飼料米 立て替え払い推進へ 10アール5万円 栃木・JAなすの
2021年01月22日

年間10万トン減るといわれる米の需要は、新型コロナウイルスの影響で減少に歯止めがかからない。2021年産の主食用米は大幅な下落が予想され、非食用米への作付け転換が求められている。JAなすのは、21年産の飼料用米を作付けする出荷契約者を対象に、10アール当たり5万円を立て替え払いする独自の対策に乗り出す。米農家の経営安定・維持の後押しを目的に、昨年10月から検討を進め、12月下旬の理事会で最大4億円を立て替え払い金に充てることを決めた。
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[東日本大震災 あなたの分も生きた10年](1) 面影胸に今日も耕す 荒れ地芽吹いたヒマワリ
少し冷たい風が潮の香りを運ぶ夕暮れ、あの人を思い出す──。
宮城県東松島市の阿部ちよ子さん(76)はハウス4棟と露地20アールで、トマトなど年間20種類の野菜を1人で作っている。残された畑を守るのが私の使命。その思いで10年を過ごしてきた。
午後6時から1時間。震災前、ちよ子さんが一日のうちで最も好きな時間だった。故・勲さん=享年72=とのウオーキングの時間だ。「今年はどんな野菜を作ろうかね」「そろそろ田植えの準備しねどな」。勲さんが話すのは農業のことばかり。その横顔が好きだった。雨や雪が降っても外に出た。ちよ子さんが雪に足を取られて派手に転び、2人でげらげら笑ったこともある。夫が差し伸べる大きく日焼けした手。「幸せな時間だった」(ちよ子さん)
薬届けねど
10年前のあの日、勲さんの薬を取りに病院に行った。……
2021年03月08日

歌い奏で 農家にエール 活躍する北海道のミュージシャン
新型コロナウイルス禍で農産物の販売が苦境に立つ中、歌の力で農作物や農山村、JAを応援しようという機運が、北海道で高まっている。「北海道米」を題材に歌う音楽家、オホーツク発の音楽を奏でる“半農半ミュージシャン”、観光応援大使として市町村の楽曲を作るグループ――“道産”の音楽が地域を盛り上げている。(坂本俊二、関山大樹、望月悠希)
米の魅力ボサノバで 木村ゆうさん 札幌市
ボサノバ調の「お米のボッサ」で北海道米をPRするのは、札幌市の木村ゆうさん(30)。5歳の頃からピアノを習い、市内の大学で音楽を学んだ後、会社員との兼業で作詞作曲や演奏活動をしている。
2020年8月、食育イベントに参加した時に米の消費が落ちている現状を知った。ご飯が大好きで演奏前に欠かさず食べるという木村さんは、もっとお米を食べてもらおうと、歌を作ることにした。
歌では「指を立ててやさしく 何度も何度も何回も研いできれいにするの」と米のとぎ方を描写。「おいしいご飯をあの人と食べたいな 炊き立てを準備して帰りを待つの」とまとめた。
こだわったのが、品種名を盛り込むこと。「ななつぼし」は北斗七星、「おぼろづき」「ほしのゆめ」はきれいな風景をイメージ。「ゆめぴりか」の「ぴりか」はアイヌ語で「美しい」という意味だった。名前の由来について調べると、ますます愛着が湧いた。
単純に並べるのではなく、意味を持たせて「北に光るななつぼし ほしのゆめを見る 夜を照らすおぼろづき きらら397」と流れるように仕上げた。
各種音楽配信サイトで発表して以来、歌は好評で、演奏会でもリクエストがあるという。木村さんは「歌を通して多くの品種を知って、北海道米をたくさん食べてほしい」と願っている。
麦育てつつライブ 遠藤正人さん 北見市
「音農家」の遠藤さん(遠藤さん提供)
北見市の遠藤正人さん(40)は小麦などを35ヘクタールで栽培する傍ら、ギタリストとして精力的に活動する。自ら「音農家(おんのうか)」と名乗り、東京でもライブをして、オホーツク地方や農業の魅力を発信している。
2008年にメジャーデビューしてCD2枚、DVD4枚を発売。東京で10年間、ライブ活動やバックバンドなどをした後、32歳で畑作農家の後継者としてUターンした。今は高齢者施設や教育施設での演奏など、農作業の合間に音楽活動を展開。スタジオミュージシャンとして録音にも携わる。遠藤さんは「“音農家”として、農業の魅力や格好良さを広げていきたい」と語る。
JAとMVを制作 ハンバーガーボーイズ 札幌市
北海道観光応援大使を務めるハンバーガーボーイズ
2012年に結成された札幌市の3人組ユニット「ハンバーガーボーイズ」は、道内の各市町村と連携した楽曲を作り、地域や農家、JAを応援する。
北海道観光応援大使も務めており昨年はJAそらち南のイメージソング「NOU NOU NOUKA(ノウノウノウカ)」を制作した。ミュージックビデオ(MV)にはJAの役員や農家らが出演。新しいJAの魅力を幅広い層に発信することに大きく貢献している。
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2021年03月06日
農高では基礎固め 農大校で課題研究 即戦力を育成 5年一貫教育へ 和歌山県
和歌山県は、農業系高校と農林大学校で5年間の一貫教育に乗り出す。2022年度の高校入学生から開始。高校のうちに栽培などの基礎知識や技能を身に付けてもらうことで、大学校では果樹などについての課題研究に力を入れられるカリキュラムを検討する。担い手の減少が進む中で、即戦力となる人材の育成を急ぐ。
県によると、こうした一貫教育は全国でも珍しい。……
2021年03月08日

