野菜の相場低迷 経営安定対策の拡充を

 野菜相場が低迷している。天候不順で近年は乱高下しやすくなっており、今年は新型コロナウイルスの影響が重なった。安定供給には農家の経営安定が重要だ。豊作時の暴落と不作時の暴騰を防止・緩和する施策と経営安定対策を拡充すべきだ。

 主要野菜14品目の12月上旬の1キロ価格は99円(各地区大手7卸のデータを集計した日農平均価格)だった。過去5年間では、旬別で2番目の安値だ。

 野菜相場は10月まで堅調に推移していたが、11月に展開が変わった。全国的な好天で各品目とも生育が進み、潤沢な出回りとなった。一方、外食を中心としたコロナ禍での業務需要の減少や、スーパーでの試食宣伝の制限などで厳しい販売を強いられている。顕著なのが重量野菜で、ダイコンやハクサイは平年の4、5割安となっている。

 野菜の価格低迷時の対策で代表的なのが、収入保険と野菜価格安定制度だ。収入保険は全ての農産物が対象で、青色申告をしていることが要件。1年間の収入額が基準の9割を下回ると、下回った額の9割を上限に補填(ほてん)する。

 野菜価格安定制度は、キャベツなど指定野菜14品目を対象に平均販売額が補償基準価格を下回った場合、差額の9割を上限に補填する。同省は、収入保険に初めて加入する場合、同制度との同時利用を21年1月から特例で1年間できるようにした。

 収入保険は、コロナ禍による農業経営の損害に対応でき、関心が高い。また野菜価格安定制度は、産地育成や計画的な生産を促すなどの効果が見込める。

 JAグループは、21年度の青果対策で国に①野菜価格安定制度の維持と安定的運営のための十分な予算の確保②緊急需給調整事業を含め需給安定化に取り組む産地への支援の拡充③野菜価格安定制度と収入保険の同時加入の特例措置の拡充・恒久化──をはじめ、経営安定のためのセーフティーネット(安全網)の拡充などを求めている。

 野菜を巡る環境は不安定要素が多い。近年は台風が相次ぐなど天候不順の影響を受けやすい。また、大型の貿易協定の発効が相次ぎ、加工品を含め関税が削減・撤廃される。11月には地域的な包括的経済連携(RCEP)に署名した。冷凍などを含め野菜の対日輸出が多い中国、韓国との初の協定だ。対韓国では基本的に野菜は除外し、対中国でも重要な品目の多くを除外した。しかし段階的に関税を削減・撤廃する品目もある。影響を注視する必要がある。

 コロナ禍により家庭で食事をする機会が増え、国産野菜を安定供給することの重要性が改めて確認された。また食料・農業・農村基本計画に政府は、米の生産調整で野菜など高収益作物への転換を図る方針を明記。野菜の生産量を30年度までに、18年度比で15%増やす目標も掲げた。安定生産には生産基盤の強化とともに、安心して生産を続けられる体制の整備が必要だ。
 

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