和歌山県での若者の「みかん援農」の記事を10日の本紙で読み、「食は人の天たり、農は国のもとたり」という言葉を思い出した

 和歌山県での若者の「みかん援農」の記事を10日の本紙で読み、「食は人の天たり、農は国のもとたり」という言葉を思い出した▼4年前のNHKの朝ドラ「あさが来た」で実業家の五代友厚が、主人公あさの姉はつに、はなむけに贈った。はつが嫁いだ大阪の両替屋が倒産しミカン農家になるために一家で和歌山へ。五代は話をこう続ける。「農業は人が一生を懸けるにふさわしい大事な仕事です」▼この言葉は、帝王の模範を記した中国の書『帝範』(648年)にある。日本でも農業が国家運営の基盤という思想は古代から続く。戦前の農本主義は資本主義や中央集権に対抗する世直しの思想となった▼そして現代。国連の「持続可能な開発」と通じ合う。その視点を、岩崎正弥愛知大教授の論文「農本主義の社会哲学」(『経済史研究』2005年=当時助教授)で学んだ。農本主義が目指す社会である「経済の無際限な膨張を制御しうる(略)多様な豊かさを認め合い、相互の支え合い・分かち合いの倫理をふくみこむ、希望の空間」と、本質が重なるという▼作家の佐藤優氏は、日本人は戦後、農畜産物を育てるように鉄鋼や自動車、トランジスタを作ったとして「高度経済成長は農本主義によって行われた」と度々語り、再評価を提唱。温故知新である。
 

おすすめ記事

四季の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは