大嘗祭供納 喜びの声 農家冥利に尽きる 一世一度の大舞台へ
2019年11月14日
皇位継承に伴う皇室の伝統行事「大嘗祭(だいじょうさい)」。14日夕から15日の未明にかけ、天皇陛下が米やアワなどを神前に供えて五穀豊穣(ほうじょう)や国家・国民の安寧などを祈られる。天皇1代に一度きりの行事に向け、全国からは自慢の特産品も供納された。その品々と生産者らの喜びの声を紹介する。
大嘗祭に使う米の産地は5月に「斎田点定の儀」で、栃木県と京都府に決まった。栃木県の「悠紀(ゆき)田」の耕作者は高根沢町の石塚毅男さんが、京都府の「主基(すき)田」の耕作者は南丹市の中川久夫さんがそれぞれ務め、米を献上した。
中川さんは「皇位継承の重要な行事に地元の米を提供できることは農家冥利(みょうり)に尽きる」と語る。27アールで「キヌヒカリ」を生産。おいしさと見栄えを追求するため、水管理や除草などを徹底し、地域住民ら延べ約120人も生産に携わった。
全国の特産品は「庭積(にわつみ)の机代物(つくえしろもの)」と呼ばれる。47都道府県から各3~5品目が、大嘗宮の主要な建物「悠紀殿」と「主基殿」の前の庭にそれぞれ設けられた庭積帳殿の机上に供えられる。
北海道は小豆、ジャガイモ、小麦など。東北はリンゴを中心に果樹が多く、山形県の西洋梨「ラ・フランス」や福島県の梨が選ばれた。野菜では、全国トップクラスの生産量を誇る青森県のナガイモ、岩手県の干しシイタケなどが目を引く。
青森県東北町で2ヘクタールでナガイモを生産し、供納する向井博徳さん(54)は栽培歴28年のベテラン。「自慢の品が選ばれてうれしい。名誉あることだ。全国に青森のナガイモを知ってもらうきっかけになれば良い」と喜んだ。町は夏でも涼しくナガイモは時間をかけて成長する。粘り気があり味が濃いのが特徴だ。
関東甲信越地区では、県の主力品目や特産品が目立った。栃木県はイチゴ、千葉県はラッカセイなどを選出。甲信越ではブドウやリンゴ、柿などを納めた。東海4県では静岡県が茶やワサビ、愛知県は全国屈指の生産量を誇るフキ、三重県も「南紀みかん」や「伊勢茶」など、全国に名が知られる産品が並ぶ。
群馬県でコンニャク「あかぎおおだま」を生産し奉納する中之条町の小淵敏夫さん(68)は「一生に一度あるかないかの光栄なこと。掘り取りを手伝う人たちからも喜ばれ、実感が湧いてきた。50年近く作り続けたコンニャクを晴れ舞台に届けられ、農家を続けて良かった」と喜ぶ。
岐阜県では、JAひがしみの管内の東美濃栗振興協議会ぽろたん部会が栽培する栗「東美濃ぽろたん」が選ばれた。水野賢治部会長は「生産者の長年の苦労が報われ、今後の栽培の励みになる」と喜ぶ。大粒で、加熱すると渋皮が鬼皮と一緒にぽろっとむける。低温貯蔵することで、でんぷん質が糖に変わり、糖度は20以上になる。
近畿北陸9府県からは大豆、サトイモ、干しシイタケ、柿、茶、栗、ミカン他、石川の能登金糸瓜、福井の抜き実ソバ、京都の長ダイコン、大阪のエビイモ、兵庫の丹波黒大豆、奈良の吉野葛(くず)などが送られた。
柿「富有」を供納した和歌山県のJA紀北かわかみは、JAトレーニングファームで職員と研修生が作る「富有」から、6L級(370グラム前後)以上を選んだ。渋柿主体の産地で、部会がハウス柿の献上を続けているのが誇り。木村恵一専務は「県、地域の担い手になる人たちが作ったので(富有も)“普段通り”味わっていただきたい」と思いを込めた。
中国四国地方は、鳥取県からヤマノイモ「ねばりっこ」、広島県からレモン、徳島県はスダチ、香川県は生オリーブ、愛媛県はサトイモ「伊予美人」、高知県はブンタンなど各県えりすぐりの特産品を選んだ。
愛媛県でミカンを供納した日の丸柑橘(かんきつ)共同選果部会の宮本衛共選長は「愛媛のかんきつ産地を代表して日の丸みかんを納められ非常に光栄。産地にとっても、大いに励みになる。この名誉に恥じぬよう生産者一同、栽培技術を磨き、高品質生産へ一層努力したい」と話す。
九州では本格的なシーズンを前にかんきつ類を選んだ県が多い。佐賀、長崎はミカンを、熊本は「デコポン」、大分はカボス、宮崎はキンカンを供納する。また茶の有力産地でもあるため、福岡、佐賀、宮崎、鹿児島の茶も並ぶ。沖縄のゴーヤー(ニガウリ)など特徴的な品目も名を連ねた。
JAそお鹿児島ピーマン部会は地域でブランド化している「志布志ピーマン」を奉納する。部会長の野口泰晃さん(48)は「大変名誉なこと。今の時期のピーマンは色つやも良く生食がお勧め。天皇陛下に届けられることは素直にうれしい」と喜んでいる。
米は栃木と京都
大嘗祭に使う米の産地は5月に「斎田点定の儀」で、栃木県と京都府に決まった。栃木県の「悠紀(ゆき)田」の耕作者は高根沢町の石塚毅男さんが、京都府の「主基(すき)田」の耕作者は南丹市の中川久夫さんがそれぞれ務め、米を献上した。
