米産小麦の輸入継続 GM新系統で異例 農水省発表

 農水省は17日、米国内で新しい系統の遺伝子組み換え(GM)小麦が発見された問題で、輸入を停止しないと正式に発表した。従来は、新系統のGM小麦が輸入先国で発見された場合、検査体制が整うまでいったん輸入を停止しており、継続するのは異例だ。

 GM小麦はどこの国でも商業栽培は認められていない。米農務省は12日、ワシントン州内で先月発見された除草剤グリホサート耐性の小麦の系統が、「MON71300」と「同71800」であると発表した。「71300」は新系統で、PCR法と呼ばれる従来の安全検査方法では検出できない。このため、これまでは新系統のGM小麦が発見された場合、輸入停止してきた。

 ところが今回、輸入元の農水省は米農務省の発表当日に、国内業者と契約した「ラテラルフロー法」と呼ばれる新しい検査方法を採用した。安全検査が可能になったとして、輸入停止を回避する。

 農水省はラテラルフロー法について「大豆やトウモロコシでは一般的な検査方法。小麦でも使えることを確認済み」(貿易業務課)と説明している。
 

[解説]透ける規制回避ありき


 1年前、カナダのアルバータ州内でGM小麦が発見された。日本の農水省は直ちにカナダ産小麦の入札と国内販売を停止、事実を公表した。検査方法の準備が整うまで日本国内に入らないようにするためだ。ところが今年6月7日、米国ワシントン州でも新系統のGM小麦が発見されたが、輸入停止をしない方針だ。何が違ったのか。

 今回を含め、米国とカナダでこれまで5回、野外で自生するGM小麦が発見されている。いずれも米の旧モンサント社が開発中だったものだ。GM小麦は米国を含め世界中で商業栽培が認められていない。過去の試験栽培のGM小麦が生き延びていたものと見られている。主に飼料に回る大豆やトウモロコシはGMが普及しているが、人が食べる小麦は企業が商品化を断念した。

 6月のワシントン州の発見では、農水省は当初から入札や売却の停止など特段の規制をしない方針だった。「米農務省からの連絡によると、検出された系統が過去に検出されたもので従来の検査で十分チェックできる。改めて規制を強化する必要はない」(小峰賢哉貿易業務課長)と説明していた。

 事態が急変したのは今月12日。米農務省が「ワシントン州で発見されたGM小麦で従来の系統に加え、全く新しい系統が発見された」と発表した。新系統はPCR法と呼ばれる従来の検査方法では混入が検知できず、検査体制が整う数週間の間、輸入を停止する必要が出てきた。

 そこで急きょ編み出したのが新しい検査方法だ。「6月から内々に実験を続けてきた。混入を検知できることが確認できた」(同)と17日に採用を公表した。しかし、方法を変えてまで輸入を継続するのは異例だ。

 昨年のカナダの対応と異なり、米国産小麦の輸入停止を回避したのは、水面下で進む日米貿易協定交渉への悪影響を農水省が懸念して忖度(そんたく)した可能性がありそうだ。 (特別編集委員・山田優) 
 

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