[あんぐる] どこかに君の姿を 東日本大震災10年(福島県大熊町)
「ずっと汐凪(ゆうな)が呼んでいるような気がするんだよね……」。東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所事故から10年、ずっと娘の姿を捜し続ける男性がいる。木村紀夫さん(55)。第1原発から約4キロ南にあった福島県大熊町の自宅が津波に襲われ、父と妻、当時7歳の次女を失った。以来、木村さんは「(震災とは)毎日付き合っているようなもの」と話す。
2011年3月11日午後2時46分。木村さんは隣接する富岡町にある勤め先の養豚場で激しい揺れに襲われた。家族の姿が頭に浮かんだが、自宅に戻れたのはその日の夕方。津波で破壊された一帯で夜通し3人を捜したが、翌日には第1原発が水素爆発。全町に避難指示が発令され、家族の安否が不明のまま、住み慣れた町から引き離された。
放射線量が高く、今も帰還困難区域が大半の大熊町によると、12人が津波の犠牲に。父と妻の遺体は震災の年に見つかったが、汐凪さんだけが見つからなかった。木村さんは避難先の長野県白馬村から車で片道400キロ以上の距離を毎週のように通い、捜索を続けた。
木村さんが捜し出した汐凪さんの衣類や持ち物。帰還困難区域内の知人宅に預けているのは「汐凪が大好きな町から、よそに運び出す気持ちになれないから」
状況が動いたのは16年12月。自宅から数百メートル離れた海岸近くで、汐凪さんのマフラーが発見され、近くから小さな骨が見つかった。鑑定の結果、汐凪さんの顎と首の一部と判明。だが、それ以上は不明のままだ。
寂しがり屋だったという汐凪さん。木村さんは「体が見つからないのは、私への伝言だと思うんです。全てが見つかったら、もう誰も来なくなると思っているんでしょう。『私を捜して』『会いに来て』って……」。
木村さんの自宅や所有する農地は、放射性物質による汚染土などを集積する中間貯蔵施設の建設予定地に含まれる。だが「できれば公園などにして、訪れた人がここで何があったのかを感じられる場所に」と願う。
2年前、長女の進学を機に大熊町から南約50キロのいわき市に転居した。これをきっかけに今、震災を伝える活動に力を入れている。最近は自宅跡から各地を回線で結ぶリモート授業も始めた。この10年は「日々の積み重ねにすぎませんね。震災は永遠に終わらない」と語気を強めた。(仙波理)
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2021年03月08日
オンライン研修 集合型と使い分けよう
新型コロナウイルス禍で変化したものの一つに、オンライン動画の職場利用がある。中でも注目されているのが、従業員の研修や情報共有への活用だ。効果や利便性の高さから新型コロナ終息後も普及が進むと考えられる。JAでも一部で利用が始まったが、もっと広げたい。
オンライン会議にようやく慣れたというJA職員も少なくないだろう。しかし、世の中はもっと先を進んでいる。オンラインの利用は農産物のトップセールス、商談会、交流会、セミナー、産地紹介・視察など多岐にわたり、実際のイベントを再現する試みが行われている。
中でも代替という位置付けではなく、情報通信技術(ICT)を駆使した新たな選択肢として企業などが導入を進めるのが、従業員の研修やナレッジ(知識)共有でのオンライン動画の利用である。理念教育よりも専門知識やノウハウの習得といった実務型研修に適している。
例えば、岐阜県のJAぎふは昨年10月から職員教育に動画配信を導入した。ホームページの職員専用ページにアクセスして視聴できる。金融、共済、税金などの専門知識や事業推進の留意事項などを説明する動画を各部署が制作する。神奈川県のJA横浜は育児休暇中の女性職員の職場復帰を応援する集合研修をこれまで子ども同伴で行ってきたが、コロナ禍を受けてオンライン形式に切り替えた。同県のJAさがみは事業推進大会の代わりに動画配信で事業計画やコンプライアンス(法令順守)を周知した。
オンライン研修はリアルタイムで行うものの他に、例えばユーチューブチャンネルを利用して、何回でも映像を再生できるタイプのものもある。この仕組みを使えば、「いつでも」「どこからでも」「何度でも」視聴できる。JAぎふはこのタイプだが、分かりづらいところは何度でも確認できるので、習熟効果は高いとみる。
メリットはそれだけではない。広域JAや1県1JAでは研修会場までが遠くて移動に時間がかかる、業務に忙しくて一日通しの研修に出るのは無理といった悩みも改善できる。研修への参加に消極的な職員に受講を促すことにも役立つ。
もちろん集合研修には、講師と対面することで刺激を受けやすいことや、参加する職員同士の交流、相互啓発といった良さがあり、必要性を否定するものではない。どちらか一方の選択ではなく、研修目的に合わせて使い分けていくのがよい。
職員の情報共有に動画を使う手法も新しいやり方だ。例えば企業では、新商品や新規サービスなどの従業員説明を補完するツールとして利用される。一定の期間を設けて自分の都合に合わせて映像学習ができる。受講者の確認や感想アンケート、習熟度テストのサービスもある。
JAグループ内での先行的な取り組みを積極的に情報共有し、横展開したいものである。
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2021年03月06日
JAの新着記事

