外出控えたいご時世だから…移動購買車に注目 緊急事態宣言―戸惑いつつも対応

新型コロナウイルスの感染拡大で不安が広がる中、食料確保や見守りに役立っている「Aコープ紀南移動スーパー」(和歌山県白浜町で)

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、JAの移動購買車事業に注目が集まっている。買い物弱者への安定的な食料供給だけでなく、人が密集する場所を避けようとする新規の利用者が増加。JAは、マスクの着用や手指の消毒などの対策を徹底する。7日に予定される緊急事態宣言発令後も、食料確保や高齢者の見守り機能など地域で一層役割を発揮しそうだ。(塩崎恵)
 

「安心」 利用者が増加 和歌山・JA紀南


 和歌山県白浜町の丘の上にある閑散とした団地に、JA紀南のキャラクターのテーマソングが鳴り響く。「Aコープ紀南移動スーパー」が、団地に到着したことを告げる合図だ。住民たちが買い物バッグを持って集まってくる。

 団地から一番近いスーパーは、徒歩で約20分。丘の上にあるため、荷物を持って坂道を上るのは大変だ。萩野ちよ子さん(74)は運転免許を自主返納し、電動アシスト自転車に切り替えたが、「電動でも坂はきつい。新型コロナの影響で自粛が増え、(移動購買車が)来なくなるかと不安だったが、来てくれて安心した」と、ほっとした様子だ。

 JAの移動購買車は6台あり、月~土曜日に計15コース約200カ所を巡回する。Aコープがない場所や買い物が困難な住民がいる場所を設定している。1カ所の平均利用者数は3、4人。利用者の9割が高齢者だ。

 JA店舗課の堀浩典さん(51)は「待っている人がいるので、やめるわけにはいかない。マスクの着用や手洗いといった衛生対策を徹底する」と力を込める。

 新型コロナウイルスの影響で、人混みを避け移動購買車を利用する人も増えている。

 この移動スーパーでは、3月に入ってから30、40代の初めて見る利用者が出始めた。理由を聞くと「新型コロナウイルスの予防で、人が集まる場所を避けている」と言う。3月の利用者数は1台平均39・1人で、前月比4%増。売り上げも、3月は1台平均6万3420円で同9%増えた。以前から利用する米澤かず子さん(71)は「新型コロナウイルスが怖くて、街に買い物に行きたくない。移動スーパーは助かる」と感謝する。
 

熊本や愛媛でも


 移動購買車事業に取り組む熊本県JA菊池も、3月の利用者数が増えた。1台平均43人で前月比16%増、売り上げも同23%増えた。JAは「人混みに行くのを避け、隔週から毎週利用にするようになった高齢者がいる」(生活課)と話す。

 愛媛県JAえひめ南も、3月の売り上げが前月比で60万円増えた。ドライバーはマスクを着用、手指や扉などの消毒を徹底している。JAは「利用者は顔見知り。いつも以上に利用者の体調に留意しながら、できる限りのことを精いっぱいしたい」(生活課)と訴える。
 

JAの介護施設 体操など在宅指導


 政府の緊急事態宣言を控え、通所介護施設では休業に追い込まれる可能性があり、戸惑いの声が上がっている。一方、農機や農薬メーカーは、影響を最小限に抑えるための対応に追われている。

 JA東京中央の子会社で、運動を中心にした通所介護サービス(デイサービス)を提供する「リハプライド烏山」の香川大典施設長は、緊急事態宣言が出された場合の対応について、「急な展開ということもあり、まだ何も決まっていない」と戸惑いの声を上げる。

 同施設は、要支援から要介護4まで130人が登録。1日の利用登録者は約35人で、トレーニングマシンを使った運動を中心に、リハビリを行う。

 新型コロナウイルス禍でも、消毒などのケアをしながら通常営業を続けてきた。ウイルスの感染拡大を受け、利用者からは施設が休みになると「運動ができなくなる」「動けなくなったら困る」といった不安の声が上がっている。

 一方、利用者の家族から利用の中止を申し出るケースも増えている。施設では施設に来られない間の運動不足を補うために、家でもできる体操のプリントを配るなどして、ケアに当たっている。

 香川施設長は「運営面など不安なこともあるが、一番怖いのは感染が拡大すること。自分たちができることをして、対応していくしかない」と話す。
 

農機・農薬メーカー 生産影響最小限に


 兵庫県に工場があるヤンマー。6日夕方に緊急事態宣言の対象地域に同県が含まれる可能性が浮上したことで「生産への影響を最小限にするため、協議を進めている」という。

 クボタは、大阪と茨城、栃木で生産する。6日夕方時点では「自治体からの要望を踏まえ、対応を判断する」という。井関農機は愛媛、熊本、新潟などに工場があり、現状で問題はないものの「部品の供給などを注視している」とした。

 農薬メーカー各社は、6日時点で、今後も大きな影響はないとの見通しを示す。肥料メーカー大手は「現時点では影響は不明」とみている。ある飼料メーカーは「影響はない」とする。

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