は21日、各地の直売所をライブ配信でPRする「食育ソムリエバーチャルまるしぇ」の第2期を31日から始めると発表した。今期は、視聴者が農産物を購入できるオンライン販売や商品取り寄せを前面にPR。新型コロナ禍で外出が限られる中、消費者とオンラインでつながり強化を図る。3月まで7カ所のJA直売所を予定する。……
2021年01月22日

消費者物価 生鮮野菜8・8%下落 1年10カ月ぶり低水準
総務省が22日発表した2020年12月の全国消費者物価指数(15年=100)によると、食料品は前年同月比で0・8%下落し、指数は104・3だった。2カ月連続の下落。好天続きで生育が良好だったことで、生鮮野菜が値下がりした。米も下落が続いた
生鮮野菜は8・8%下落と、19年2月以来1年10カ月ぶりの低水準。……
2021年01月23日

きょうJA全国女性大会 全中・中家会長に聞く 主体的に運営参画を
JA全国女性組織協議会は20日、第66回JA全国女性大会を開く。JA全中の中家徹会長に、新型コロナウイルス下での活動へのエールやJAの運営参画への期待を聞いた。
──コロナが活動に影響をもたらしています。
今はさまざまな組織活動に支障を来している。女性組織も思うように活動ができていないと思うが、ウィズコロナ時代の活動指針を昨年9月に示し、できることからやろうと積極的な取り組みをしている。インターネット交流サイト(SNS)を使った話し合いなど、対策を講じて活動してほしい。
組織の基盤である部員の減少に歯止めがかからない。コロナ下でも萎縮せず、女性組織が頑張っていることを外に発信し、対外的なイメージ向上につなげてほしい。
──第5次男女共同参画基本計画が2021年度から始まります。JA運営に女性参画を進める意義は何ですか。
私は女性に見捨てられたJAに未来はないと、言い続けてきている。JAグループは正組合員、総代、理事などで女性割合の目標を掲げているが、目的はいかに女性の声をJA運営に反映させていくかだ。女性ならではの視点、感性、考え方を取り入れていくことで、JAの活性化につながっていく。
──どのように女性参画を進めますか。
大きいのはトップの意識だ。女性組織は、工夫し活動していることをメディアや、JAの広報誌を活用しPRしてほしい。女性組織の活躍を知れば、トップの認識もおのずと変わっていく。
役員も最初は女性枠を設ければいい。全く何もないところから、組織代表に出るのは難しい。女性役員の活躍が浸透すれば、自然と女性参画が進む好循環が生まれるはずだ。
──女性に求めることは何ですか。
地元JAで女性参画を進め、和歌山県でも相当進んできた。トップの意識が変わり、環境もできてきた。次に大事なのは女性の意識変革だ。役を断る人がいるが、経験者に感想を聞くと、100人のうち99人はやってよかったと言う。人脈ができ、いろいろな経験ができるからだ。
女性組織には絶大なる期待をしている。女性が元気なところは、JAも地域も元気。ぜひ頑張ってほしいし、遠慮せず主体的に参画してほしい。(聞き手・柳沼志帆)
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2021年01月20日
四季の新着記事
「飄風不終朝(ひょうふうはちょうをおえず) 驟雨不終日(しゅううはひをおえず)」
「飄風不終朝(ひょうふうはちょうをおえず) 驟雨不終日(しゅううはひをおえず)」。〈強い風は一晩中は吹かず にわか雨は一日中は続かない〉。老子の言葉は、苦境にある人を慰める▼きょう命日の小説家藤沢周平さんが、生前、友人への色紙に書いた。自身波乱の人生だった。肺結核で中学校教諭を2年で辞め、「私の長い不運な歳月のそれがはじまりだった」と『半生の記』に書いている。闘病後、業界紙を転々。先妻を失い、生後8カ月の娘との生活が残された。習作の時を経て、「溟(くら)い海」で作家デビューした。苦節は20年に及ぶ▼農業の近代化を気に掛けていた。日本加工食品新聞で担当したコラム『甘味辛味』に、こんな一節がある。「恐らく農業ほど、化学薬品の恩恵を大きく受けたものは他にないだろう。米に限らず畑作物もそうである。ただし、田圃(たんぼ)の地味がやせ、畑作物も昔の旨味(うまみ)はない」。この味覚に、スマート農業はどう応えるか▼今冬、日本海側は思わぬ大雪となった。地球温暖化でも、降る時はどか雪になるから、油断できない。重い上に、久しぶりの除雪作業に感覚が狂って思わぬことでけがをする。ハウスや樹枝の除雪には、細心の注意が欠かせない▼新型コロナと大雪との二重苦である。いくら多い雪でも、必ず春には消える。さしずめ“豪雪不終年”ということか。
