20年産米販売 家庭向けもブレーキ 10、11月支出額 過去20年で最低

 2020年産米の販売が低迷している。新型コロナウイルス下で業務用需要の苦戦が続き、頼みの家庭用需要も勢いを失っている。10、11月の米の家計支出額は過去20年で最低水準だった。緊急事態宣言の再発令で、販売環境は不透明さが強まる。需給の均衡に向けて、需要に応じた生産だけでなく消費喚起対策が求められる。(玉井理美)

 総務省の家計調査によると、2人以上世帯の米の支出額は10月が前年比10・8%減の2604円、11月が同4・7%減の1847円。ともに過去20年の同じ月と比べて最も少なかった。内食傾向が高まり、9月までは連続で前年を上回っていたが、10月に減少に転じた。

 20年産の米価は6年ぶりに下落したが、消費の刺激にはつながらず、購入数量も10、11月ともに過去20年で最低水準に落ち込んだ。主食で競合する麺類は支出額の前年超えが続いており、対照的な動きだ。消費者の米離れが背景にある。

 農水省がまとめた主要米卸の11月の販売数量は、同3・5%減と8カ月連続で前年を下回り、家庭用の販売が業務用の低迷を補い切れていない。

 消費低迷で、産地の販売も遅れている。農水省によると、産地から卸に引き取られた全国の販売量は、11月末時点で38万5000トン。前年同月より13%少ない。集荷量に占める販売比率は16%で、進捗(しんちょく)は例年よりも遅れている。

 業務用需要の低迷で持ち越し在庫の消化が遅れていることに加え、家庭用米販売の鈍化も影響している。北陸地方のJA関係者は「家庭用定番銘柄でも販売に勢いがない。コロナの影響で試食などの販促活動がしづらい」と頭を悩ます。

 消費低迷が続けば、今後の取引価格や需給にも影響を及ぼす。20年産の持ち越し在庫が多くなれば、需給を均衡させるために、21年産ではさらに転作の拡大が必要になる。

 東北地方のJA関係者は「適正量の生産だけでなく、消費拡大も両輪で取り組む必要がある。事前契約を積極的に進めて販売先を確保しても、実際の販売が遅れれば厳しいことに変わりない」と指摘する。

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