食による若者支援 農とJAの理解拡大に

 コロナ禍は、基礎疾患のある人や高齢者を中心とした健康被害に加え、景気後退で家計にも被害を与えている。日本農業新聞が収入・家計への影響を首都圏の主要駅で聞いたところ、半数近くが「減った」「大きく減った」と回答。食生活では「食べられたら何でもよい」「食べない日もある」「産地や品質より値段の安さを重視している」など切実な声が相次いだ。

 学生も、アルバイト先が休業したり、仕送りが減ったりして経済的な不安を抱える。大学を中退する事態なども想定されるとして、文部科学省が学生支援緊急給付金を創設するほどだ。

 学生へのJAの支援は従来、農作業実習の受け入れや担い手の育成など農業現場でのものが中心だった。しかしコロナ禍で、JA・連合会による食の支援が相次ぐ。内容は多様だ。米の他、レトルト食品やインスタントラーメン、缶詰などの詰め合わせを提供するJAもある。

 JA新いわてが盛岡大学に贈った米はテークアウトの丼物に使われ、ご飯代がかからないということもあって200円で販売。JAグループ山口が山口大学に贈った米は、学生食堂で1杯1円で提供された。大学関係者からは「温かい支援がありがたい」「米だけでなく勇気をもらえた」という声が聞かれた。

 これらは、JAグループだけでなく、生協などと連携した取り組みへと広がりを見せる。

 青年部や女性部などを含め、JAグループによる食の支援は学生に限らない。以前から、全国に3500カ所以上あるとされる子ども食堂や、経済的に困っている人に食料を届けるフードバンクへの農産物の提供といった支援に取り組んでいる。これらは、JA綱領にある「安心して暮らせる豊かな地域社会」に向けた活動そのものだ。

 コロナ禍で大きな影響を受けた、子どものいる生活困窮世帯をはじめ、若い世代への支援を広げたい。JAとの接点があまりなかった若者が、JAを知るきっかけになる。「苦しい時に手を差し伸べてくれた」とJAのファンづくりにもつながる。

 新型コロナの感染は再び拡大を続けており、終息の兆しが見えない。このため、酒類を提供する飲食店などに休業や営業時間の短縮を要請する自治体が相次いでいる。コロナ関連の倒産や解雇・雇い止めも増えている。若い世代が、さらに経済的に厳しい状況に追い込まれかねない。若者は将来の社会の担い手であり、希望を持てるように継続した支援が求められる。

 それは、農業やJA、互いに助け合う協同組合への理解を広げ、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」が目指す「誰一人取り残さない」社会への共感にもつながるだろう。

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