中川さんは「皇位継承の重要な行事に地元の米を提供できることは農家冥利(みょうり)に尽きる」と語る。27アールで「キヌヒカリ」を生産。おいしさと見栄えを追求するため、水管理や除草などを徹底し、地域住民ら延べ約120人も生産に携わった。
自慢の逸品並ぶ
全国の特産品は「庭積(にわつみ)の机代物(つくえしろもの)」と呼ばれる。47都道府県から各3~5品目が、大嘗宮の主要な建物「悠紀殿」と「主基殿」の前の庭にそれぞれ設けられた庭積帳殿の机上に供えられる。

青森県東北町で2ヘクタールでナガイモを生産し、供納する向井博徳さん(54)は栽培歴28年のベテラン。「自慢の品が選ばれてうれしい。名誉あることだ。全国に青森のナガイモを知ってもらうきっかけになれば良い」と喜んだ。町は夏でも涼しくナガイモは時間をかけて成長する。粘り気があり味が濃いのが特徴だ。
関東甲信越地区では、県の主力品目や特産品が目立った。栃木県はイチゴ、千葉県はラッカセイなどを選出。甲信越ではブドウやリンゴ、柿などを納めた。東海4県では静岡県が茶やワサビ、愛知県は全国屈指の生産量を誇るフキ、三重県も「南紀みかん」や「伊勢茶」など、全国に名が知られる産品が並ぶ。
群馬県でコンニャク「あかぎおおだま」を生産し奉納する中之条町の小淵敏夫さん(68)は「一生に一度あるかないかの光栄なこと。掘り取りを手伝う人たちからも喜ばれ、実感が湧いてきた。50年近く作り続けたコンニャクを晴れ舞台に届けられ、農家を続けて良かった」と喜ぶ。
「苦労報われた」
岐阜県では、JAひがしみの管内の東美濃栗振興協議会ぽろたん部会が栽培する栗「東美濃ぽろたん」が選ばれた。水野賢治部会長は「生産者の長年の苦労が報われ、今後の栽培の励みになる」と喜ぶ。大粒で、加熱すると渋皮が鬼皮と一緒にぽろっとむける。低温貯蔵することで、でんぷん質が糖に変わり、糖度は20以上になる。
近畿北陸9府県からは大豆、サトイモ、干しシイタケ、柿、茶、栗、ミカン他、石川の能登金糸瓜、福井の抜き実ソバ、京都の長ダイコン、大阪のエビイモ、兵庫の丹波黒大豆、奈良の吉野葛(くず)などが送られた。
柿「富有」を供納した和歌山県のJA紀北かわかみは、JAトレーニングファームで職員と研修生が作る「富有」から、6L級(370グラム前後)以上を選んだ。渋柿主体の産地で、部会がハウス柿の献上を続けているのが誇り。木村恵一専務は「県、地域の担い手になる人たちが作ったので(富有も)“普段通り”味わっていただきたい」と思いを込めた。
中国四国地方は、鳥取県からヤマノイモ「ねばりっこ」、広島県からレモン、徳島県はスダチ、香川県は生オリーブ、愛媛県はサトイモ「伊予美人」、高知県はブンタンなど各県えりすぐりの特産品を選んだ。
愛媛県でミカンを供納した日の丸柑橘(かんきつ)共同選果部会の宮本衛共選長は「愛媛のかんきつ産地を代表して日の丸みかんを納められ非常に光栄。産地にとっても、大いに励みになる。この名誉に恥じぬよう生産者一同、栽培技術を磨き、高品質生産へ一層努力したい」と話す。
九州では本格的なシーズンを前にかんきつ類を選んだ県が多い。佐賀、長崎はミカンを、熊本は「デコポン」、大分はカボス、宮崎はキンカンを供納する。また茶の有力産地でもあるため、福岡、佐賀、宮崎、鹿児島の茶も並ぶ。沖縄のゴーヤー(ニガウリ)など特徴的な品目も名を連ねた。
JAそお鹿児島ピーマン部会は地域でブランド化している「志布志ピーマン」を奉納する。部会長の野口泰晃さん(48)は「大変名誉なこと。今の時期のピーマンは色つやも良く生食がお勧め。天皇陛下に届けられることは素直にうれしい」と喜んでいる。
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手造り赤ワイン塩 山梨県甲州市
山梨県甲州市が運営する「甲州市勝沼ぶどうの丘」が、市内で醸造された赤ワインを使って作った塩。施設内の売店で販売し「和食料理に合う」などと好評だ。
施設内の和食店の総料理長が赤ワインを鍋で煮詰め、塩と混ぜて造った手作り。料理に添えて提供したところ好評だったことから、商品化した。
商品は、赤紫色でほのかにワインの香りがする。天ぷらや白身魚・ステーキ料理に合う。同施設内でワイン塩と共に提供している昆布を使った「昆布塩」とセットで販売。各100グラム入りで、1セット700円。送料別途。
問い合わせは甲州市勝沼ぶどうの丘、(電)0553(44)2111。
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2019年12月11日
五輪Vブーケ採用 国産花き回復に生かせ
2020年東京五輪・パラリンピックでメダリストに贈呈する副賞に、国産花きを使用した花束「ビクトリーブーケ」の採用が正式に決まった。花きの消費量と国産のシェアを反転拡大させる契機にするべきだ。
五輪と花の関係は深い。12年のロンドン大会では大会専用のバラが育種されるなど、その国や開催地の花き文化を象徴する花を扱ってきた。日本では1998年冬季の長野大会で県産アルストロメリアなど多様な花を使い、大きな話題となった。
しかし16年のリオ大会以降、ブーケは姿を消している。同大会のテーマ「持続可能性」を受け、花きの日持ち性や検疫の面から国によっては選手が自国に持ち帰れないことが課題に挙がり除外された。18年冬季の平昌大会も同様の対応となった。
日本の花き業界はブーケ復活へ結束した。17年に生産や流通、販売に携わる団体などが日本花き振興協議会を設立。自民党フラワー産業議員連盟を通じ、政府や大会関係者への申し入れなどを行った。産地側も早い段階から対応に動いた。大会期間が夏場のため、高温下でも耐えることのできる花の栽培実験を各地で重ねた。ビクトリーブーケは業界の悲願だった。
花材は東日本大震災で被災した東北産を中心に使う。「復興五輪」を掲げた大会で、被災地復興の後押しに期待がかかる。ブーケのデザインはオリンピック用、パラリンピック用の2種類。福島産のトルコギキョウと岩手産のリンドウを共通の花材として採用する他、宮城産のヒマワリとバラを使い分け、計約5000束を用意する計画だ。
大会組織委員会はプレスセンターや競技会場などの装飾で、被災地以外の花の活用も検討している。盛り上がりを全国の産地に広げる視点が欠かせない。
国産切り花は高齢化など生産基盤に課題を抱える。18年の出荷量は35億3400万本と過去20年間で最低だった。一方、外国産は安さや安定供給で攻勢を強め、同年の輸入量は13億本強と、最多だった12年に次ぐ水準だ。国産のシェア低下が続く。
五輪は国産花きの魅力をアピールする絶好の機会になる。日本は、花きの高い育種・栽培技術を持つ。今回ブーケに採用されたヒマワリやトルコギキョウには、花粉が落ちないよう改良された日本独自の品種を使う予定だ。生け花などで育んだ装飾技術も発揮される。日本花き振興協議会の磯村信夫会長は「世界に誇る高い品質の花きを届けたい」と強調する。
夏場の花の品質維持は容易でない。産地から定温で輸送し、選手に渡すまで会場では保冷剤を添えて保管する。期間中の交通規制で物流の混乱も予想されるなど課題は多い。業界一丸で態勢を整えるべきだ。
機運の高まりを一過性にとどめてはいけない。課題への対応で連携をより強固にし、大会後の花き振興につなげ、停滞する生産や消費を盛り上げたい。
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2019年12月14日

農水補正予算5849億円 政府・与党 和牛倍増へ奨励金
政府、与党は12日、2019年度農林水産関係補正予算案を固めた。総額は5849億円で、18年度に比べ152億円(2・5%)減。このうち来年1月に発効する日米貿易協定などの国内対策費は3250億円。目玉となる和牛生産の倍増に向けた「増頭奨励金」は、中小規模の農家への支援を手厚くするため、飼養頭数が50頭未満の繁殖農家に1頭当たり24万6000円を交付する方針だ。
増頭奨励金の交付単価は、50頭以上の農家が同17万5000円、都府県の乳用後継牛が同27万5000円とする。
奨励金を含む和牛・乳用牛の増頭・増産対策には243億円を計上。日米協定での牛肉輸出枠の拡大や中国への輸出解禁をにらみ、35年までに和牛生産を30万トンに倍増させる計画だ。
畜産地帯での機械や施設の整備を支援する畜産クラスター事業には409億円を充てる。規模要件を緩和し、中小農家の規模拡大を後押しする。
産地生産基盤パワーアップ事業(旧・産地パワーアップ事業)は348億円。流通拠点やコールドチェーンの整備に加え、中小・家族経営の継承の円滑化や堆肥を使った全国的な土づくりにも支援する。
担い手育成対策などには64億円を計上。40歳前後の就職氷河期世代に就農準備交付金を支給する他、50代の就農研修にも助成する。
棚田地域振興法の制定を受け、棚田・中山間地域対策に282億円を盛り込む。
公共事業費は2991億円。うち農地の大区画化・汎用化に270億円、水田の畑地化などに566億円を計上する。台風19号などの復旧対策は公共、非公共合わせて2144億円。
危害分析重要管理点(HACCP)に対応した輸出施設整備などに108億円、豚コレラ(CSF)やアフリカ豚コレラ(ASF)などの家畜伝染病予防費に57億円、先端技術を活用したスマート農業技術の開発・実証プロジェクトに72億円を計上する。
