家屋の浸水被害 冬本番前に住居確保を

 相次ぐ台風で、農村部でも住居の浸水被害が多発した。被災地は冬本番を迎えようとしている。浸水家屋を乾かすため断熱材を撤去した家は、厳しい寒さに直面する。断熱材の設置には資材・技術が必要で時間がかかる。住民の健康を守るために行政は、あらゆる方法で住居を早期に提供すべきだ。

 台風19号とその後の大雨で、浸水家屋が床上だけで17都県・約2万4000棟、床下を合わせ20都県・約5万5000棟で被害が18日までに確認された。

 台風通過後、各地で水が引くまでかなりの時間がかかった。水が引いても、水道管の破損や停電などでしばらく断水が続いた被災地が多い。水道が復旧してやっと、浸水した家財道具の洗浄や搬出、土砂のかき出しなどに着手できるようになった。

 ところが雨が相次ぎ、復旧作業はしばしば中断を余儀なくされた。大規模な浸水被害を受けた宮城県丸森町の社会福祉協議会によると、一人暮らしの高齢者や、若くても仕事があり週末にしか作業ができない家庭は少しずつしか進んでいない。

 家屋の大敵は湿度だ。浸水被害を受けた家屋には、かびなどの発生を防ぐため衛生対策が必要となる。災害ボランティアの連絡組織「震災がつなぐ全国ネットワーク」によると、①床下の泥や水の排出②壁材の撤去と交換③家屋の消毒④十分な乾燥──を行う。

 だが丸森町では、家屋の衛生対策どころか復旧作業に未着手の家も多いという。また福島県いわき市では、11日からやっと浸水家屋の消毒作業が始まったばかりだ。復旧作業は乾燥だけで最低1カ月はかかる。

 政府は今月、台風被災者への再建策を示した。生活圏からの廃棄物・土砂の年内撤去や、被災者のニーズに応じた住宅再建策などが柱だ。

 ただ被害は広範囲にわたる。農業生産基盤も生活基盤も再建にかなりの時間がかかるとみられる。こうした中で、冬本番が迫っている。

 床上浸水した家屋は、かびの発生防止のため断熱材を撤去する。撤去した家屋は、朝夕の野外の冷え込みが直接、屋内で生活する人に影響を及ぼす。住むこと自体が困難になるだろう。

 行政は、断熱材の確保と設置を早急に支援しなければならない。だが断熱材の設置作業には技術と知識が必要となる。工務店関係者は不足していて、数カ月待ちなどスムーズに復旧できないとみられる。

 宮城県は、台風被災者向けに250戸以上の仮設住宅の建設を始めた。ただ県によると建設期間は標準で1カ月かかる。民間賃貸住宅への入居希望は226件あったが、18日時点で入居契約が交わされたのは70件しかない。

 政府は、公営住宅やホテル、旅館といった応急的な住居の活用も対策で示した。厳しい寒さが目前に迫っている。とにかく急がなければならない。

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