恵方巻き問題 食料廃棄半減を目指せ

 節分の恵方巻きが今年は違う意味で注目されている。売れ残った商品が大量に捨てられている問題だ。企業のもうけ主義が招いた結果だが、過剰消費社会を直視し、「食料廃棄の半減」という世界目標に目を向けるべきだ。

 恵方巻きは年ごとに決まった方角の「恵方」を向いて食べると縁起が良いとされる太巻きで、近年人気が広がった。コンビニが発端となり、予約販売で購買意欲をあおる商戦も影響し、過剰生産で売れ残った商品が廃棄されている様子がインターネットの交流サイト(SNS)などで問題視されるようになった。

 刺し身などの生鮮品を使い、売れなければ捨ててしまうのは食料資源の無駄である。農水省は先月、恵方巻き商戦を前に需要に見合った販売をするようコンビニやスーパーの業界団体に異例の要請をした。効果はどうであろう。

 節分以外にも同様の無駄は日常で起きている。本来食べられるのに捨てられる食品は国内で646万トンに上る。発生源の6割近くは食品産業、小売店、外食で、規格外品や返品、売れ残り、食べ残しが占める。4割は家庭で捨てられている。

 646万トンは国際機関が開発途上国に提供する食料援助量の2倍に相当する。世界の9人に1人が栄養不足で命の危険が迫る中、日本は世界中から大量の食料を輸入し、カロリーベースの食料自給率は先進国で最低水準の38%しかない。

 しかも食品の廃棄に多額の税金を投入している。市町村のごみ処理経費は1兆9600億円、1人当たり年間1万5300円にもなる。多くが焼却処分されるが、食品リサイクル法では飼料や肥料に再生利用する目標を掲げる。だが食品卸、小売り、外食は目標に届いていない。理由は、「分別が難しい」「処理費が増える」「各店舗からの回収が困難」などだ。

 根本的な解決には、食品廃棄物の発生を抑制することが不可欠だ。国連全加盟国が2030年までの達成を目指す「持続可能な開発目標」(SDGs)に注目したい。目標の12に「つくる責任、つかう責任」が課せられている。食料廃棄については「小売り・消費レベルで世界全体の1人当たりの食料廃棄を半減させる」とある。

 国際社会が約束した「食料廃棄の半減」を目指し、日本政府は具体的な行動計画を早急に立てるべきだ。私たちが暮らす地球を守るため政府、企業、国民が共通目標に向かって歩き出さなければならない。

 世界の人口は現在の75億人から、30年後には100億人になるといわれている。食料安全保障が重みを増す中、世界では生産物の多くが消費されることなく廃棄されている。

 無駄があるのに生産をどんどん増やす。愚かな行為を見直し、目標に向け行動することが大切だ。

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