農福連携の米作り ドローン着目 直播で省力、障害者の作業に幅 群馬県沼田市
2021年01月19日
群馬県沼田市で農福連携を進める稲姫ファームと、障害者の就労支援や生活訓練などに取り組む多機能型事業所coco―kara(ココカラ)が、ドローン(小型無人飛行機)を使った米作りを試験的に始める。1ヘクタールほどの水田で「コシヒカリ」の鉄コーティング種子を直播(ちょくは)する他、除草剤の散布などに使う予定だ。……
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[未来人材] 23歳。シュンギク周年栽培 10アール収部会平均の2倍 夢だった専作を実現 福岡市 福田篤さん
福岡市のシュンギク農家、福田篤さん(23)は、地域で難しいとされていた周年栽培で「シュンギク一本で食べていく」という夢を実現した。約30人が所属するJA福岡市春菊部会西支部で、最年少ながら部会平均の10アール当たり収量の約2倍を達成。JAも期待する若手農家として、部会を引っ張る。
兼業農家だった祖父を手伝う中で、農業が好きになった。12歳の時に祖父が亡くなったが、会社勤めの両親は農地を継がなかった。「それなら俺が引き継ぐ」と決意。20歳でハウスを継ぎ、小松菜とシュンギクの栽培を始めた。
シュンギクは高温や病害虫に弱いため、近隣では冬場に育てて、夏場は小松菜や水菜を育てる。福田さんもそれに倣って始めたが、経験不足で収量が安定せず、1年目で「やめようと思った」という。
迷いが生じた時、シュンギク農家の浜地和久さん(70)に出会った。周年出荷で部会首位の収量を維持し、休暇も確保してシュンギク一本で稼ぐ浜地さんに、衝撃を受けた。自分もシュンギク一本でやる――。浜地さんに師事しながら誰よりも必死に勉強し、就農2年目にはシュンギクに一本化した。
夏場の収穫は「ひと手間」が大きく左右する。部会では米ぬかを土壌にまいて被覆消毒をするが、一輪車などに載せてまくことが多く、場所によってばらつく。
福田さんはいったん小分けにした米ぬか袋を5メートル間隔に置き、隅々まで均一に散布することで、夏の収穫量を安定させている。かん水の間隔も、根が効率よく吸水する浸透基準を基にする。「忙しいからと手を抜いたり、作業を後回しにしたりすると、夏場は一瞬で駄目になる」という。
周年栽培は徐々に安定し、就農当初の迷いもなくなった。20年には部会の10アール平均収量が3・5トンの中、同6トンを達成した。JA西グリーンセンターの井浦健士郎さんは「部会約50人の中で、夏場に安定出荷をする会員は1割程度だ。技術力が高い」と感嘆する。
近隣農家が諦めた周年出荷を実現したことで「親も見直しているのではないか」と福田さんは誇らしげだ。
農のひととき
福岡のシュンギクは生でサラダがお勧め。妻は市外出身で、初めて生で食べて感動した。昨年生まれた子どもも、離乳食としておいしそうに食べている。
農業は仕事とプライベートの時間を調整できる点が魅力。就農当初は休みを取れなかったが、今は週休2日を確保。家族と過ごす時間を大切にしている。仕事のやる気にもつながる。
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2021年03月07日
大地には異形で巨大な菌類の森が広がり、昆虫に似た大きな生物たちが生息する
大地には異形で巨大な菌類の森が広がり、昆虫に似た大きな生物たちが生息する▼宮崎駿さんの漫画版『風の谷のナウシカ』(徳間書店)は、大地から富を奪い、生命体も意のままに作り変える巨大産業文明が行き着いた世界を描いた。毒気を発する菌を避けるため、人類はマスクが手放せない。それでも、愚かな戦いを続ける。地球の未来図でもあるか▼そんな不毛の地をも連想させる映像である。米国NASAが、探査機が送ってきた火星の映像を公開した。「赤い地表」から巻き上がる砂ぼこり、風のような「音」が荒涼感を醸し出す。直径が地球の2分の1で、地球の外側の軌道で太陽を回る。以前から生き物がいたのではないかと、臆測を呼んできた。果たして生物の痕跡は見つかるのか。期待と不安が混じる▼気になるのは温暖化にむしばまれる地球である。国連機関が新たにまとめた報告書によると、世界の平均気温は2100年までに産業革命前に比べ3度上昇し、「パリ協定」が目指す水準を上回る。2度以上上がれば、ミツバチによる授粉ができなくなるとされる。グテレス国連事務総長は、「危険信号だ」と警告を発した▼このままマスクが手放せない惑星になったらどうしよう。緑豊かな地球へのいとおしさがいよいよ募る。
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2021年03月04日

