家計調査の分析 食品の消費実態把握を

 総務省は2019年の家計調査をまとめた。支出金額は、調理の簡便・時短化傾向の高まりで総菜などの調理食品や加工品が伸びた一方、野菜や牛、豚、鶏肉などが前年を下回り、加工品と生鮮品で明暗が分かれた。家計調査は消費実態をつかむ最適な調査だけに、分析して産地づくりや販売対策に生かそう。

 家計調査は、全国約1万世帯の家庭を対象に家計の収入・支出などを毎月調べて公表している。今回は1年分をまとめた。品目別に支出金額、購入数量、購入頻度などを全国平均で算出している他、都市別、収入別などでも分かるのが特徴だ。

 19年は、消費支出が前年比2%増の約352万円。このうち食料は同1%増の約97万円だった。消費支出は4年、食料支出は2年連続で増えた。

 特徴は、食事の準備にかける時間を短縮する簡便・時短化傾向が顕著になった点だ。総菜などの調理食品が前年比4%増の12万8386円と過去最高で、10年前の09年比で30%増だった。内訳にはパックご飯や冷凍米飯、サラダなどが含まれる。高齢化が進み、単身世帯や共働き世帯が増加する中、この流れが加速するのは確実だ。産地はこうした動向を捉えて産地づくりを進めていく必要がある。

 生鮮品は苦戦した。相場が低迷した生鮮野菜の支出金額は前年比6%減で、購入数量も同1%減った。10年前と比べると品目で増減が明確になった。

 購入数量は09年比でブロッコリーが22%増、ピーマンが17%増だった。ブロッコリーは栄養面の評価や手軽に食べられる調理法の普及、ピーマンも苦味の少ない品種が登場するなどして消費が盛り上がっている。一方、ホウレンソウは30%減、ダイコンが22%減だった。ホウレンソウは、調理にあく抜きが必要な上、冷凍品の出回りが増えていることが要因とみられる。

 米(精米)も苦戦した。支出金額は前年比5%減の2万3212円。近年は米価が堅調で増加傾向だったが、4年ぶりに減少し、09年比では24%減だった。購入数量の落ち込みは深刻だ。前年比5%減の62キロと減少率は過去10年で最大で、09年比で27%減。一方、おにぎりやパックご飯の支出金額は前年比8%増で、09年比で34%増。冷凍米飯などの「他の主食的調理食品」は前年比8%増で、09年比で64%増だった。精米は炊飯の手間から消費が伸び悩む一方、同じ米でも手軽さや保存性が売りの米飯商品が伸びている。

 家計調査は、スーパーや外食など多くの企業が、商機をつかむために分析している。農畜産物は1次産品だけに対応は簡単ではないだろう。しかし、農家所得の向上にはトレンドに合った品目や品種、栽培方法などの選択、加工対応、販売戦略は欠かせない。消費実態を探る調査は家計調査以外にもさまざまある。取引する実需や消費のニーズを探り、分析して農畜産物の消費拡大につなげたい。

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