山県有朋は、恐る恐る西郷隆盛に話を持ち掛けた

 山県有朋は、恐る恐る西郷隆盛に話を持ち掛けた。廃藩置県である▼明治維新後の新政権は、財政難で行き詰まっていた。このままでは、瓦解(がかい)するかもしれない。難局を乗り切るには、藩制を無くして中央集権体制を作り上げる必要があるが、大藩の強い抵抗が予想された。ところが西郷は、あっさり同意したという。「わが輩のほうはよかでごわす」。半藤一利著『名言で楽しむ日本史』にある▼勇気を得た山県は決意を固め、明治4(1871)年7月14日に企ては断行された。新政府は、全国261藩を廃止し、政府直轄へ。急進的な改革を危惧した英代理公使アダムズは、欧州でこんな大業をやろうと思えば何年も軍事力を使わなければできないとの思いを、岩倉具視に語っている(松尾正人著『廃藩置県』)▼政治には、大きな決断が必要な時がある。今が、その時かもしれない。新型コロナ禍で、東京一極集中の是正を急ぐ必要がある。集中豪雨で、国土のもろさも目を覆う。困難を伴っても、「断じて行えば鬼神も之(これ)を避く」(史記)。歴史は、断固たる決意が難局を打開すると教えるが、政治は国会を閉めて“巣ごもり”を決め込む▼100年に1度ともいわれる危機を前にためらっていては、後世に申し開きができないだろうに。

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