農産物直売所 生消協力し感染防ごう

 農産物直売所が、新型コロナウイルスの感染防止に懸命に取り組んでいる。食料確保への不安などから各地の直売所は客足が伸びた一方、人が集まる場所だけに感染リスクを下げることが課題だ。衛生対策を強化するとともに、生産者、消費者には注意やマナーが求められる。

 政府は新型コロナ対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言を全面的に解除し、感染確認者数も全国的に減っている。しかし終息はしていない。適切な警戒と対策が引き続き求められる。

 「公園やスーパーなどにおいて週末に多く人が集まっている場での感染対策の必要性が課題になっている」。新型コロナ対策に関する政府の専門家会議は4月下旬、外出自粛の中、スーパーなど人が集まる場所での感染に警鐘を鳴らした。地域の農産物供給拠点である直売所も人が集まる場所だけに、宣言解除後も注意を払う必要がある。

 直売所は、感染の温床とされる「3密(密閉、密集、密接)」を避けるため既に対策を打っている。客と従業員が対面するレジ前に仕切りを設け、レジ待ちの際に客同士の間隔を保つ停止線を表示。買い物籠やカートの消毒、店内換気の他、入店制限も当たり前になってきた。

 特売や催事も控えている。集客し売り上げ増を目指してきた従来の運営とは様変わりだ。店と生産者、消費者いずれにも戸惑いがあるかもしれないが、混雑することが店舗を感染源にするリスクを高めるとの認識を3者で共有しなければならない。

 出荷や買い物ができるのも、陳列や商品説明、会計など店舗運営に携わる人がいるおかげだ。感染リスクにさらされながらも懸命に働く従業員への感謝の気持ちを忘れないようにしたい。健康を守り営業を続けるには店の努力だけでなく、生産者と消費者の協力が大事だ。

 生産者は手洗いや消毒、マスクをして出荷。消費者もマスクを着け、買い物の同行は最小限にし、頻度は3日に1回程度にする。長時間の買い物や会話は慎む。同会議が提言した「新しい生活様式」では、買い物には「計画を立てて素早く」「展示品への接触は控えめに」といった意識やマナーが求められる。

 直売所は“食のインフラ”だ。生産者の営農活動があり、店舗従業員の事業活動があり、消費者の愛用・消費活動があって成り立つ。一つでも欠けると明日の開店はおぼつかない。集団感染が出たら一時閉鎖もあり得る。それぞれの健康を守り、それぞれの立場を尊重し、互いに感謝し、直売所がある日常を壊さないよう心掛けたい。

 日本は、食料自給率がカロリーベースで37%と低く、災害も多い。地産地消を基本とする直売所は、食料の輸入や国内輸送が途絶えた時には、国民に食料を供給する“砦(とりで)”になる。その役割や意義をあらためて考え、3者が協力して感染防止の取り組みを徹底しながら、大切に活用し、守っていきたい。
 

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