熟成黒にんにく 青森・JA十和田おいらせ
特許製法による低臭加工を施した、青森県のJA十和田おいらせのブランド「低臭プレミアムにんにく」を使っている。
JAは国内最大級のニンニク産地。健康な土づくりにこだわり、土壌診断に基づく「土の栄養バランス」を整えた畑で栽培している。粒の最深部まで熱を取り込む製法で約1カ月間熟成させた後、さらに20~30日間追熟させて仕上げる。
粒の大きさも厳選。まろやかな味わいで食べやすく、高い栄養価も期待できる。1袋(100グラム)500円という「ワンコイン」の手軽さも売りだ。
JAファーマーズ・マーケット「かだぁ~れ」で販売している。問い合わせは「かだぁ~れ」、(電)0176(51)4020。
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2021年03月03日
イチゴの消費喚起 食育団体 産地・飲食店、双方PR
食育活動を推進する青果物健康推進協会は新型コロナウイルス下で販促活動が制限されるイチゴ産地に代わり、人気飲食店とのマッチングを進める。メニュー開発を通じてイチゴの消費を喚起し、厳しい局面に立つ産地と飲食店双方のPRにつなげる。
農水省の「国産農林水産物等販路多様化緊急対策事業」を活用する。……
2021年03月04日
有機農業 50年に100万ヘクタール 新戦略中間案 環境負荷軽減へ 農水省
農水省は5日、環境負荷の軽減と農業生産力向上の両立を目指す中長期的な政策方針「みどりの食料システム戦略」の中間取りまとめ案を公表した。2050年までに①化学農薬の使用量半減②化学肥料の使用量3割減③有機農業を全農地の25%に拡大──といった意欲的な数値目標を提示。技術革新や農家・消費者らの理解などを前提とし、生産体系を大きく転換する方針を打ち出した。
次ページに新戦略のポイントの表があります
2021年03月06日
営農の新着記事
ドローン+スマートグラス 桃せん孔細菌病防除 山梨大
山梨大学は、ドローン(小型無人飛行機)とスマートグラス(カメラ付き眼鏡型端末)を組み合わせ、桃のせん孔細菌病の防除方法を研究している。桃園を上空から撮影し、木の生育や園地環境を盛り込んだ地理情報システム(GIS)を構築。被害箇所や発生しやすい場所を特定する。その情報を基に、地上からはスマートグラスで病斑を検出、枝の適切な切除場所を表示する。
初心者でも対策ができる技術として、2022年度の実用化を目指す。
桃のせん孔細菌病は、枝や葉、果実に感染し、樹勢や果実の商品価値の低下を引き起こす。降雨や風によって感染が拡大。薬剤だけで防ぐことが難しいため、被害枝・葉の切除や被害果の摘果が必要になる。
しかし、木の上部まで確認して作業するため、昇降機や脚立が必要で、高齢者の事故が多発している。一方、新規参入者には枝の切除場所などが分かりにくく、的確な防除が困難だった。
同大学工学部の小谷信司教授は、高解像度のビデオカメラを搭載したドローンで、園地を上空から撮影。園の被害状況が分かるGISを構築している。将来的には、自動的に被害を検出できる画像認識システムを目指している。
温湿度や風、降ひょうのデータに加え、木の被害状況を地図上に入力し発生しやすい条件を見つけ出す。小谷教授は「地域全体で防除することが重要だ。発生しやすい園地は、別の作物に転作するなどの対策がとれる」と指摘する。
スマートグラスは、付属のカメラ映像から病斑を検出し、切除する具体的な場所を示す。確認しながら作業でき、見落としや切り忘れを防げる。切除した枝や葉、果実は検査を実施。病斑の検出が正しかったか確認し、精度を高める。
21年度は、生産現場で実証を進める予定だ。小谷教授は「桃のせん孔細菌病で技術を確立すれば、他の果樹や病害にも応用できる」と期待する。
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2021年03月09日

