[あんぐる] ヒヤリとハットに備え 農林水産研修所つくば館水戸ほ場(水戸市)

急斜面の走行を体験する研修。作業機の重さで前輪が大きく浮き上がった(水戸市で)

 農作業中の事故を減らそうと農水省は、体験を通じて事故が起きやすい状況を学ぶ「農業機械・農作業安全研修」を開いている。会場は水戸市の農林水産研修所つくば館水戸ほ場。場内に急斜面や不整地などを設け、トラクターなどを走行させる。危険な場所や車体の向きなどの認識を深め、事故防止につなげる。

 ガシャーン。

 前輪が約1メートル浮いた状態のトラクターの姿勢が元に戻ると、大きな音を立てた。車体が弾み、見守っていた参加者は息をのんだ。

 「下から突き上げられるような衝撃。横転するかもしれないと恐怖を感じた」と、乗車していた宮城県古川農業試験場の山田忠幸さん(49)が振り返った。

 2月下旬に開かれた研修では、60馬力のトラクターを使い、急斜面の走行を体験した。2100キロの車体の後方に600キロの作業機を取り付けたが、前方に重心のバランスを取るウエートは装備していない。車体の重心は後方に偏っている状態だ。トラクターが、あぜに見立てた高さ1メートルほどの坂道の頂上に達すると、作業機の重さで前輪が浮き上がった。

 「重い作業機を付ける際は前後のバランスに注意しましょう」。同研修所の技術研修指導官を務める田中啓介さん(55)が強調した。その後、車体前方に200キロのウエートを付けて再度走行。前輪が浮かずに走れることを確認した。

 
視野が狭くなるゴーグルや重りを身に付け、加齢による体の感覚の変化を体感する参加者

 農作業事故による死者数は年間304人(2017年)で、近年では年300人ほどで推移する。このうちの7割を農機事故が占める。

 安全研修は20年以上前から実施する。農家や農業関係団体職員、新規就農者を中心に年500人ほどが受講する。トラクターの乗り降りの方法やエンジンのかけ方に始まり、状態の悪い地面を再現したコースを走行。実際の事故の事例、歩行型トラクターや刈り払い機の安全な扱い方も学べる。

 田中指導官は「農家は自覚のないまま危険な使い方をしていることが多い」と分析。「研修で学んだことを周囲に伝え、地域ぐるみで農業者を事故から守ることが重要だ」と切に訴える。(富永健太郎)

 

動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://youtu.be/Gc_4Z6zzBpU

「あんぐる」の写真(全4枚)は日本農業新聞の紙面とデータベースでご覧になれます  

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