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2021年01月26日
ウイルスとの闘い、最後はワクチン頼みに
ウイルスとの闘い、最後はワクチン頼みに。日本は2月下旬までの接種開始を目指している▼菅首相は担当大臣に河野太郎行革相を充てた。その手腕が国民の命と政権の命運を握る。接種計画のあらましが分かってきた。使うワクチンは零下75度での保管が普及の壁になる。そこで全国各地の拠点医療機関に超低温冷蔵庫を配備、ここを起点に周辺の病院や公共施設などに冷蔵で運ぶ▼今も兆候があるが、メディアの露出が一気に爆発し、「ワクチン祭り」と化すのが目に見えている。〈希望の光〉には最高権力者の伴走が通例である。最初に接種を始めた英国ではジョンソン首相が「史上最大」の接種計画をぶち上げ、バイデン米大統領は「就任100日1億回分」を公約した。寡黙な菅首相も雄弁になるか▼先行する諸外国では医療現場の人手不足、手続きの煩雑さから接種に遅れが出ている。役所仕事へのイライラは10万円給付で経験済みだが、命に関わるとあってはその比ではあるまい。緊急事態宣言は2月7日まで。解除は難しいとの見方が専門家に多い。東京五輪の開催も危ぶまれ、その上ワクチン接種に遅れが出るようなら、収束の切り札は政権への〈やいば〉になりかねない▼政治と金の新たな問題も浮上。こちらに効くワクチンはない。
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2021年01月25日
昔の日本人が知っていて、今の人が知らないものに樹木の名前がある
昔の日本人が知っていて、今の人が知らないものに樹木の名前がある。筆者も全く自信がない▼アカマツ、クロマツの違いは樹皮の色。アオキは幹も枝も葉も緑色なのでこの名が付いた。古代日本語では青と緑の区別がない。青葉、青梅、青菜、青田。冬木立が美しいケヤキは抜きんでているという意味の「けやけし」に由来する。ミズナラは長期の使用に耐え、ウイスキーだるに重宝される。以上『樹木の名前』(山と渓谷社)に教えていただく。森林が国土の3分の2を占める国の人と木との関わりが面白い▼20世紀最後の年、自民党は来る貿易交渉に備え米国に代表団を送った。時は新緑の5月。代表の故江藤隆美氏は車窓から見たワシントン市内の街路樹にいたく感心した。官僚たちに樹木の名前を聞くが誰も答えられない。「君たち、東大法学部を出て木の名前一つ知らんのか」。ご本人から聞いた話である▼岩手県の森林組合の方にこの話をすると「木の名前を忘れたのは、まきが暮らしから消えたから」と。簡単に割れる材、堅い材、昔はまき割りで木の種類を覚えたという▼頑丈で粘りが強いアオダモは野球バットに適している。折れたバットを箸などに再利用し、その収益金で植林する活動に野球界が協力する。山に元気の風が吹く。
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2021年01月24日
コロナ禍で撮影が延びた「麒麟がくる」は2月に渋沢栄一にバトンタッチする
コロナ禍で撮影が延びた「麒麟がくる」は2月に渋沢栄一にバトンタッチする。日本の資本主義の父、3年後に1万円札の顔になる人である▼渋沢と近藤勇、土方歳三はともに武蔵国の出だが真逆の生涯を送った。片や新時代を切り開き、片や新時代に抗した。郵便の生みの親・前島密は渋沢同様、農民から幕臣を経て明治新政府に登用された。歴史の転換点にわだかまりなくキャリアアップできたのは、中途採用組の強みというべきか。山あり谷ありでドラマ化の素材に事欠かない▼前島は新聞の育成や早稲田大学の基盤を固めた人でもある。蘭学を志し江戸に出立する時の母親の励ましがすごい。〈精神一到何事か成らざらん。一旦(いったん)方針を定めて前進せんとす。何ぞ其(その)歩を躊躇(ちゅうちょ)せんや〉。12歳の少年に金がなくとも諦めるな自弁せよと背中を押した。孟母(もうぼ)三遷(さんせん)の比ではない▼郵は元々宿場を指す字。公用文書を騎馬で継ぎ立てると〈駅逓〉、徒歩で継ぎ立れば〈郵逓〉で、飛脚便のことを〈郵便〉と江戸時代の漢学者は呼んだ。それを彼が採用した(『前島密』山口修、吉川弘文館)。郵便創業、今年150年。通信の主役は手紙やはがきからメールに代わった。きょう「電子メールの日」▼伝える方法は変わっても、情報の重要性には変わりがない。