農林水産関係補正予算案は同日、農水省が自民党農林合同会議に示し、了承された。政府は13日にも補正予算案を閣議決定し、年明けの通常国会に提出する。
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2019年12月13日

片岡礼子さん(女優) 家族つなぐ 愛の手料理
住んでいる時は当たり前と思っていたんですが、故郷を離れて初めて分かることってたくさんあるんですよね。私は愛媛県松前町の出身で、本当に美しい稲穂に挟まれた道を登校していたんです。遊ぶのも田んぼ。わらを崩して怒られるのも田んぼ。東京に出てから、それが当たり前というわけではないと知りました。
父の実家は新居浜市の山奥、別子銅山の方でした。私も小さい頃、よく祖父母の家に遊びに行きました。夏休みにまるっと1カ月間、そちらで過ごしたものです。
家の裏には栗山、柿山、ビワ山があって、祖父と一緒に山に行き、川で丸一日石投げをして遊んでいました。畑で祖父と一緒に芋を掘ったりもしました。家の周りではウコッケイが自由に歩き回っていたんです。祖母が、要らない野菜の葉っぱを刻んで卵の殻とかと混ぜた餌を与えると、鶏は走って寄ってきました。
祖母はみそを手造りしていました。6畳だったか8畳だったかの座敷を二つ使って毎年大量に造っては、親戚中に配っていたんです。
おそらく自給自足に近い生活だったんでしょう。祖父母をもっと手伝って、食べ物の作り方を学べばよかったと感じています。
肉嫌いの私に…
小さい頃に大好きだった「おふくろの味」は、ささ身のフライです。私は肉が苦手な子でした。肉料理が出ると、親の目を盗んで妹の皿に載せていたくらいです。そんな私でも唯一食べられたのが、鶏肉。それを知った母が、手を替え品を替えて頑張ってくれた末にヒットしたのが、ささ身のフライ。母の愛情がこもった、大切な味なんです。
東京で1人暮らしを始めたら、その味を食べたくなって。帰省したら必ず「お母さん、ささ身のフライを作って」と言ってました。
東京での私の食生活は、褒められたものではなかったですね。コンビニ1軒あれば足りる、という感じでしたから。
和食で体調良く
20代になって良い仕事がたくさん続いたのでうれしくて、がむしゃらに頑張りました。思いっ切りダイエットをして、体も絞ったんです。そのため妊娠・出産するに当たって、助産師さんに「そんな食べ方では駄目です」と言われました。「きちんと日本の伝統的な食事を取るように心掛けなさい」と。
20代での食生活が影響したんでしょうか。私は30歳の時に脳出血で倒れてしまいました。
長い期間、リハビリを続けながら、食事の大切さについて考えました。和食をいただくようにしたこともあって体調は良くなり、大好きな女優の仕事もできるようになりました。
この5年くらいは、友達に教わった方法で、みそを手造りしています。祖母がやっていたような大掛かりで本格的なものではありません。ごく簡単な方法ですけど。その友人は赴任先のアメリカで、みそ造りを先輩から教わったそうです。大豆とこうじ、塩しか使わないので、健康的だと思います。
今年になって母の体調が優れなくなりました。父はそれまで料理をしてきませんでしたが、「お父さん、昔ながらの和食がいいよ。作れる?」「うん、やってみる」と。夜のうちにだしを取って、毎朝みそ汁を作っているそうです。最近は「こんな料理を作ってみた」と写真を送ってくれるようになりました。きちんと副菜まで作っているんです。父の愛情がこもった料理で、母の体調が良くなることを祈っています。(聞き手・写真=菊地武顕)
かたおか・れいこ 1971年、愛媛県生まれ。93年に映画デビュー。95年「愛の新世界」「KAMIKAZE TAXI」でヨコハマ映画祭最優秀新人賞。2001年「ハッシュ!」でキネマ旬報、ブルーリボン両賞の最優秀主演女優賞。映画「楽園」「閉鎖―それぞれの朝―」公開中。映画「Red」「タイトル、拒絶」が来年公開予定。
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2019年12月07日
温暖化で植物適地移動 VoCCで分析 果樹転換参考に 長野県など研究
地球温暖化が現在のペースで進むと、国内の高山帯に生息する野生動植物は、21世紀末に生息適地がなくなる可能性がある──。長野県環境保全研究所などでつくる研究グループが発表した。全国1キロ四方ごとに温暖化の影響を推計したのは初めて。影響は市町村ごとに閲覧できるようにし、農業分野では作物転換の検討に使ってもらう。
推計には、気候変動速度(VoCC)という指標を用いた。現在のペースで温暖化が進むと、VoCCの全国平均は1年当たり249メートルとなる。樹木の移動は、最大で同40メートルといわれており、気候変動に追い付けない。これは、身近な自然が将来、緯度の高い所や標高の高い所でしか見られなくなるということを示唆する。
