外国人材受け入れ 選ばれる地域へ一体で

 日本各地で農業現場を支える外国人技能実習生ら外国人材の安定確保が危うくなりつつある。人口減が進む他の先進国との競合が激化。今後も安定的に外国人材を受け入れるには、共に働くパートナーとして、地域ぐるみで位置付ける必要がある。送り出し国の地域農業振興への貢献も視野に入れたい。

 社会保障・人口問題研究所の推計によると、2030年の日本の人口は1億1912万人で、今年1月1日現在(概算値)と比べると690万人減る。こうした背景もあり、働き手としての外国人の受け入れ拡大を目指す新在留資格「特定技能」を政府は19年4月に創設した。国内外の準備が間に合わず同資格での受け入れは遅れているが、技能実習生の増加は著しい。法務省の調べによると、在留外国人はここ数年、年15万~18万人程度増加。特に技能実習生は前年比2割程度(3万~5万人)ずつ増えている。

 少子化が進む先進国にとって、外国人材の確保は共通の課題だ。国際協力機構(JICA)の調査によると、東南アジア各国からの人材獲得は、売り手市場に変わりつつあるという。韓国は政府の関与が強く、賃金も比較的高いなどの理由で、実習先として人気を集めている。台湾、中東、オーストラリアへの送り出しも本格化しつつある。

 まずは国内の受け入れ側の意識を変える必要がある。「安い労働力として使おう」などという意識では、日本が外国人材を継続的に受け入れるのは難しくなる。問題となっている技能実習生の失踪の原因の一つには、賃金未払いや待遇の悪さなど、受け入れ側が改めるべき点がある。日本国際交流センターの毛受敏浩執行理事は、技能実習生について「地域の産業の根幹を担う人材。自治体首長が歓迎会を開き、地域の祭りに招待する意識が必要だ」と提起する。農業者や企業それぞれだけではなく、地域ぐるみで受け入れる体制づくりが求められる。

 技能実習生を送り出す途上国の地域と連携する事例もある。香川県にある監理団体、ファーマーズ協同組合などは、ラオスの山岳地帯にある県と連携。現地の農家の組織化支援や栽培指導もしながら、継続的に技能実習生を受け入れる仕組みを作っている。

 帰国後に生かせる知識や技術を身に付けてもらう工夫も必要だ。東南アジアなど送り出し国と日本では生産品目に違いがある場合もあるが、レベルの高い日本の農業技術をどう生かせるかも教えてほしい。仕事の段取りなども重要だ。農業振興に役立つ組織として世界的に注目される日本の農協から、農家の組織化の意義も学べるだろう。

 外国人は暮らしや職場、農業現場にさらに身近にいる存在となっていく。外国人材を継続的に受け入れるためには「選ばれる実習先、就労先」になるとの意識が必要だ。
 

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