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2021年01月23日
マッカーサーは敗戦国の日本人を12歳の少年に例えた
マッカーサーは敗戦国の日本人を12歳の少年に例えた。そして生まれたばかりだから新しい考え方に順応性がある、と議会で証言した。民主主義はその最たるものだろう▼デモクラシーの総本山・米国の満身創痍(そうい)を改めて知らしめた大統領就任式だった。大観衆の祝福に代わって武装州兵による最高レベルの厳戒態勢。死者40万人を超すウイルスとの闘い。何より平和的な政権移譲の象徴となるべき前大統領は不在。トランプ劇場の幕引きに後味の悪さが残った▼超大国を覆う分断の病は激戦の大統領選が原因ではない。選挙は現実の写し絵にすぎない。トランプ氏を熱烈に支持する白人労働者層と、バイデン氏と指名選挙を争ったサンダース氏に結集した若者たちには共通項がある。超格差社会の中で取り残された人たち、希望を失った人たちだ。一方でコロナ禍でも株は活況を呈し、富める者はさらに潤った。政治ゲームの動力源は紛れもなく彼らの失意の現実にある▼「あなたがあなたの国のために何ができるのかを問うてほしい」。ケネディ大統領の就任式から60年。バイデン氏は「今日は米国の日。再生と決意の日」と結束を繰り返した。新しい幕は上がった▼かつての少年も今や老年の域に。順応力は落ちたが老練にこの国と付き合いたい。
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2021年01月22日
営業先で食事どころをぶらりと立ち寄り、食べたいと思ったものを気兼ねなく食べる
営業先で食事どころをぶらりと立ち寄り、食べたいと思ったものを気兼ねなく食べる。その至福の表情がいい▼食通に人気の「孤独のグルメ」(テレビ東京)である。輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎を演じる松重豊さんの食べっぷりと、“独り言”が人気に火を付けた。和洋なんでもあるが、入るのは庶民的な店。9年前に始まったグルメドキュメンタリーは、韓国や台湾など海外でも好評を博す▼放送後は、並ばないと入れなくなるので、「じっくり味わうには、放送前がいい」との知人の紹介で、昨年末、大みそかに放送される直前の店に入った。東京・虎ノ門のビル街の一角に、撮影舞台となった西洋料理「平五郎」はあった。ステーキもおいしいが、福島産を使ったというご飯に、舌鼓を打つ。肉と米。相性の良さの再発見である。五郎さんも高菜の油炒めを載せ、「何杯でもいける」▼こんなにおいしい米の消費が減って、生産者は36万トンもの減産に頭を悩ます。理由はいろいろある。とぐのが面倒だとか、おかずがいるだとか、他に食べるものがあるとか。飢餓に苦しむ人々から見ればぜいたくな悩みだろうが、日本の主食の現実である▼食卓の向こうで水田が荒れる。こんな時こそ、みんなでご飯をもう一杯。きっと農村が救われる。
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2021年01月21日
めっぽう寒い日が続くと思ったら、春の日差しが注ぐ
めっぽう寒い日が続くと思ったら、春の日差しが注ぐ。いつも季節は移ろう▼きょうは大寒(だいかん)。寒さが一番厳しい時季に入った。今冬は、冬型の気圧配置が続き、日本海側は年明けから大雪に見舞われた。故郷からは、「屋根から下ろした後の処分に困っている」との便りが届く。物理学者の中谷宇吉郎は、「雪は天から送られた手紙」としゃれたが、こうも多いとうんざりだろう。雪国に住む人々には、晴天続きの太平洋側がうらめしい時季でもある▼それでも、春への序章は始まっている。「三寒四温」。7日の周期で寒暖を繰り返し、春の気配が漂うようになる。大寒の初候は、「款冬華」。〈ふきのはなさく〉と読む。いてついた地面に、フキのとうが出始める頃を表した。まだしばらく寒さは続くが、地の下では春への支度が着々と進んでいる▼先日、近くの公園を歩いていたら、ロウバイが透き通るような黄色い花をつけていた。かれんである。中国が原産であることから唐梅(からうめ)ともいう。玉梅、スイセン、サザンカと合わせ、雪中四友(せっちゅうしゆう)と呼ばれ、文人画に好んで描かれた。〈素通りのできぬ蝋梅(ろうばい)一樹あり〉青木陽子▼受験シーズンが佳境に入った。コロナに負けず、乗り切ってほしい。みんなに、「サクラサク」の知らせが届きますように。