都道府県ごとに影響を見ると、沖縄が同2174・3メートルで、最も速度が速かった。次いで千葉、長崎となった。自治体ごとの影響は、環境省のホームページ内で確認できるよう準備を進めている。
農業分野では、将来の地域の気候がどの地域と同じになるのか判断でき、転換する品目・品種や転換のスケジュールの検討で参考になる。同研究所の高野宏平研究員は「果樹などの永年作物は栽培や転換に時間がかかる。苗木の準備計画に役立ててもらいたい」と話す。
<ことば> VoCC
ある地点で気候が変化した場合、将来同じ気温になる場所の最短距離を、変化した時間で割った速度のこと。例えば、年平均気温15度の場所が100年間で100キロ北上したら、VoCCは1年当たり1キロとなる。
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2019年12月10日
経済の新着記事

傷あっても味は抜群 イオン300店応援セール
イオンリテールは13日から、全国の「イオン」「イオンリテール」約300店舗で、今秋の台風で被災した地域の農産物を販売する応援セールを始めた。15日までの3日間、台風被害のあった長野産、岩手産リンゴを中心に、各地の特産品を販売する。「傷など外観はわけありでも、味は抜群」とPRし、消費拡大につなげる。
消費者が買って応援できる「がんばろう 生産地応援セール」と題し、被災地などの農産物を販売。イオン新浦安店(千葉県浦安市)では、傷などがある各地の「理由(わけ)ありリンゴ」が並んだ。
長野産サンふじ1袋(1・2キロ)537円、「ぐんま名月」同645円、岩手産サンふじ(4個入り)429円で販売している。千葉産のレモンやキャベツなども扱う。リンゴを試食した60代女性は「傷はあるが、実際に食べてみるとおいしかった」と購入していた。
リンゴ産地のJA全農長野生産販売部の長谷川孝治専任部長は「傷みがあり市場では売れない商品を提供できる。生産者にとってありがたい」と話す。イベントを主催するイオンリテール農産商品部の石井友和統括マネジャーは「生産地応援として、多くの農産物を販売していきたい」と意気込む。
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2019年12月14日

花の水揚げ正確に 絵文字17種配送ラベルに印字 オークネット・アグリビジネスが開発
インターネットによる花き取引事業を展開するオークネット・アグリビジネスは、切り花の特性に適した水揚げ方法を示すピクトグラム(絵文字)を開発した。同社によると、花き業界では初の試み。商品の配送ラベルに印字し、ひと目で理解できるようにする。知識や経験を問わず、小売店の従業員が誰でも正しい水揚げができるようにし、消費者への長持ちする花の提供につなげる。
切り花に水を吸わせる水揚げは、品質維持に欠かせない工程。水や湯を使う、茎を割る・たたく・焼くなど、さまざまな方法がある。品目や品種、スプレイ咲きかスタンダード咲きかなど、商品ごとに方法も異なる。
同社は、衣服の洗濯表示マークに着想を得て、絵文字開発に着手。尾崎進社長は「正しい方法を分かりやすく伝えれば、誤った方法による商品ロスや、店員の教育負担も減る」と、ニーズを語る。
ひと目で方法を連想できる絵文字を、17種類作った。同社が扱う約140商品を対象とし、商品配送ラベルに印字する。同じく印字した2次元コード(QRコード)を読み取れば、湯揚げにかける時間、水揚げ後の水管理など、より詳しい情報を得られる。
千葉県の生花店「U・BIG花倶楽部(くらぶ)」は、絵文字を参考にブバルディアで水揚げを実験。従来は空切りしていたが、茎を焼いた上で湯に漬ける方法に変えた。「水の含み具合に差が出たためか、葉に張りが出た」と効果を実感する。
開発に当たり、札幌市で生花店「フルーロン花佳」を経営し、各地で品質管理の講習を開く薄木建友氏が監修を務めた。薄木氏は「農家も小売り側の水揚げの仕方が分かれば、出荷時の管理の参考になる」と、産地にも有益な情報となることを期待する。
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2019年12月13日

無洗米「SAKURA RICE」世界に 業務向けで高評価 全農子会社
農畜産物を輸出するJA全農の子会社、JA全農インターナショナルは、業務需要に開発したブレンドの無洗米「SAKURA RICE」(サクラライス)の輸出に乗り出した。世界で日本食の注目が高まる中、業務用を開拓、輸出拡大を狙う。日本産や無洗米による調理作業の効率化が売り。日本食店が多くあるシンガポールで今年から、複数のチェーン店が同ブランドの扱いを始め、手応えを得ている。
