農作業安全 現場で綿密調査を 技術開発進む韓国―農村振興庁長に聞く

インタビューに応じる金庁長(韓国全羅北道全州市で)

 農業、農村が高齢化などの課題で対応を迫られる中、韓国では現場を重視し、農作業安全などで技術開発を進めている。同国農村振興庁の金瓊圭庁長に、取り組み方針を聞いた。

 社会は現在、どこに向かって、どう変化しているのか。この動向を正確に把握し技術開発を進める必要がある。農村振興庁は当面、四つの問題を柱にしたい。

 一つ目は気候変動だ。私たちが持っている科学技術を生かしても、気候変動の全体像はまだ分かっていない。気候変動は地域によって違い、その影響が一定の方向を向くようで、そうでもない。もっと詳しく研究分析する必要がある。

 二つ目は人口構造だ。韓国は発展し、人口構造が急速に変化している。寿命が長くなり、高齢農家の割合も高まった。一方、人口全体は増えていない。この人口構造が、農業にどのような影響を及ぼすかを把握することが重要だ。

 三つ目は、技術の融合などによる新技術開発だ。スマート農業などに代表される先端技術が、農業に大きな影響を与えている。

 四つ目は、グローバル化や貿易紛争にどう対応するかだ。自由貿易の深化に伴い、競争がますます激しくなる。農業にも大きな影響を与え、変化に見合う技術開発が欠かせない。

 課題が多くある中、先端的な技術開発だけではなく、農業現場を重視した研究開発が重要だ。これまでの研究のほとんどは、農産物の生産性や機械の効率を上げることに集中し、農家の心身の健康など現場の問題をおろそかにしてきた。

 これまでの研究開発は中央省庁が中心になって進めたが、これからは地方中心、現場中心に移行する必要がある。地域農家も参加できる研究・技術開発に転換することが求められる。

 具体的には、農作業事故防止に向けた取り組みだ。農作業事故に関する注目度は10年前は非常に低かった。だが、庁内の農業者安全保健室の職員を中心に長く努力した結果、法律が整備された。農作業事故を防ぐ器具も開発された。

 農作業安全や予防についてこれまで以上に詳しく調査する必要がある。農作業事故の類型、頻度、農薬事故などを現場で綿密に調査しなければいけない。それを基に予防プログラムを作成し、事故後の対応、補償も盛り込んだ5カ年計画を作成する予定だ。

 作業環境が劣悪な零細農家の事故が多く、経済的・人的損失が大きいにもかかわらず、安全管理や事後補償などの支援態勢が整っていない。関連技術・制度の構築に力を注ぎたい。  

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