サツマイモ基腐病 病原菌持ち込み防げ 対策手引を作成 農研機構など
農研機構などは九州などで被害が拡大しているサツマイモ基腐病の対策マニュアル「サツマイモ基腐病の発生生態と防除対策」をまとめた。対策の基本は圃場(ほじょう)に病原菌を持ち込まないこととし、種芋の更新や苗床消毒、苗、種芋の消毒などに注意を促す。
サツマイモ基腐病に感染したサツマイモは生育不良になり、植物全体が萎凋(いちょう)、枯死する。……
2021年03月09日
全国青年農業者会議 小崎さん(北海道)ら大臣賞
全国農業青年クラブ連絡協議会は4日、全国の若手農家が集まって活動成果を発表し合う「全国青年農業者会議2020」をオンラインで開いた。6個人・団体を農水大臣賞に選び、表彰。プロジェクト発表の園芸・特産作物部門では、北海道湧別町の小崎光さん(32)が受賞した。……
2021年03月05日
コロナ下の対応 鍵握る信頼関係 普及指導員に全国調査 日本農業普及学会
新型コロナウイルスの拡大で、普及指導員が活動に影響を「大いに感じた」「感じた」が9割に上ることが4日、日本農業普及学会の調査で明らかになった。同日の春季大会で報告した。同学会は「電話やメールなどでも一定の対応ができる。農業者と信頼関係を築き、普及活動を進めることが課題だ」と指摘した。……
2021年03月05日

イネもみ枯細菌病を抑制 4種の 「善玉菌」 発見 農研機構
農研機構は3日、稲の重要病害、イネもみ枯細菌病=<ことば>参照=の発症を抑える微生物を発見したと発表した。稲自身から見つかった4種類の細菌で、稲の体内の微生物のバランスを取り、病原菌を抑える「善玉菌」と考えられる。同病は決定的な防除方法がないため、微生物農薬など有効な防除資材の開発に役立つとみる。
善玉菌は、イネもみ枯細菌病に感染した稲の幼苗から見つかった。……
2021年03月04日

エゴマに高抗酸化力 そば粉、玄米、黒大豆も 富山県食品研34品目を調査
富山県農林水産総合技術センター食品研究所は「県内産農産物の抗酸化力評価」をまとめ、3日の研究発表会で説明した。調査した県産34品目の中で「生のエゴマの葉」が最も高い数値が出た。実際には調理して食べることを想定し、品目ごとに加熱や保存した場合の抗酸化力の変化も示しており、県産の販売促進や消費者の利用拡大に役立てる。
体を酸化させる活性酸素は、さまざまな病気の発症に関係しているとされる。「抗酸化力」が人体にもたらす効果は研究途上だが、活性酸素の害を防ぐ役割が期待されている。健康志向の高まりを受けて食品研究所は、2012~19年度にわたり、県内の農産物や加工品34品目の抗酸化力を、ORAC法と呼ばれる測定方法で分析した。
ORACは「活性酸素吸収能力」と訳される指標。ポリフェノールやビタミンCなど水溶性抗酸化物質が関係する数値と、ビタミンEなど脂溶性抗酸化物質が関係する数値をそれぞれ測定して合算し、抗酸化力を評価した。34品目のうち、生のエゴマの葉は119と格段に高い数値が測定された。エゴマはシソ科の一年草で、富山市が特産として力を入れている。えごま油も53と高い。
他に高い値が出たのは、そば粉(品種は「信濃1号」)の90、玄米(「富山赤78号」)81、乾燥した黒大豆(「丹波黒」)77、ユズ果皮70、バタバタ茶葉69、生のブルーベリー57など。米みそは4社で調べたところ45~51と比較的高かった。
詳細は食品研究所のホームページで公開し、加熱や保存による抗酸化力の変化も紹介している。発表会場でも関心は高く、「食べるときの分量を考慮するのも大事ではないか」などと質問や意見が相次いだ。
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2021年03月04日

アジサイ 色づき楽しんで 島根新品種「星あつめ」に
島根県は農業技術センターが育成したオリジナルアジサイ第5弾「FRCK―003―S―9」の名称を「星あつめ」に決めた。花が色づく様子が星々のきらめきを思わせるイメージで、公募で集まった415通から選んだ。「母の日」に向け、4月から試験出荷を予定する。
「星あつめ」は、花びら(がく)の先端がとがった八重咲き。手まり形のアジサイで小ぶりな花(花房)がたくさんつき、草丈が低くコンパクト。小花がそれぞれ別のタイミングで色づくのが最大の特徴で、若々しい緑としっかり色づいた青やピンクとのコントラストが楽しめる。終盤にはきれいな秋色(緑)になり変化も個性的だ。
2012年4月にデビューした「万華鏡」に続き、「美雲」「銀河」「茜雲」の4品種に魅力ある「星あつめ」が加わった県オリジナルアジサイの生産は、生産者で組織する県アジサイ研究会が担う。
研究会は17人が年間約10万鉢を生産。JA全中とNHKが主催する今年度の第50回日本農業賞の集団組織の部で、大賞に選ばれた。
育成した県農業技術センターは、都道府県の研究機関で初めて日本花普及センターなどが主催する「日本フラワービジネス大賞2017(育種・生産部門)」を受賞するなど、市場の注目度が高く、引き合いの強いアジサイの品種開発に高い評価を得ている。
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2021年03月04日

イアコーン収穫機開発 汎用機に取り付け 濃厚飼料 自給率向上へ 農研機構とタカキタ
農研機構と農機メーカーのタカキタは2日、汎用(はんよう)型飼料収穫機に装着してトウモロコシの雌穂(イアコーン)だけを収穫する刈り取り装置を開発したと発表した。汎用型飼料収穫機に装着する。トウモロコシが倒伏していなければ、1時間に40アールを収穫できる。都府県の比較的狭い圃場(ほじょう)でも使え、国産濃厚飼料の自給率向上につながる。4月からタカキタで受注販売を始める。
イアコーンは穀実の比率が高く栄養価が高い。……
2021年03月03日

トマトにLED補光 日照不足解消へ試験 新潟のベジ・アビオ
トマトを施設栽培するベジ・アビオは2月中旬から、発光ダイオード(LED)を使った補光の実証試験を始めた。日本海側で9月から翌年7月にかけて栽培する同社は、冬場の日照不足が課題だった。LEDで日射を補って光合成を促すことで、収量と品質の安定を狙う。……
2021年03月03日
水流妨げるカワヒバリガイ対策 貯水池の落水や駆除剤が効果的 水生外来生物セミナーで報告 農研機構 茨城県
農研機構と茨城県は、水に住む外来生物の現状や対策を話し合うセミナーをオンラインで開いた。焦点を当てたのは、近年分布を広げ、農業用水路などで水流を妨げるカワヒバリガイ。貯水池の落水や駆除剤など、成果を上げつつある新技術を報告した。分布をこれ以上広げないためにも、駆除の実践は重要とした。
カワヒバリガイは、アジア原産で淡水に住む大きさ数センチの貝。……
2021年03月02日