自己改革の進展 成果生かし危機克服を

 JA自己改革は第27、28回JA全国大会での決議を経て取り組みが定着し、進展が数値で裏づけられるようになった。新型コロナウイルスの感染拡大で、農業と暮らしを守る役割発揮がJAには一層求められている。通常業務が難しい面もあるが、積み上げてきた成果を基に創意工夫で危機を乗り越えたい。

 自己改革の進展は、JA全中がまとめた「JAグループの活動報告書2019」に顕著に表れている。全JA調査などに基づき、50を超える項目で実績を示した。

 それによると「農業の担い手のニーズに応じた個別対応」に取り組むJAは19年度が75%で、16年度に比べ5ポイント高まった。販売・購買事業でも進んでいる。「マーケットインに基づく生産・販売事業方式への転換」に同66%のJAが取り組み、同19ポイント増。「付加価値の増大と新たな需要開拓」(同75%、同14ポイント増)や「生産資材価格の引き下げと低コスト生産技術の確立・普及」(同92%、同11ポイント増)の実践JAも増えた。

 1年前の5月末は、政府が定めた5年の「農協改革集中推進期間」の期限で、農水省は「進展している」と評価。JAは、組合員との徹底した話し合いを踏まえて自己改革を継続し、農畜産物の販売や生産コストの低減などで、さらに成果を積み上げてきた。この経験をコロナ危機への対応に生かしたい。

 牛肉や花き、高級果実などの販売が低迷し、業務用需要も急減。農業者の所得確保は、JAにとって一層切実な課題になっている。また、緊急事態宣言の発令以来、買い物や介護サービスなど、地域のライフラインを支える役割にも期待が集まる。

 しかし、担い手の声を聞き、支援策を提案しようにも訪問活動や会合を自粛せざるを得ないなど、従来の業務の継続さえ難しい状況もある。こうした中で、全国のJAで創意工夫した取り組みが進んでおり、日本農業新聞で紹介してきた。

 JA千葉みらいは、学校給食の停止で行き場を失った小松菜約1トンをJA直売所やスーパーでの販売に切り替えた。業務用は通常ばら出荷だが、結束や袋詰めなどどこまで荷造りをすれば受け入れてもらえるかをスーパーや卸と協議し、生産者の間に立って調整した。

 JAぎふは地域農業の担い手に出向くJA担当者(TAC=タック)が相談窓口となっている。対面での渉外活動は自粛。公的な助成制度やJAの支援策をまとめたちらしをポストに入れ、内容を電話で説明した。担い手の悩みや課題はJA内で共有し、解決策を提案する。

 農業者の所得増大、農業生産の拡大、地域の活性化を基本目標とするJA自己改革は、JAが「なくてはならない存在」であり続けるため必須のものだ。コロナ危機への対応は、組合員や地域住民の信頼を一層高めることにつながる。総合力を生かして取り組みを重ねよう。
 

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