これまで同社の輸出米は家庭用主体だったが、業務需要に応えるブランドとして「サクラライス」を企画した。同社によると①国産のブランド価値②品質③無洗米による作業性の効率化──を売りに営業している。品質が一定化し、多くの用途に使えるようにブレンド米とした。東南アジア数カ国で販売している。
シンガポールの海鮮丼チェーン店「哲平食堂」では、現地法人の全農インターナショナルアジアの提案を受け、全7店舗で10月からサクラライスを使う。量は毎月約1トン。山下哲平オーナーシェフは「粒がしっかりして時間がたっても冷えてもおいしい」と強調する。山下シェフが展開するうなぎの専門店など、他店舗でも今後使っていく予定だ。
哲平食堂のフランチャイズを手掛けるYCPダイニングシンガポールのショーン・タン代表は「在住日本人も当地の客も満足している。無洗米は店員の作業が楽で、現地で手に入れにくいので助かる」と評価する。
シンガポールでは哲平食堂の他、日本式の焼き肉レストラン「牛角」9店舗でも、サクラライスの使用が始まった。
全農インターナショナルは「米の輸出を増やすには業務需要を取り込むことが有効。全農のルートを生かし、青果など他品目とセットで販売拡大も期待できる」とサクラライスを起爆剤に、輸出拡大につなげる考えだ。
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2019年12月12日

[活写] こんがりきつね色
北海道滝上町の農家6戸がつくる「滝上町七面鳥生産組合」で、クリスマス向けの薫製作りが最盛期を迎えている。
各農家が7カ月ほど育てた七面鳥の半身を、ハーブや塩などが入った調味液に約2週間漬けて、蒸した後に桜のチップで約3時間いぶす。作業場には、きつね色に仕上がった七面鳥が並ぶ。
同組合の農家は畑作や酪農が経営の中心で、約30年前に冬の仕事として七面鳥の薫製を作り始めた。今では町の名物になり、全国から注文が入る。今年は今月6日に作り始め、18日までに約1800個を仕上げる予定。
組合長の畑作農家、佐々木渉さん(54)は「脂がのっておいしく仕上がった。クリスマスに家族で楽しんで」と勧める。値段は1キロ3000円。(富永健太郎)
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2019年12月12日

新米販売が苦戦 10月支出額前年割れ 消費増税影響か
新米の販売が苦戦している。消費動向が分かる総務省の10月の家計調査で、米の1世帯当たりの支出額が3年ぶりに前年を下回った。米離れに加えて、消費税増税による節約志向が影響したためとみられる。現状の小売価格は前年並みだが、米卸やスーパーは売れ行きの動向を見極めながら、価格の居所を探っている。
小売 動向探る
10月の家計調査では1世帯(2人以上)当たりの米の支出額は2944円と、前年同月を3・9%(実質)下回った。米の支出が年間で最も多くなる時期に販売が鈍化した。
消費税増税前の駆け込み需要の反動によって、消費支出全体が同5・1%減と11カ月ぶりに前年割れする中、軽減税率が適用される米でも減少が見られ、増税による節約志向が影響したもようだ。
米穀機構の11月調査でも、前年と比べた現状の販売数量の指数は、小売りや中食・外食業者が42で基準点の50を下回った。「減った」と回答する業者が多かった。
現在、スーパーなどの小売価格は前年からほぼ横ばいの展開となっている。全国のスーパー約1000店の販売データに基づく農水省公表の精米5キロの小売平均価格(10月)は、前年同月比0・5%安の2031円。秋田「あきたこまち」は1・8%安の1987円、新潟・一般「コシヒカリ」は1・4%高の2202円など小幅な上げ下げはあるが、前年並みの水準が中心だ。
米卸やスーパーの対応はまちまちだ。「購入数が増えにくいので、単価を上げて売り上げ増を目指す」(東京都内の中堅スーパー)との声がある一方「これ以上の価格上昇は消費を低迷させる」と特売で集客を狙う動きがある。「安くしても、大幅には販売が伸びない」(大手卸)との見方もある。
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2019年12月11日

機能性食品 有機JAS… 日本規格を世界へ新たに推進プラン GFVC官民協
農水省やJA全農、食品関連企業で構成するグローバル・フードバリューチェーン(GFVC)推進官民協議会は、食品産業の海外展開を加速させる新たな推進プランを策定した。2020年度から5年間の計画で、機能性食品や有機JASなど日本独自の食品認証の仕組みを海外に普及させることが柱。日本の食品企業が現地で販売しやすくし、日本産の食品や農林水産物の輸出拡大につなげる。
