果樹食害クビアカツヤカミキリ 10都府県に拡大 防除手引 “懸賞金” 地域ぐるみ対策を徹底

 桃や桜の木を食害する外来害虫のクビアカツヤカミキリが分布を広げている。2019年になってから新たに奈良県と三重県で初発生が確認され、計10都府県に拡大した。桃や梅、桜、スモモ、柿などを好み、加害されると木は衰弱し、枯死することもある。登録農薬が少なく、経営に大きな影響を与える。被害の拡大防止に向けて行政は、生産者への周知と早期発見・捕殺を呼び掛けている。

 クビアカツヤカミキリの国内初発生は12年に確認された。成虫は光沢がある黒色をしており、首が赤い。体長は2・5~4センチ。中国や朝鮮半島が原産で、幼虫が木の中に入り込み、内部を食い荒らす。18年1月に特定外来生物に指定された。

 農水省によると栃木や群馬、埼玉、東京、愛知、三重、大阪、奈良、和歌山、徳島の10都府県で発生を確認した。農業被害が大きいのは徳島県の桃。18年度は調査した222園のうち、99園の661本で寄生を確認。17年度の1・5倍となった。同県病害虫防除所は「高齢の生産者は寄生樹の伐採が難しく、対策が間に合っていない」と課題を語る。その他にも奈良県や栃木県の桃が被害を受けている。家庭栽培の梅や桜並木、街路樹が被害を受けたケースが目立つ。

 大阪府は被害対策の手引書を作成し、生産者や施設管理者に周知する。農地だけを防除しても、公共施設や河川敷の桜が発生源となる恐れがあり、地域全体での防除が必要とした。環境農林水産部病害虫防除グループは「桜と農作物では管轄部署が異なるため、担当者の横断的な連携が重要」と強調する。

 地域ぐるみの活動は他県でも始まっている。栃木県足利市では、今年度から「クビアカみっけ隊」を発足。発生状況の把握と捕殺に協力を求めている。群馬県館林市は撲滅プロジェクトとして、捕殺したクビアカツヤカミキリを持ち込むと、1匹当たり50円、または飲料水を贈る取り組みを始めた。

 未発生の県でも対策が進む。兵庫県は大阪府での発生を受け、防除用のネットと殺虫剤を購入。同県自然環境課は「いつ発生してもおかしくない状況。すぐに対応できるよう備えている」と話す。

 国の森林総合研究所などでつくる研究グループは、防除技術の開発を進めている。成虫の活動時期は6~8月だが、それ以降も木の中の幼虫はフラス(ふんと木くずの混合物)を排出するため、発見の目印となる。同研究所穿孔(せんこう)性昆虫担当チームの加賀谷悦子チーム長は「発生密度が上がると対応が非常に困難になる。初期防除の徹底のため、フラス排出が盛んな夏のうちに見回りをしてほしい」と呼び掛ける。

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