西日本豪雨で農家と愛媛大 農業版ハザードマップ作成 災害の爪痕 後世に 松山市の興居島

JA出張所に貼り出してある農業版ハザードマップ。崩壊した斜面や重機の位置などに印を付けている(松山市で)

崩れた斜面、道路寸断 記憶頼りに色分け


 2018年7月の西日本豪雨で被災した松山市島しょ部の興居島で、かんきつ農家と愛媛大学が連携し、農業版ハザードマップを作成した。被災を教訓にするため、土砂災害が発生した園地などを地図上に落とし込んだ。今後の災害に備えるため重機の位置や、利用度の高い道路を色分けしている。災害のリスクが高い他の地域からも問い合わせがあり、注目が集まっている。(丸草慶人)
 
 今回マップを作った由良地区では、JAえひめ中央によると農家72戸が79ヘクタールで伊予カンや「せとか」「紅まどんな」(愛媛果試第28号)などを栽培する。

 西日本豪雨では、地区内91カ所で斜面崩壊が発生。そのうち40カ所が耕作放棄地となっている。農業関連の施設では道路の寸断や床下浸水、重油流出などが起きた。

 東西4・5キロ、南北3・2キロの同地区を俯瞰(ふかん)できる。作成に当たって市の2500分の1の都市計画図を使った。農家5人が集まって、それぞれの記憶を頼りに被災箇所をシールやマーカーを使って作成した。

 崩れた農地の状況を色分けし、崩れた距離を矢印で示している。生活に必要な主要道、農業でよく使う準主要道が色分けされており、復旧の優先度が一目で分かる。個人が所有する約10台の重機の位置も示されており、発災時に役立てるように工夫した。

 発災直後から愛媛大学と連絡を取り、作成に関わったかんきつ農家の青井秀典さん(43)は「発災から2年を経て被災箇所が分からなくなっている。未来に未曽有の被害をつなぐためにも、マップは有意義だ」と強調する。JAえひめ中央由良出張所と市役所の支所、消防団の詰め所、合わせて6カ所に貼り出している。今後、若い担い手にも配布する予定。
 

自力の復旧 素早く


 愛媛大学大学院農学研究科の間々田理彦准教授は「農家の知識を顕在化、データ化する必要があった」と意義を強調する。被災直後に農家らが自力で復旧する際に、被災箇所と規模を地域で共有しやすくするため。

 作成後に地元の松山市や、九州の自治体から問い合わせがあった。中山間地域を中心に、農地やため池がある他の地域でも作成、活用できるという。

 今後は配布後に農家らがどのように活用するかや、地区の防災にどう生かすかを継続して研究を進める。

 間々田准教授は「起こったときに迅速に対応できる体制ができた」と説明する。

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