時代の雰囲気を包み込み、元気が出て、人生をも振り返る

 時代の雰囲気を包み込み、元気が出て、人生をも振り返る。〈小宇宙〉を体現したような楽曲に心酔する▼中島みゆきさんの歌は、どうしてこうも胸の奥底まで染み入るのか。先月の週刊誌も特集で「日本人よ、いまこそ中島みゆきを聴こう」。「時代」をはじめ「宙船(そらふね)」「糸」で勇気をもらい「地上の星」「わかれうた」で生きざまを見つめ直す。ファンの一人にノーベル化学賞受賞者の吉野彰さん。苦しかった自らの研究人生を顧み、よくカラオケでうなるのは〈そんな時代もあったねと〉▼最新アルバム「CONTRALTO」。〈コントラアルト〉と読む。彼女の音域を表すイタリア語で自身がテーマの楽曲から成る。時代を映す作詞の数々に驚く。例えば「おはよう」。〈夜は終わった〉〈闇は終わった〉。そして〈傷は治ったんだろうか 毒は治ったんだろうか〉と。まるで、今のコロナ禍を予見したように▼1952年生まれの道産子で、本名「美雪」の2字にうなずく。同世代、さだまさしさんは彼女の作品を「良質な流行歌」と評す。人々が口ずさむ共感性を言い当てた見方だろう。両人は表現力と感受性を認め合う仲間でもある▼祖父は北海道・十勝の開拓と振興に尽力し父は命に寄り添い続けた医師。受け継ぐ彼女の歌には“言霊”がこもる。
 

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