14~19年度の推進プランでは、海外市場の調査などを盛り込んでいた。今回の新プランでは、9の国・地域別に実践する具体的な取り組みを示した。協議会に参画する企業の海外進出数を現状の1・6倍(200社)に拡大する目標も掲げた。
新プランによると、企業進出数が多いタイやフィリピンなどでは、現地で高まる消費者の健康志向への対応を強める。現地に進出した日本企業が、日本と同基準の機能性食品を流通しやすくするため、輸出先国へ、日本に準ずる基準の整備などを働き掛ける。ベトナムなどでは、農業生産工程管理(GAP)や有機JASなど日本型の規格や制度を普及して、日本食品の高付加価値化を進める。
オーストラリアでは、日本と季節が逆転する地理的条件を生かし、日本で栽培されているアスパラガスやメロンなど青果物の生産を拡大。アジア圏など第三国への農産物の通年供給を推進する。
このほか、①複数企業が連携した海外進出計画の策定②日本食材の現地での加工や料理として提供③スマート農業技術の海外展開──で取り組みを支援する。
同省は「日本企業の海外進出支援は、農産物自体の輸出拡大にとって重要」(国際部)と説明。同省では来年4月、政府の農林水産物輸出の司令塔組織となる輸出部が設置されるなど、農産物輸出拡大に向けた動きが加速化している。
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2019年12月11日

機能性に魅力 実需が国産要望 もち麦1年で3・5倍
もち性大麦の2019年産生産量が8000トンを超え、前年産に比べ3・5倍と急増した。健康食品としての認知度が高く、国産志向もあり市場が拡大。機能性成分が多く、各地の気候に適した新品種の導入が進み、実需の要望で産地が形成されつつある。急増してもなお需要が供給を上回っている状況で、国産の増産への期待が高まっている。
19年8000トン超 需要伸び品種充実 産地追い風
農水省がまとめた大麦の農産物検査結果(10月末時点)によると、もち麦の検査数量は8581トン、18年産実績を6000トン上回った。
県別で最も多いのは福井県の2357トン。機能性成分が多い新品種「はねうまもち」を導入し、約800ヘクタールを作付けた。4JAが取り組み、大手精麦メーカーに仕向ける。「メーカーの強い要望に応じ、従来の大麦品種を転換した」とJA福井県経済連。交雑や異品種の混入を防ぐため、産地を限定する。
次いで増やしたのが福岡県。九州が栽培適地の「くすもち二条」を前年の4倍、1243トン生産する。うち、JA全農ふくれんは県内の精麦メーカーの求めで試験的に約70ヘクタール栽培した。20年産はこれを上回る注文があるが、「他の麦類の要望もあり、そうは広げられない」(全農ふくれん)と悩ましい現実もある。
宮城県はもち麦「ホワイトファイバー」を前年の11トンから764トンに拡大。実需の関心が高く、県は種子の生産体制を整え一般栽培に踏み切った。今後も増やす計画だ。
もち麦の普及は、県が奨励品種にして、産地品種銘柄として流通させることが欠かせない。産地品種銘柄の採用は、この3年間で6県から18道県に拡大した。大半が、健康機能性が多い品種への転換だ。ビール麦産地の栃木県は、ビール麦から県育成品種「もち絹香」に替えた。「健康志向で今後の需要が見込まれるため」(生産振興課)だ。
もち麦品種は、3年前の5品種から8品種に増えた。国内最大面積となった「はねうまもち」は農研機構が開発、17年に品種登録を出願した。寒冷地向きで、新潟県、北海道でも展開中。暖地向けは「くすもち二条」「ダイシモチ」がある。各地の気候に適した品種開発も、産地化を後押ししている。
農林水産政策研究所企画広報室の吉田行郷室長は「需要に対応するには産地がまとまって品種を統一したり、十分な生産量を確保したりする必要がある」と指摘する。
もち麦は食物繊維の一種、βグルカンを豊富に含む。腸内環境改善や血中コレステロール低減に効果があるとされる。国内流通量に占める国産の割合は1割に満たない。
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2019年12月08日
輸出3カ月前年割れ 10月農林水産物 目標達成遠く
10月の農林水産物・食品の輸出額は751億円で、前年同月比で5・9%減った。前年同月を下回るのは3カ月連続。2019年の累計(1~10月)は前年同期比0・8%増の7396億円。水産物が落ち込み、緑茶やリンゴなど主要果実も振るわず、伸びが鈍化している。「19年に1兆円」という政府目標の達成は厳しい。
