落語の枕から

 落語の枕から。「疝気(せんき)は男の苦しむところ、悋気(りんき)(嫉妬)は女の慎むところ」▼疝気とは、おなかや下腹部の病気を指したらしい。潰瘍や泌尿器系の病気か。男性特有の病気でもないようだが、働き盛りの男を苦しめたのだろう。落語「疝気の虫」は、その虫と医者のやりとり。好物のそばを食べると虫は元気になり悪さをするが、トウガラシが苦手だという。オチは書けないが、故立川談志も好んで演じた▼談志いわく「この噺(はなし)は医学の今後を予言している」。その核心は「病気との対話にあり」。弟子の立川談慶さんが著者『人生を味わう古典落語の名文句』(PHP文庫)で紹介している。病気にも言い分があるはずと談慶さんの想像は膨らむ。不良のがん細胞は言う。「ほったらかしているから、手に負えなくなるんだよ」▼風邪のウイルスは強気だ。「俺たちすら治せないくせに医学の進歩とか言ってんじゃねえよ」。同感である。インフルエンザウイルスは物議を醸す。「大きな声じゃ言えないけど、ワクチンメーカーが俺たちを作ってるんだよ」。それはないが、新型コロナウイルスのワクチン開発・使用に光が見えてきた▼「俺たちのこと甘く見ない方がいいぜ」。そんな声も聞こえてきそう。地道にウイルスと対話を続けるしかない。
 

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