「文化の日」に寄せて… 公益貢献 競馬の勧め 元農水省官房長 荒川隆氏

 今日は文化の日だ。新型コロナウイルス禍ではあるが、GoToキャンペーンなども活用して工夫を凝らしたさまざまな観光・文化活動が行われている。そんな熱心で生真面目な国民に、欧米流の文化的で豊かなリゾートを提供しようという考えなのか、特定複合観光施設(IR)なるものの整備が進められようとしている。長年民業によるばくちはご法度だったこの国で、合法民間カジノ施設の整備・運営を可能とする法整備が2年前に行われ、立地自治体や事業者選定のプロセスが進められているようだ。

 現在日本には、通称「公営ギャンブル」と呼ばれる合法賭博類似事業が4種類存在している。競馬、競輪、競艇、オートレースだ。戦前からの軍馬育成と祭事競馬の伝統を持つ由緒正しいわれらが競馬(農水省の所管)以外は、戦後、競馬の馬産振興・畜産振興を参考に、機械産業振興や船舶振興を目的とすることで立法化されたものだ。

 賭博類似行為だから下手を打たない限り胴元はもうかる仕組みで、その上がりを勝手気ままに乱用しないよう、胴元を公的団体に限定するなどの法規制が行われている。もちろん、賭博に付きものの「八百長」排除の観点から、競馬で言えば実際の競走に従事する騎手、調教師、厩務(きゅうむ)員、馬主などの関係者は免許や登録など厳格な統制下にある。

 そんな公正確保措置を講じた上で、多くのファンに勝馬投票券(馬券)を購入してもらうためには、興行として楽しめる工夫も必要だ。今年は無観客興行を余儀なくされたが、全国各地の地域色豊かな競馬場で季節の移ろいを感じられる物語性のあるレース体系が構築されている。もちろん馬券のうまみもファンにとっての醍醐味(だいごみ)であり、1着馬を当てる単勝など低配当の3種類の時代が長く続いたが、今や9種類に拡充され、一獲千金も夢ではない。

 こんな関係者の努力の結果、生み出された財源は、国や地方自治体に納付され公共施設の整備などに充当されるとともに、畜産・酪農の振興にも活用されている。全ては、数百万人の競馬ファンが投じる馬券購入資金がその源泉であり、これからもファンに大いに楽しんでもらいつつ公益にも貢献する競馬が公正に施行されることが大切だ。まさに、競馬は一つの文化だ。

 今年は、無敗の3歳馬が、牝牡(ひんぼ)ともに三冠を制するという快挙が成し遂げられた記念すべき年となった。また、今日は大井競馬場で地方競馬の祭典JBC(ジャパンブリーダーズカップ)競走が行われる。われらが競馬ファンにおかれては、他の娯楽に浮気することなく、秋競馬から年末の有馬記念・東京大賞典へと続く絶好の競馬シーズンに、大いに競馬文化を楽しみ、安心して馬券を購入し、公益貢献していただきたい。

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