財務省が発表した貿易統計を基に日本農業新聞が調べた。
農林水産物の輸出は例年、収穫期の秋以降、年末にかけて増える傾向にある。しかし、政府目標1兆円達成には残る2カ月で合計2600億円以上の実績が必要。単月で1000億円を超えたことは近年なく、このままのペースでは達成は難しい状況だ。
輸出額の1~10月の累計を品目別に見ると、水産物は、6%減の2313億円と落ち込んだ。輸出先で他国産と競合したり、サバなどで相場が良い国内向けに販売を振り向ける動きがあった。
日本食の人気を背景に、牛肉は25%増の235億円と好調が続いている。日本酒も8%増の192億円、サツマイモは23%増の13億円と伸び幅は大きい。リンゴは8%減の82億円、ブドウは4%減の28億円と落ち込んだ。緑茶も2%減の119億円となった。
輸出額が伸び悩む背景には、最大の輸出先・香港の政情不安定化や、韓国との関係悪化などもあるとみられる。
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2019年12月08日
担い手サミット開幕 きょうまで静岡
第22回全国農業担い手サミットinしずおかが5日、静岡市で始まった。認定農業者ら2000人が参加し、先端技術の導入や、食料自給率の向上、農業の持続的発展などに取り組むとしたサミット宣言を採択した。6日まで。
県、JA静岡中央会などで組織する実行委員会と全国農業会議所が主催。寛仁親王妃信子さまが「農業に携われる方々が絆を深め、活力ある農業の実現に向けて力強く発展することを願います」とあいさつされた。
大会会長を務める静岡県の川勝平太知事は「農業を担う人材不足は全国的な課題になっている」と述べ、スマート農業の開発や普及を進めていくことを伝えた。
県内の担い手4人がメッセージを発表。直接販売に取り組み、経営改善したり、豚の人工授精液生産を続けたりする今後の経営や農業振興への思いを訴えた。事例発表では担い手らが、6次産業化や農産物の海外輸出について議論を交わした。
全国優良経営体の表彰があり、加藤寛治農水副大臣が農林水産大臣賞を受賞した12経営体に賞状を贈った。
6日は、県内7地域の38会場で現地視察と情報交換会を開く。次回の開催は茨城県。
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2019年12月06日

豚肉在庫が最多水準 9月時点3割増に 輸入多く国産苦戦
豚肉の在庫量(輸入含む)が過去5年の最多水準に積み上がり、国産相場の不安材料になっている。中国でまん延するアフリカ豚コレラ(ASF)の影響で国際相場に不透明感が増していることや、大型貿易協定で関税が下がったことで、食肉メーカーや商社が輸入品の調達を強めているためだ。国産は加工向けの下位等級を中心に需要を奪われ、苦戦を強いられている。
農畜産業振興機構のまとめによると、9月時点の推定期末在庫量は、前年同期比3割増の21万8205トン(国産品が同13%増の2万351トン、輸入品は同32%増の19万7854トン)。近年の在庫量は約17万トン前後で推移しており、過去5年で最多水準だ。
豚肉の国際相場は、世界最大の豚肉消費国である中国でのアフリカ豚コレラの拡大で、引き合いが強まった欧州産を中心に高値基調が続いている。大手食肉メーカーは「これからもう一段上げる可能性があり、高騰する前に調達を強めている」と明かす。
在庫過多の輸入品に押され、国産品にも影響が出ている。「国産、輸入ともに、裾物の在庫が多く、国産は加工筋などで需要を奪われている」(大手メーカー)という。環太平洋連携協定(TPP)や欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)で輸入品の関税が下がったことも、国産品の価格面での競争力に影を落とす。
国内生産量(と畜頭数)は、今年度上半期の累計が約788万頭で前年同期比ほぼ横ばい。しかし消費は鈍く、在庫が積み上がる状況だ。
全国指標となる東京食肉市場の29日の豚枝肉価格は1キロ459円(上物平均)で前年並み。一方、格付けで最も低い「等外」は300円台半ばで6月以降、前年を下回る取引が目立つ。
「10月以降、出荷量が例年以上に多くなっている」(市場関係者)など、この先は不安材料が多い。豚コレラ(CSF)ワクチンを接種した豚の流通も始まった。現状、目立った混乱は見られないが、取引動向には注視が必要だ。
大手食肉メーカーは「安価な輸入品に押され国産が苦戦する状況は長期的に続くだろう」と見通す。
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2019年12月02日