[未来人材] 23歳。「青いレモンの島」父目標に畑守る 「食べて幸せ」理想に 愛媛県上島町 村上晃平さん

就農した年に定植したミカンの苗木と村上さん(愛媛県上島町で)

 「青いレモンの島」と呼ばれ、かんきつの栽培が盛んな瀬戸内にある愛媛県上島町の岩城島。村上晃平さん(23)は今年4月に親元で就農し、高齢化が進む地域の期待を集めている。かんきつの栽培面積は2ヘクタール超と島内の平均耕作面積を大きく上回る。父・悦治さん(62)を目標に、「食べた人が幸せになる」理想のかんきつ作りを追い求める。

 広島県境にある岩城島はレモンなどかんきつの栽培が盛んで、約90戸の生産者が44ヘクタールで栽培する。島内で盛んな造船との兼業や、定年後に帰農する農家が多く、晃平さんは専業で就農した久々の20代だった。

 「島を出ていく友人も多かったが、先祖が開いてくれた畑を荒らしたくなかった」と晃平さんは話す。昨年までJAおちいまばりの経営管理委員を務めていた悦治さんは「300年以上、12代続く農家の家系だから戻ってきてくれてほっとした」と胸をなでおろす。

 「高校時代に就農すると決まっていたけど当時は実感がなかった」と振り返る晃平さん。同時に、試行錯誤しながら無肥料・無農薬栽培に取り組む父の姿を見て、「苦労に報いたい」とも思った。

 高校卒業後は、愛媛県農業大学校に進学。かんきつ栽培の“いろは”を学ぶつもりだったが、「野球や遊ぶことに必死で、今になってちゃんと勉強しておけばよかったと後悔している」と苦笑する。ただ、県南部のかんきつ産地や今治市で就農した学友とは、今でも情報を交換している。

 就農して2カ月間は2・3ヘクタールの園地で、苗木が獣の被害に遭っていないか見回り、18年7月の西日本豪雨で崩れた園地の修復をする。ミカン中生種の収穫が始まる11月までは「地道に1年の作業サイクルを体に覚えさせている」最中だ。

 「ミカンを作って、売って終わりにしたくない。食べた人に喜んでもらい、作り手の苦労を感じてもらうまでが、農家の仕事だと思う」。土を大切にする父のかんきつには、そんな力があると感じる。

 共に作業をする悦治さんは「まだまだ段取りを勉強してもらわないと。1年目なのでこれからに期待」と地に足の着いた成長を願ってエールを送る。
 

農のひととき


 好きなかんきつは「こくのあるミカン」で、木を眺めるのが「一番の安らぎ」だという。木ごと、実ごとに変わる食味の理由を考えながら食べるのが楽しみ。苗木を見回る際には「頑張って育ってくれよ」と心の中で願っている。
 

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