受診結果アプリで 推移グラフ化再検査通知も 健康維持へ期待 鹿児島厚生連
鹿児島厚生連病院健康管理センターは、健康診断と人間ドックの受診者を対象に、健康管理アプリ「CARADA健診サポート」を使った情報提供のサービスを始めた。スマートフォンでいつでもどこでも結果が見られるため、日頃からの健康管理に期待がかかる。
アプリは無料で使える。……
2021年03月08日

「祇園パセリ」料理の主役に キッチンカーで発信 JA広島市
JA広島市が事務局を務める祇園町農事研究会パセリ部会は、特産「祇園パセリ」のキッチンカーでのPRを始めた。2月に広島市で開かれたマルシェでデビューして「祇園パセリ」やパセリスムージーを販売。栽培の歴史やレシピなどを掲載したリーフレットを配った。県内のイベントなどにも出店を予定し、メニューを増やして料理の主役としてパセリをアピールする。
「祇園パセリ」は、葉が柔らかくて細かく縮れ、濃い緑色が特徴。……
2021年03月08日

重点項目実践JA最多 自己改革着実に 20年度活動報告
JA全中は、JA自己改革の成果をまとめた「JAグループの活動報告書」の2020年度版を公表した。20年度は、重点6項目に取り組むJAの割合がいずれも過去最高。「営農・経済事業への経営資源のシフト」は63・2%が実践し前年比8ポイント増、「生産資材価格の引き下げと低コスト生産技術の確立・普及」は93・5%で同1・4ポイント増などの成果が出た。
活動報告書は18、19年度に続く3冊目。……
2021年03月07日

日本農業賞 ネットで表彰式
JA全中とNHKは6日、第49回・50回日本農業賞の表彰式をオンラインで開催した。新型コロナウイルス感染拡大により表彰式を延期していた昨年の第49回の大賞7組、特別賞3組と、第50回の大賞7組、特別賞3組へ、事前に送付していた表彰状を読み上げた。国内農業のトップランナーをたたえ、地域農業のけん引役としての一層の活躍に期待を寄せた。
全中の中家徹会長は「コロナ下で国消国産の重要性が広く認識された」と指摘。……
2021年03月07日
全中、「不断の改革」決議
JA全中は5日、東京・大手町のJAビルで臨時総会を開き、「JAグループの『不断の自己改革』の実践に関する特別決議」を採択した。農業者の所得増大、農業生産の拡大、地域の活性化という三つの基本目標の実現に向けて、自己改革を継続することを表明。持続可能なJA経営基盤の確立・強化に取り組むことも確認した。……
2021年03月06日