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2021年01月20日
江戸時代の俳諧師井原西鶴が残した言葉に、「人間は欲に手足のついたるものぞかし」がある
江戸時代の俳諧師井原西鶴が残した言葉に、「人間は欲に手足のついたるものぞかし」がある▼人間誰にでも欲望があり、その欲望を満たしたい誘惑に駆られる。そんな人間の「さが」を表した。無理難題でも、大金を積まれれば、心を動かさない人はそういない。〈地獄の沙汰も金次第〉という格言まで残っている。きれい事だけの世の中ではなかろうが、閻魔(えんま)様の裁きも金次第では正義が廃る▼民主政治の健全な発達が害されてはならない。そんな目的で、戦後、政治腐敗を懸念したGHQ主導で、政治資金規正法が作られた。そして、不祥事のたびに規制が強化された。まるでいたちごっこだが、またぞろ「政治とカネ」が絡む疑惑である▼安倍前政権下で農相を務めた吉川貴盛氏が、収賄罪で東京地検に在宅起訴された。在任中に、大手鶏卵業者「アキタフーズ」前代表から、現金500万円を受け取ったとされる。前代表は、家畜のストレスを減らす国際基準案が国内業者に不利にならないように働き掛けた、という。大臣室を現ナマの受け渡しに使うとは、言語道断。まさか、農林行政がゆがめられたとは思いたくないが、国会での究明が必要だろう▼新型コロナ禍でも、必死に食料を供給する農業者が見詰める。自民党は、襟を正すしかない。
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2021年01月19日
〈百日の説法屁(へ)一つ〉
〈百日の説法屁(へ)一つ〉。菅首相が昨年12月14日の夜、8人で会食したとの報に接し頭に浮かんだことわざである▼100日にわたり仏の教えを説いた坊さんがうっかりおならをしたことで、ありがたみが台無しになったという話。長い間の努力もわずかな失敗で無駄になることの例えである▼首相はこの日「GoToトラベル」の全国一斉停止を発表した。遅きに失したとはいえ、コロナ感染防止優先へとかじを切る姿勢を示したように見えた。その直後の会食。政府が「原則4人以下で」と呼び掛けているのを尻目に、である▼今、国会議員の会食が問われている。首相が批判された後も大人数でのそれが相次いで発覚。各党は飲食を伴う会合の自粛などを呼び掛けている。きょう召集の国会に政府は、コロナ特措法などの改正案を提出する。時短営業の要請に応じない事業者などへの罰則を設けるという。〈身をもって範を示す〉。松下幸之助の言葉である。「(そういう)気概のない指導者には、人びとは決して心からは従わない」(『松下幸之助一日一話』)▼感染対策に強制力を持たせる決定を国会が下すのであれば、自らを厳しく律していると分かる形で示すことが肝要である。そうでなければ立法府への国民の信頼が揺らぎ、法案への支持は得られまい。
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2021年01月18日

日の出パッションフルーツプリン 東京都日の出町
東京都日の出町の温泉施設「生涯青春の湯つるつる温泉」が製造・販売する。町内の野口農園が栽培したパッションフルーツと福嶋牧場の搾りたての牛乳を使った新商品だ。
濃厚な牛乳にジャム状にしたパッションフルーツを練り込んだ。
プリンは柔らかく滑らかな口溶けで、パッションフルーツのソースに入っている果実の種が食感にアクセントを加える。お年寄りから子どもまで楽しめる甘酸っぱくてトロピカルな味わいだ。
同温泉の職員が開発し、週末に売店で販売。「地元の農産物を使った商品開発を展開し、来場客に地場産品をPRしていきたい」と意気込む。
1個200円。問い合わせは「生涯青春の湯つるつる温泉」、(電)042(597)1126。
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2021年01月18日