「ベツノマスク」を作った。「アベノマスク」をリメークしたものの通称である

 「ベツノマスク」を作った。「アベノマスク」をリメークしたものの通称である▼政府が配った布マスクは筆者の顔には小さかった。ネットで調べるといろいろな作り方が紹介されている。手縫いで、簡単そうなものを選んで作業開始。糸をほどくのに手間取り、糸切りばさみでガーゼに穴を開けた。手本通りに畳み直して縫ってみたが、プリーツがうまく開かずやり直し。2時間かかって完成した。鼻も顎も隠れ、達成感を味わった▼1899年5月に難破した日本の帆船のことが頭に浮かんだ。船員たちは無人島で助けを待った。生活のルールは四つ。島で手に入るもので暮らす、できない相談は言わない、規律正しい生活をする、愉快な生活を心掛ける。『無人島に生きる十六人』(新潮社)に詳しい。コロナ禍での巣ごもり生活と重なる▼雨の日が楽しみだった。貴重な米で重湯を作って茶話会を開く。隠し芸をしたり、海の体験談を聞いたり。救助され、島を離れる日に船長は全員に言った。「一人一人の、力はよわい。ちえもたりない。しかし、一人一人のま心としんけんな努力とを、十六集めた一かたまりは、ほんとに強い」▼〈おもしろきこともなき世をおもしろく〉。「ベツノマスク」もそういう心持ちになるためのみんなの知恵でもあろう。
 

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