震災10年 教訓つなぐ 東北産品 東京で発信 中金や全農 丸の内周辺
東日本大震災から間もなく10年を迎えることを受け農林中央金庫やJA全農、三菱地所などは、東京中心部で東北地方の食材をPRするイベントを始めた。4月4日まで、新幹線やバスの空きスペースも活用して運んだ食材の販売会や、料理を飲食店で提供する企画などを展開する。5日、開会式典を東京・丸の内で開いた。
農林中金など3者の他JR東日本や河北新報などでつくる「あれから10年、これから10年」コンソーシアムの主催。復興に向けた10年間を振り返り、地域の活力ある姿や震災の教訓などを未来につなぐことが目的だ。
6日から14日まで東京・丸の内で、スイーツを販売するホワイトデーの催事に合わせて東北産のイチゴを販売。8日から14日まで、東京駅で特産品を販売する。
8日から4月4日まで大手町・丸の内・有楽町にある約50の飲食店で、福島県の魚介類を中心に東北の食材を使った限定メニューを提供する。復興に関するワークショップやシンポジウムなども企画する。
5日の式典には各組織の代表者が出席。農林中金の奥和登理事長は「復興したところもあれば、復旧にとどまっているところ、復旧にも至っていないところがある。(イベントを通じて)そのような現実を共有したい」と述べた。
この日は、東北6県の銘柄米のパック(1パック 300グラム)を詰め合わせた全農の「絆米」、宮城県産のイチゴ「とちおとめ」などを販売した。
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2021年03月06日
大型特殊免許350人合格 技能講習会が人気 希望者多く支援継続 JAグループ鳥取
JAグループ鳥取は、トラクターなど農耕車の公道走行に必要な大型特殊免許(農耕車限定)の技能講習会を開き、2020年度は合格者が350人に上った。県や農機メーカーが講習場所やインストラクターの養成を支援。JA組合員には受講料の3分の1を助成した。受講希望者が多いため21年度も支援し、免許取得を後押しする。……
2021年03月06日
アグラボ・JR東日本など 農業データ活用で実証実験 経営高度化めざす
JAグループが開設したアグベンチャーラボと農林中央金庫、JR東日本スタートアップなどは4日、ハウストマトなどを栽培する福島県いわき市の農業法人で、データを活用した農業経営の効率化に関する実証実験を始めると発表した。データの活用、分析サービスをするベンチャー企業と連携。収益改善や農業経営の高度化を目指す。農業経営の発展を促すサービスの開発などにつなげる狙い。……
2021年03月05日
[震災10年 復興の先へ] 東北3県JA 統一活動 未来への思いを共有
震災の記憶を風化させない──。岩手、宮城、福島の各県JA中央会が、東日本大震災から10年の節目に合わせJAグループ統一活動を展開する。JAグループ役職員、生産者、消費者らが復興の歩みを振り返り、残された課題、その解決のために必要な支援、未来への思いを共有する。
岩手 トークリレーを配信
JAいわてグループは復興への取り組みや、一人一人の思いをトークでつなぐ「震災復興トークリレーション」を、10日午前9時から動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信する。JA岩手県五連の小野寺敬作会長と県内7JAの組合員が復興の現状と取り組み、今後の復興ビジョンなどテーマに沿って、話し手と聞き手による対談形式で意見交換した内容を収録した。県内テレビ局のアナウンサー、県にゆかりのある著名人も応援メッセージで登場する。
宮城 マルシェとパネル展
JAグループ宮城とJA宮城中央会は8日、「復興マルシェ」をJR仙台駅前の仙台アエル1・2階アトリウム特設会場で開く。県内9JAとJA全農みやぎ畜産部、パールライス宮城、農協観光が計16のブースを出展する。米をはじめ新鮮な野菜や果実、花き、JA独自の加工品などを販売する。
時間は午前11時から午後4時半。震災復興パネル展示も行う。この日、JAビル宮城で開く追悼行事を終えたJA組合長も会場を訪れ、JAのキャラクターと販売を応援してマルシェを盛り上げる。
福島 会場とネットで大会
JAグループ福島は13日、郡山市の「ユラックス熱海」で東日本大震災復興祈念大会を開催する。県内の農林水産業者と生協組合員ら約700人が参加する予定だ。会場参加できない組合員・役職員らのため、インターネットで同時配信する。地域や農業・漁業・林業の復興・再生の状況を動画で紹介。被災地の生産者、台風19号被災者、新規就農者、女性農業者、農業高校生の各代表が決意表明する。大会決議も採択する。
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2021年03月05日
米価14年産並みも 産地全体で危機感共有を 全中が水田農業対策委
JA全中は3日、水田農業対策委員会を開き、2021年産主食用米の需給について議論した。20年産の相対取引価格が13年産と同様の動きをしていることから、続く21年産では米価が大幅に下落した14年産並みの低水準になる恐れがあると確認。概算金にも大きな影響が出かねないとの危機感を共有した。
全中やJA全農が情勢を報告した。……
2021年03月04日